大好きなのに、名前がわからなくなる花があります。

 それは、スノーフレーク。

 和名は大待雪草、別名鈴蘭水仙とも言います。

 

 

 可愛いでしょう。

 釣鐘型の花の形も、まっ白な花弁と濃い緑の茎とのコントラストも、すっとした立ち姿も、そして何よりも個性的なのは六枚の花びらのさきにそれぞめぽつんと落とされた緑の斑点。

 可愛すぎるだろう!!

 なぜこんなところに緑のしるしがつけるよう遺伝したのか、不思議でなりません。

 

 

 角度によっては、まるでランタンを下げているように見えませんか。

 個体差がありますが、たいてい一枝から3~5輪くらい花を付けているように思います。

 ちょっとだけ花びらの先が反っていて、なおかつ中央部分はぽってりと膨らみを見せる。

 ウエストをきゅっと絞りたっぷり膨らませたドレス姿にも見えます。

 ところで、花びらとつながる膨らんだ緑の部分は『花托』と言って『子房』を包む部分となりますが、雄しべ雌しべともにあっても球根で増やせるので結実しません。たぶん。

 同じ球根で生育するチューリップなどはまれに種を取ることができるそうですが花をつけるまで五年くらいかかるらしく、養分が上にとられないよう花が終わると摘んでしまうようです。

 球根なら、条件が揃えば毎年芽吹いて花を咲かせてくれます。

 そうなると、球根系の花の存在意義は…。

 なぜ咲くのか、これほど綺麗な姿を選んだのか。

 球根はクローン、種は子供。

 ということは、結婚以来我が家で毎年咲くフリージアはいつも同じ個体だということになります。

 世の中は不思議でいっぱいですね。

 

 

 本題に戻りますが、この大絶賛のスノーフレークの名前がどうしてわからなくなるかというと、ひと月ほど先に咲く花で『スノードロップ』という花があるからです。

 

 スノードロップの和名は『待雪草』。

 そう、スノーフレークは『大待雪草』ということで、英名も和名も似通っているのです。

 実家でもあまりスノードロップを見かけた記憶がないので画像も手元にないのですが、スノードロップは背が低く10~20㎝なのが一番の特徴。

 (スノーフレークは30cm~50cmくらい)

 茎と花の色もスノーフレークに似ていますが、花びらの形と大きさがちがいます。

 まずは、花の茎一本につき咲くのは一輪。

 緑の斑点が大きめについた小さな花弁三枚を囲むように、斑点のない白い長細い三枚の花弁が覆います。

 雪解けのころにぽそっと咲く感じなのだと思います。

 

 これほど違いを挙げられるというのに、なぜ二つを混同してしまうのかと聞かれると、なぜでしょうねえ・・・としか言えません。

 ドロップなのか、フレークなのか。

 スノードロップを早春の雪のしずくというイメージでなるべく覚えようとするのですが、スノーフレークの緑の斑点がドロップみたいって思ってしまうのですよね…。

 そういやスノードロップの外側の花びらの形はドロップイヤーのウサギの耳に似ているので、これからウサギ耳と刷り込みを入れれば何とかなるのか、己の灰色の脳みそに。

 そもそも私は数字とカタカナが苦手で、字面を見聞きしてその時は理解しても口にしようとしたらわからなくなる。

 アボカドとアボガド、カピバラとカピパラ・・・。

 ほかにもたくさんありますよ。

 もっと聞きますか、覚悟は良いですか?

 冗談ではなく、本当の話。

 

 私のつたない表現ではスノードロップの姿がわからないと思うので、NHKの趣味の園芸のサイトのリンクを置きますね。

  『スノードロップとは』 ←こちらが趣味の園芸のサイト

 

 なので、今年は恥を忍んで夫に尋ねました。

 母が庭から切ってきてくれたこの花を指さして。

 「この花の名前はなんですか」

 「スノーフレークだよね」

 瞬殺です。

 

 

 これほど好きなのに、いくつか所持していたはずのスノーフレークは今年一輪も花を見かけませんでした。

 理由は名前を覚えられないばかりか球根の区別も付かず、秋になると適当に埋めてしまうからなのですよね・・・。

 同じ理由でムスカリも見当たらない。

 ターシャ・チューダーがみたら卒倒するくらいざっくりなんだ、私の世話の仕方は。

 もしかしたら実家へ戻した鉢のほうに紛れていたのかもしれないけれど、愛想をつかされたのかもしれませんね。

 

 そんな私に、むかし職場の先輩が二つ名をくれました。

 グリーンサム、と。

 ・・・ああ。

 世界中のグリーンサムに謝りたい。

 

 それでも、私はあえて言う。

 スノーフレーク大好き、と。