サイレンの音と




寝息と




小さな手





散る桜に





ピンクの花びら





追う背中





家の中で





バギーの上で




となりをよちよち





手を振りほどいて





歩く姿





あぁ





来年は






来年の桜はきっと






満開を一緒に迎えられない






満開のさくらを





この人と





見られる確率は






どれくらいだろうか






どんなに欲張りに





見に出かけても





限りはあって





来年の桜には敵わない





来年の桜にはならないんだ






どんなに晴天に





出かけていっても





明日の桜は





来年の花見にはならないんだ





どんなに貪欲に





いま見に行っても





来年のこの時期を





満たすことはできないんだ






あぁ





なんて無情な






満開のさくらを





まだまだ幼い





自分の子どもと






自分のタイミングで





自由に愛でることは





できないんだ





まだまだ幼い自分の子供と






平日昼間に





花見をすることはできないんだ






まだ幼い






自分の子どもと





今から花見だよって





言えないんだ





まだ幼い





自分の子供と





いつでも好きな時に





出かけられないんだ





まだ幼い





自分の子供と






行きたいタイミングでは






出かけられないんだ






わたしは






あなたの






お母さんなのに







ごめんね









今の







にほんに








平日昼間に






子どもと




自由に






お花見を






気まぐれで






行うことは






許されないんだ








わたしは






あなたの






おかあさん






なのに






ごめんね

ごめんね

ごめんね






野良猫親子なら

叶えられたのかな








わたしには






まだちいさい





あなたと






あなたと過ごす時間を








自由に








自分だけの想いで










決められるだけの








″なにか″













″欠けている″んだ









ごめんね














こんな







頼りない








おかあさんで








ごめんね

ごめんね

ごめんなさい








こんな







心もとない







おかあさんで







ごめんね

ごめんね

申し訳ない

 










あやまらないで

どうかわたしに

チカラをください










自分の意志で

生きる

姿を

見せたいから









どうかわたしに

核を

ください









自分の覚悟が

崩れないように










どうかわたしに

核をもたせて








あの子の

感性を

失くさず

大人に

してあげたい









どうか

あなたに

伝わりますように










みんなが

自由になって

困るのは

だぁれ〜〜








どうか

あなたに

芽生えますように







あなたの

意識が

起き上がる

芽が









どうかあなたに

種が飛びますように








あなたの

あれ?

消えない種が







どうか

あなたに

花が咲きますように










なんにも

人の目に怯えない

あなたの花が









いつだって

わたしは

わたしだから










あなたなんだから











それ以外には

何もないし

なんにもないんだ