今回は画像が多く、文章少なめです。

 

 先日、両親が食材をはじめとした色々な物資を届けてくれました。

 そのうちの一つが切り花です。

 今現在庭で咲いているものの一部を花束にしてくれたのをお見せします。

 

 

 私の生け方がいまいちだったのでちょっと角度を変えて撮ってみました。

 クリスマスローズ、フリージア、スノーフレーク、貝母です。

 

 

 この緑色の花が『貝母』。

 『アミガサユリ』とも呼ぶようで茶花として使われますし、鱗茎は生薬になるようです。

 ずいぶん前から庭で早春に咲いているのは知っていたけれど、今まで手に取ったことがありませんでした。

 写真も何度か撮ろうとして失敗していたので、真剣に向き合ったのはこれが初めて。

 生け直そうと手に取り、驚きました。

 これ、どういうことなんだろうと。
 
 
 茎も花もすんなり伸びているけれど、葉がくせものなのです。
 実際、この画像の中でどれがどの茎と葉なのかわからないでしょう。
 一輪ずつにしようとしたら、互いに巻き付きあってなかなか離れませんでした。
 先端がくるりと巻いていて、これがけっこう強力。
 掴んだ相手をがっちり絡めとり、何が何でも離しません。
 もはやこうなると強い意志を感じます…。
 
 
 こんな形状をした葉を私はあまり見たことがない。
 いや、気がつかなかっただけかもしれないけれど。
 蔓ではなく、葉っぱ。
 蔦のように何かに巻き付いて繁茂していかねばならない特性でもないのに、くるくるねじのように巻いている。
 
 
 ・・・なぜ?
 自立できる植物なのに、その形態の葉は必要?
  巻き付きあった貝母たちを細心の注意で引きはがしながら(花弁はけっこう繊細なので取扱注意)、ずっと彼らに問いかけました。
 どうしてそんな姿なの、あなたたち…。
 
 
 趣はあります。
 正直なところ、このくるくる巻いた葉先が絶妙なバランスと変化を見せてくれるので、生け花として最高の素材だなと思う。
 
 そして、見るからにわびさび。
 釣鐘状で伏し目がち、緑色ベースに紫の網目模様(編み笠を連想させるとか)なんて花、千利休のドストライクだったのではないかと思うのです。
 しかも、早春。
 きりりとした立ち姿。
 一輪挿しでも様になるし、すんなり高めに立たせて根元に椿をあしらう形など定番でしょう。
 風流を演出するのに長けている花なのです。
 いつ中国より渡来したのかはちょっと勉強不足なので、もしかしたら時代が重ならないのかもしれませんが。
 
 
 ここまで書いて、貝母をここまで熱く語る奴はいるのだろうか。
 ・・・と、ちょっと正気に戻りました。
 庭先に咲いていた時には雪柳やフリージアやスノーフレークほどには熱心に愛でていなかったのに、花瓶に生けた途端のこの手の平返しぶり。
 貝母にもうしわけないと・・・。
 正気に戻ったんじゃなかったのか私。
 綺麗な姿を撮りたいとスマホを構えているうちに情がわいてしまったようです。
 この情勢でなかなか外へ行けず、狭い空間で花と対峙しているうちに色々芽生えてしまったというか(笑)。
 
 
 最近、どうしてこの植物はこのような姿なのだろうとついつい考えてしまうことが増えました。
 長い時間をかけての答えが今の形なら、その過程はなんだったのかとか。
 今更植物学を極めるのは無理だけど、それを楽しむ機会があるというのはありがたいことだと思います。
 
 両親がこの花を運んでこれるほど健康であることにまずは感謝を。
 そして、今年も見事に咲いてくれた貝母にも感謝です。
 
 …結局、最後の最後で貝母を語っている。
 これはもう、恋だろう。
 好きな花が一つ、増えました。