一ヶ月前の今日、アキームと私は一緒に飛ぶことになっていた。


朝、迎えに来た時、

アキームは「俺たちは慎重にいかなければならない。昨日より風が強い」と言っていたが、

そんなことは承知の上だし、私は強い風が好きだ。

何よりアキームと飛ぶことが一番の楽しみ♪だった。


長いような短いような付き合いだけど、アキームとは今まで一度も一緒に飛んだことがない。

アキームの仕事は私たちを飛ばすことだから当たり前といえば当たり前なのだが、

今回は友人として付き合ってくれている。 それだけで嬉しいハート


ところがだ、サドルロードを3分の1ほど来たところで「OH! NO! NO! NO! NO!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
見ると水温計温度計が跳ね上がっている。 ゲッΣ(・ω・ノ)ノ!!

急いで路肩に止めてボンネットを開ける。

玉手箱みたいに煙がモクモクどろんするかと思ったら、んむかっ?

ラジエターのファンベルトが切れてボロボロになっている。 あちゃ~ひゃ~・・・


ま~こんなことはよくあることだから気にしない、気にしない。

しっかし、事態は深刻うう。。

ラッキーだったのは街までずっと下り坂だったってこと。


車は、走り出すまで ほんの少しアクセルを踏むだけで

あとはニュートラルとブレーキワークだけでなんとかいけそうだった。


じゃっかん水温計が下がって余裕がでてきたのか

やっと、アキームがしゃべり始めた。


「今日は何日だ?」「13日」

「じゃー、13はラッキーナンバーだ。」「ラッキー?」

「もし、ガールスカウトキャンプまで行っていたら、きっと帰れなかった」

・・確かに。 アキームと2人、このクソ重いドイツ車ベンツを押して返るはめになっていたかも・・。

お、おそろしい泣


「こんなことが前にもあったな~。カリフォルニアに彼女と旅行している時だった。

その時は、彼女のストッキングを使って・・。」

「ごめんね。ストッキングはいてなくて。」

「いや、いいんだ。今、ストッキングをはいている女は少ない」

いやいや、冗談なんだけど・・。

パラやるのにストッキングはいてたら怖いでしょ。


街に近づくにつれてリラックスムード。

ふ~、なんだかホッとするねー。

だっておしゃべり好きなアキームが一言もしゃべらなかったんだもん。


アキームのおしゃべりはつづく。


「日本人を乗せて、車でトラブルに遭ったのは これで3度目だ」

「マジでー??? ジョーダンでしょ。」

「いや、ほんとに。1回目は忘れたが、もう1回はマウナケアでガイドをしてた時

タイヤタイヤがパンクして、スペアのタイヤもダメで・・。あそこにはいっぱい研究者がいるだろ?

スペアタイヤを譲って欲しいって さんざ掛け合ったが、誰もくれなかった。 一人もだぞ!!」

って、当たり前でしょ。 

もらえるって思う方がおかしーだろ。

ほんと、この人たち(アキームを含め、私が出逢った外国人)はおかしい。 たくましいというか何というか。

生きることに一生懸命。 日本人にはない たくましさだよ。


そうこうしているうちに、街に到着。

真っ先にガスステーションに飛び込んでハイタッチイェー・左イェー・右!!!!!

やったね顔! 無事生還キャーハート!!


「りょう、今日はすまなかったな。」

「いいよ、私のことは気にしなくて。」

「いつ帰るんだ」

「あした」

「うーん ・・よし、 また次だな。 この次飛ぼう。」

「OK この次ね。」


・・この次か。 


あれっ、いま思い出したんだけど、マウナケアに1つ大切なものを忘れてきたみたい。

こりゃーなにがあっても もう1度行かなくては・・だな。