新入社員として現場実習が終わり経理部門に配属され、私の本格的な会社生活が始まりました。この時の私の上司は、課の中を小グループに分けるとともに必ず仕事はペアで対応するように組織編成をしていました。このように組織化した理由の一つが人材育成でした。




新人以外の先輩には一種のマネジメントを勉強させることにあったようです。グループ長は将来の管理職としてメンバーをまとめ役を担わされていました。新人がペアになるのは決まって実務を任されている先輩の女性でした。また、グループ長とペアの間には新人のすぐ先輩格の人が

いました。この先輩格の人は、入社2~3年の人で新人から脱して次のグループ長の候補者として、活躍が期待されている人でした。またグループ長と新人の接点役になる人でもありました。




配属されて、上司が私に言った言葉は今でも私の頭の中に残っています。その上司曰く「一年間でペアの女性を越えなければ君の会社人生はないくらいに思え!」というものでした。今ではパワハラ的な言葉かもしれません。しかし、上司の目には優しさがあり私には大きな目標のように感じ良得ました。当時、私の所属していた経理部門では女性が実務を握っていました。私とペアになった女性も、仕事や算盤(当時は必須)がよくできました。よって、学生時代簿記をかじったくらいの私のレベルではとても適いませんでした。私は何度ミスをしたかわかりません。その都度、その女性からは、厳しいことを言われたのです。このため、自分の至らなさを痛感して学生気分は吹っ飛んでしまいました。したがって、ペアの女性を乗り越えることに一生懸命になりました。嬉しいもので、一年経過するころ、ペアの女性から恋愛相談を受けるようになりました。恋愛経験のない田舎者の私に相談しても仕方ないことだったのですが、これで何とか上司から言われた目標を達成できたと思いました。変なきっかけですが、一年前より信頼を得たという喜びでした。


ペアの女性だけでなく、2年年上の先輩格の人も歳の差以上に仕事ができると感じました。「私も同じ歳になって同じレベルになれるだろうか?」という不安になりました。一方で発奮材料にもなりました。




厳しい環境ではありましたが、グループ長は人柄も素晴らしくまとめ役としてはうってつけの人でした。憧れの存在で、私の書く字はグループ長とそっくりとなりました。また、呑み会・社員旅行・運動会・クリスマスパーティなど仕事を離れると「ワイワイガヤガヤ」の機会は多く、くよくよ悩んでいる暇はありませんでした。




以上のような経験から私は次のようなことを会得しました。




一つ目はペアでの仕事体制は身近に自分の直近のあるべき能力をベンチマーク出来る存在がいかに大切かを教えてくれました。二つ目として2年上の先輩格が身近にいることは「2~3年後に達成すべきレベル」が明確になるメリットがあったのです。達成すべき目標が明確になると今の自分のレベルと比較して何を身につけねばならないということがはっきり分かるようになりました。




人は目標が明確になると頑張るように仕向けられているようです。それには、人事規定の「職務別の能力記述書」や座学での学習も大切です。しかし、人との触れ合いによって向上心が養われ、人を学習に向かわせることがより重要だと体験することができたのです。