O社でのシェアードサービス導入にあたって、そのプロジェクトチームリーダーは、入社以来ずっと本社で勤務していた副社長でした。このことが、いろんな抵抗があったにせよ、導入をスムーズに導いたと思われます。リーダーが誰より本社を知り尽くしていることは、改革案に対して最後には安心感や信頼感を与えたのです。
これに対して、新たなシェアードサービスセンターのリーダーになったのは、本社出身ではなくある事業部門のトップでした。これには、それなりの理由があります。当時O社は本業のメーカーに加えてサービス業を一つの事業に育てようとしていました。そこで、シェアードサービスに加え、ウェルネス・ファッション・金融などサービスの領域を一括に束ねて、一つの社内サービスカンパニーとして組織化したのでした。このため、トップも事業を知り尽くした人間でなければならないのでした。これは他社に類を見ない取り組みの仕方でした。
社内カンパニーの設立は、シェアードサービス導入に良くも悪くも大きな影響を与えました。シェアードサービスセンターがサービス業として取り組んでいくのだという意識付けを社員一人一人に認識させるのに大いに役立ちました。他社のシェアードサービスの導入に当たって、意識付けが難しく大きな導入効果が生じにくい原因になっているのとは大きな違いでした。
一方、逆に難しい問題も起こりました。O社でのシェアードサービスに当たっては、専門ノウハウの進展に応じ、親会社内導入から、グループ企業への導入そして外販展開とステップを踏んで考えていました。したがって、社内カンパニーは親会社やグループ企業を最重要視して取り組んでいましたが、片方ではスピィディな外販展開も各部門に促していました。このような、外販の取り組みを捉えて、最大の顧客である本社部門から「シェアードサービスセンターは本社や事業部門への貢献を置き去りにして外販を中心に考えている。」との誤解を受けることになりました。この誤解は、シェアードサービスセンターに更に業務を任そうという動きにブレイキをかけることにもなりました。
同じ社内でありながら、組織が分かれるとお互い悪気がないのに無用な葛藤・不信感を引き起こすと感じました。これも事業部門のように市場や顧客を中心に考えていなかったことが遠因になっていたのかもしれません。