私は、大手電子部品メーカーを2年前定年退職しました。その後まもなく、ある団体の「ホームヘルパー2級研修」(現在では介護職員初任者研修)に参加しました。研修参加の目的は、退職後の新たな職業従事でなく、将来ボランティア参加との思いが少しありました。しかし、一度会社生活とは全く違う世界にことを知りたいとの気持ちが強かったからだと思います。



私が参加した研修は、ある大学を会場としていました。内容も介護の技術・実習ばかりでなく、福祉の理論・福祉の取り組みの考え方を織り込んであり結構アカデミックで、久しぶりに大学に入学したような感じでもしました。参加者は50歳後半から60代で私と同じような年齢層でした。参加人数は40名くらいで女性が70%くらいでした。期間は3か月程度だったと思います。


福祉の理論の中では、企業の中でも話題になっている「マズローの欲求の階層」が重要な位置づけになっていることは意外でした。私は、福祉と言うと「困っている人」を助けるというイメージがあり、どちらかと「福祉を与える」という立場で考えてしました。しかし、福祉の原点は「自己実現」を支えていくことが前提と言う考え方には目から鱗でした。これはよく考えれば当たり前のことで、福祉の利用者を一人の人として認め、その人の自己実現を図っていくのが福祉のあり方です。また、援助していく人も利用者の自己実現が、自らの喜びであり自己実現であることが原点だということです。



福祉の父と言われる知的障害者施設の「近江学園」の創設者の糸賀一雄(私が小さいころ新聞によく掲載されていた)は、「この子らを世の光に」という考え方をされていたそうです。「この子ら世の光」でなく「この子ら世の光に」と考えられていたところに糸賀氏の凄さがあると感じました。


介護実習では、介護現場の大変さを実感しましたし、介護支援の必要な人も多様であることもわかりました。重い障害を抱えているにもかかわらず、一人暮らしで勉強を続けている若者もいました。また施設入所者の中には、すべての食べ物に「とろみ」をつけないと食べられないお年寄りもいました。しかし、職員の皆さんの給与水準は安く余程使命感がなければ勤まらないとも思いました。



研修では、押しなべて女性が元気で、ここでも女性力のすごさにも感心しました。家庭でも同じかも知れません。


研修終了後、終了試験があり、全員が合格点でした。(資格取得は認定で試験が必須ではない。)

しかし、受講者のみなさんの意見では「研修で介護の大変さがわかり仕事につくには躊躇する。」という意見をもつ人も多かったようです。


私もその一人ですが、義母が介護のサービスを受ける時期も重なり、家内をいろいろサポートできたことは研修の成果かも知れません。義母は最初、デイサービスに行くことを躊躇していましたが、今では喜んで行っているようです。同じ時代を生きた者同士励まし合い、楽しんでいるようです。寝たきりにならないように、予防的な福祉が大事です。


これから高齢化がすすみ「介護」の重要性は増していきます。私も介護支援が必要な時期が迫っていますが、その前に何らかの形で役立ちたいと思っている今日この頃です。