本日は、O社のアウトソーシング事業の中で経験した様々な問題に関して、事例に基づいて述べたいと思います。




まずA社の例です。A社は一部上場の企業で歴史もある会社です。全国に工場や研究所を保有している製造会社です。この中で、O社が受託したのはこれらの拠点のうち3か所の総務経理部門でした。既にK社に委託されている拠点もありましたが、問題がありK社からO社に委託を切り替えられたのです。3か所で対応人員は20名を超える規模でした。



O社では対応人員のうち、所長クラスは正社員が担当してA社からも出向者も受け、残りは派遣社員などを雇用して対応することにしました。


この受託で、まず難しかったのはサービス内容の曖昧さです。つまり、委託企業のA社と受託企業のO社の役割分担の曖昧さでした。A社からよく出てきた話が、「O社がやってくれると思っていたのにやってくれない」との声でした。これに対して、O社は「O社はそこまで対応するとは考えておらず、A社が対応すると思っていた。」と反論するのでした。結局押し問答になり双方とも不満が残るものでした。



そこで、問題を解決すべくSLA(サービス・レベル・アグリーメント)を締結して、サービスメニューごとにサービス仕様を取り決めたのでした。しかし、一歩前進でしたが完全には問題の解決はしませんでした。それには、背景があったのです。


拠点の総務経理のサービスは相手先が個々の社員一人の場合が多いことにあります。たとえば、出張旅費の出納・社員に対する社宅管理などです。この場合、SLAをA社とO社の企業間で締結していても、個々の社員レベルまで統一することは困難でした。社員一人一人は、SLAで決められていないサービスまで要求されることも多発したのです。SLAに関係なくO社の社員は何でも対応してくれると考えている風潮も払拭できずにいました。


また、O社の対応人員もA社の社員から頼まれたら断れずに対応して、予定以上の負荷を強いられたのです。またO社の社員も下請けとの気持ちも充満してモチベーションが向上しないのでした。



このようになったのは、サービス価格の体系にも問題があったのです。サービス価格は、K社が採用していた体系をそのまま使用して、サービス価格=対応人員×人員単価との考え方でした。つまり、価格体系が人材派遣的な考え方が残っており、頼んだことは何でも対応してくれるという考え方がしみ込んでいたのでした。


したがって、価格単価もサービスメニュー単位で設定し、メニューサービス価格=メニュー別単価×数量に変更することの必要を思い知らされたのです。



次回はB社の例を述べます。