東京での仕事も目途がたったころ、O社の関係会社A社へ1年間出向することになりました。つまり、一年間シェアードサービスを一旦休むことになったのです。


私が、出向することになったA社は、従来から存在していた別の関係会社Bの子会社でした。A社の事業内容は、B社の事業の一部を数人で担当していました。しかし、事業内容や経営体制もB社に依存した独立性の乏しい会社でした。


先にも述べましたが、O社ではシェアードサービス導入と同時に本格的にサービス業への進出を決めたのです。このようなO社の施策に基づいて、A社でも新たにクレジット関係の事業を他社から営業譲渡を受け独自の事業を立ち上げようとしていました。そこで、B社に依存度しない会社としてA社の新たな事業体制の構築をするのが私に与えられた役割でした。このことは、シェアードサービスには直接関係ないものでした。



A社は新たなクレジット事業の立ち上げに際して、他のサービス業からキャリア人材の採用をしていました。メーカーであるO社の人材とは行動スタンスや考え方の異なる人材を採用することになったのです。異なる価値観を持っている人材との交流は予想以上に難しい面もありました。また、A社は歴史が新しいせいか、O社のグループ会社とは言え弱体でした。


反面、O社と比べ社員の行動スタンスはスピード感があり、またコミュニュケーションにも優れていました。私が担当したクレジット事業は低い粗利益(受取手数料)でしたので、収益面では苦しい面がありました。そこで、メーカーの得意な原価管理を活用し収益改善に取り組むことにしました。原価把握は、客先別に把握可能な直接原価に留まるものでした。しかし、移管元のクレジット会社の管理手法にはない考え方でしたので、みんなから驚きの目で見られました。



把握した直接原価は、請求書の発送料・代金の回収に関する金融機関への手数料などでした。このようにして算出した直接原価に基づいて、受取手数料-直接原価=粗利益を客先別に把握することにしたのです。すると驚くべき結果がわかりました。半分以上を占める顧客は少額の手数料で粗利益で赤字でした。また大手の10社くらいの顧客で70%くらいの粗利益をしめていることも分かったからです。このことから、サービス業でも原価管理は有益な事が実感できました。


その後、外部の顧客にシェアードサービスのコンサルティングを対応した際にも、メーカーよりサービス業の皆さんに新鮮に受け取られたのでした。



私自身も、わずか一年間の経験でしたが、サービス事業そのものに携われたのは、その後シェアードサービス、とりわけ外販事業を推進するにあたり非常に役に立った時間でした。