前回「拠点分散化」から「集中化」に業務改革するに際して、
① ある程度集中化が可能であるが完全には困難な業務
② ITや決済技術の利用で可能な業務
③ 企業としての管理の考え方を変更することで集中化が可能な業務
に分かれると書きました。
本日はこのうち③の「集中化」のポイントになる企業としての管理の考え方に関して述べます。
私が以前携わった他社へのコンサルティングでの調査では、人事・総務・経理業務の60%が取引のチェック・確認・問い合わせに時間を要しています。たとえば、人事業務で言えば、社員の通勤手当の申請に際する対応などです。また経理であれば、旅費の支払いの際の対応などが該当します。またこのような業務は、現場に接していないと対応が難しいと考えられます。
具体的にはどのような対応をしているのでしょうか。例をあげて考えてみましょう。
ある営業部門での経費の支払いの例で考えてみることにします。
① 営業員は口頭やメモにより所属している部門の事務担当者にその内容を伝えます。
② 事務担当者は渡された内容に基づき伝票を起票します。
③ 起票の仕方が不明な場合は拠点の経理に問い合わせを行います。
④ 起票が完了すると部門長の照査を経て経理に伝票を送付します。
⑤ 伝票を受け取った経理では内容をチェックして不備であれば、該当営業部門に返却します。
⑥ 営業部門では修正して再び経理に送付します。
⑦ 送付を受けた経理部門では再びチェックして問題がなければ経理部門長の最終認可を受けて取引をシステムに入力します。
以上のように多くの人が介在して初めて取引が完了することになるのです。
なぜこのような取引プロセスを経ることになるのでしょうか。それは、
① 引は専門家がチェックしないと問題が生じやすい
② 部門に任せるととんでもないことが生じる
と言った考え方が背景にあると考えられます。しかし、一方このような取引プロセスによると、営業部門からすると「最終的に経理部門がチェックしてくれるので適当でよい。」などの甘えの構造を生みやすい体質になります。また経理部門でも「もぐらたたきのようなチェック」の仕事にさえなりかねません。
また、私がある拠点の経理課長を担当していた時には、間違いを起こす部門は毎月のように同じ間違いを起こしていたという現実もありました。また、チェック業務中心では経理の専門性を磨けないとのジレンマも抱えていました。
そこで、このような状況を打破するには、部門(現場)完結・責任の取引への変更が最適と考えたのです。次回はこの考え方について詳しく述べたいと思います。