シェアードサービスの概念は、「顧客」にサービスを提供していくことにあります。しかし、ここで言う「顧客」には、多くの人が何か違和感を感じると思います。その理由はシェアードサービスで顧客の存在と聞いても、それほど通常の顧客と大きく異なると感じるからです。
通常の顧客との違いの一つは、シェアードサービスで言う顧客は同じ企業もしくは同一企業グループ内を対象としているからです。いわば身内を対象にしていることから、第三者的な扱いが難しいと思われます。また、シェアードサービスという新しい経営手法の導入前には、顧客と言っても同じ組織内で一緒に仕事をしていたかもしれません。したがって、より一層第三者と同じような顧客関係を構築することは困難と言えます。
二つ目の違いは、従来は顧客を意識せず仕事をしてきたのに、シェアードサービス導入を契機に急に「顧客を意識しなさい。」と言われても簡単には意識が変わるものではありません。意識が変わるには意識変革の具体的な打ち手の浸透が必要と思われます。
以上のようなことから、社内の「顧客」からの声を素直には受け取れないと思われます。たとえばサービスのQCS(品質・コスト・スピード)に対して問題を指摘された場合や、価格ダウンを要請された時などです。この際、顧客に対して「同じ社内で仲間なのに偉そうなことを言うな。」というような不信や不満が出てくるかもしれません。このように、顧客が身内であるため「顧客に対して甘えの感情」「顧客への第三者意識の醸成の困難さ」が課題として発生してくるのです。
一方、顧客の側にも通常の場合と異なる課題があります。この課題は、シェアードサービスセンター側の課題と裏返しかもしれません。
顧客側からすると、シェアードサービス導入以前は「サービスの提供を受けている。」との意識はなかったと思われます。新たな経営手法を契機に「顧客としてサービスの評価をしなさい。」と言われても、即実行することは難しいと思われます。なぜなら、顧客としてサービスの評価をする基準を持ち合わせていないこともその一因です。つまり、サービス内容を厳しく評価できる成熟した顧客ではないのです。
したがって、顧客もシェアードサービスセンター側の言いなりになってしまう可能性もあります。この場合は、シェアードサービス導入の目的であるサービスのQCSの向上は達成できません。
また、顧客もサービス内容の中身には触れず「売価ダウンをしてください。」というような価格ダウンのみになること場合もあるかもしれません。この場合はシェアードサービスセンター側から「業務の中身はわかっていないのに偉そうなことを言う。」「同じ社内なの上から目線で物を言う。」などのような反発の声が上がります。
以上のような特殊な顧客関係を考え、サービスの向上を図るにはどうすればよいのでしょうか。明日述べます。