拠点分散化」から「集中化」への業務改革は、管理の考え方を「現場完結・責任」へ転換することが決め手になると書きました。ここで言う「現場完結・責任」は、原則として経理・人事部門が介在・チェックしないで取引を完結することです。
このように言うと必ず反対論が出てきます。反対論の一つ目は、営業などの事業部門は事業に徹して営業拡大・事業拡大に専心させるべきで、煩わしい事務作業をさせるべきでないとの意見です。更に反対論の二つ目は、経理・人事部門が介在・チェックしないで業務の品質は保たれるのかと言う意見です。確かに二つの反対論も考え方としては間違っていないと思われます。
しかし、前回も書きましたが、業務の品質を保つ中で次のような取引実態もあります。
① 事業部門が基礎的な人事制度・経理制度を身に着けることで間違いが防げるものが多い。
② 取引の90%以上は、毎月繰り返される内容や定型的内容が多い。
したがって、実態論からすると事業部門が管理のレベルを向上させることで業務品質を十分保持することができます。
また、部門管理の考え方からすると、どのような事を考えるべきなのでしょうか。私がよく例としてあげた他の内容で考えてみましょう。それは子育ての考え方です。子供は勉強することが一番大事なので、親としては勉強に専念させたいと考えます。そこで、勉強以外のことは全て親が対応し、子供には勉強部屋の整理整頓・掃除や衣服の整理など身の周りのことは何もやらさないで済まそうとさえします。このようにすると、確かに勉強には専念できますが、それ以外は他人依存症になり、人としての自律性に乏しい人間になってしまいます。やはり親としては、厳しい世の中を生き抜くだけの自律性のあふれた人間になるように考えるべきでしょう。そのため、勉強だけでなく身の回りのことは自分でできるように仕向けるのが正しいと思われます。
企業の中にあっても同じではないでしょうか。確かに事業に専念させることを優先するあまり、人事や経理の基礎的なことをわからない人間が立派な事業家になるのでしょうか。もちろん、事業部門に不必要な管理業務や複雑な業務を強いるのは事業促進を妨げます。しかし、現状の事業環境は時々刻々大きな変化が起こっています。この中で、現場を担う事業部門が人事や経理感覚を身に着けることなく様々なリスク回避はできないと思います。
以上のような考え方に立脚すると、事業部門が多様な知識や視野を身に着け自律性豊かな人材に支えられた存在になることを前提にして部門管理方法を考慮すべきと考えます。これが、日常取引を「現場完結・責任」にする所以です。
しかし、事業部門ができるだけシンプルに事務処理ができる環境を準備することも欠かせませんし、人事や経理のチェックが必要である取引もあるのも事実です。
次回はこの点に関して述べていきます。