前回まで、大型で戦略的なアウトソーシングを阻害する心情的要因に関して述べました。

本日は、もう一つ大きな阻害になっている日本企業特有の業務に起因する要因について述べます。



日本に比べてアウトソーシングが進んでいると言われているアメリカでは、極端に言えば市販されている共通の帳票があれば業務が遂行されるとよく言われています。これは、企業ごとに業務の違いが少なく業務の標準化が進んでいると言えると思われます。言い方を変えると、業務ごとの仕様が明確で、かつ共通化され形式知になっていると言えます。


アメリカの現状に比べて、日本企業では企業ごとの業務が異なり標準化されていないのが実状です。一つには、例外処理を認めていることにも起因していると考えられます。例外処理の原因は、日本企業では担当者ごとや拠点ごとに業務プロセス作りが任され、その結果全体として一つの企業を見れば統一性がとれなく標準化に乏しい処理になっていると考えられます。また、業務仕様が誰にでも見える形式知でなく、担当者の暗黙知になっているのです。



更にもう一つ、標準化されていない要因は、制度・規則が複雑であることもあると考えられます。制度・規則の複雑化が、企業競争力を後押しするものであればまだしもそうでないものも多くあると思われます。たとえば、出張旅費の算定一つでも複雑な規定を設けている企業も見受けられます。どんな良い制度・規則を作っても、そのひずみは出てくるものです。作った制度・規則の統制については企業トップの強いリーダーシップで、多少、目を瞑っても割り切りのあるしくみで対応するのがベターです。制度・規則も時間経過とともに慣習化すれば納得は得られると思われます。まちがっても、企業競争力を生まない独自性を持つことがあたかも価値であるような考え方はとるべきでないと思われます。


以上のように、業務が標準化されず業務仕様が不明確で、企業ごとで異なれば、アウトソーシングするのは非常に困難になります。仮にアウトソーシングしても、委託されたアウトソーサーは大変な労力を伴います。業務仕様が不明確さや、例外処理が多いと業務に習練するのにも長い期間を要します。また企業ごとに異なるわけですから、一社一社習練していくのですから収益事業として対応していくのは並大抵ではありません。このように、業務が標準化しないことは強いアウトソーサーを育成しないことになり、結局いつまで経ってもアウトソーシングがすすまないことに繋がっていくのです。



このように、過去に培った日本企業全体の業務のすすめかた自身にも大きな問題があると思われるのです。