■インドからの最新レポート4
(1月11日 PM20:00 ソムニード・シャプラニールインド津波被災地緊急・復興支援調査団)
2005年1月7日から9日にかけて、タミールナドゥ州の津波被災地を調査し、効果的な復興、再建支援の方策を探った。
<調査団員>
和田信明(ソムニード代表)、原康子(ソムニード)、R. Jayachandran(ソムニード)、Samuel Jespatam(ソムニード)、白幡利雄(シャプラニールダッカ事務所長)
<調査地>
今回調査を行ったのは、インド、タミールナドゥ州カダロール県である。カダロール県を選んだ理由は、被害の大きさに比べて脚光を浴びることの少なく、援助の手が十分届かない恐れのある地域であるということにある。また、地元のNGOのネットワークによる緊急援助の受け入れ態勢が比較的良好であることも、その理由である。
<今回調査の目的>
今回の調査目的は、インドの津波災害の被災地において、シャプラニールとソムニードがそのもてる経験とノウハウを最も生かせる効果的支援方法を見出すためと、緊急援助の現状を判断するためにある。
両団体のノウハウを活かすには、巨額の費用と膨大な設備を必要とする災害初動期の緊急支援よりも、緊急支援の第一段階が終わった後の、復興、再建を住民の希望と現状に沿った形で支援することにあると思われる。実際に、今回の津波災害についても、初動期が終わろうとしている現在、被災民に対する緊急支援は、概ね行き届いていると、調査団は現場での状況から判断した。被災したどの村にも仮設テントの配給所が設けられ、治安を確保するための警察官2人以上が配置され、政府からの食料、調理器具などの支援物資に加え、外国のNGOによる類似の支援、また、インド各地からのボランティアによる支援など、まずは十分と言える。また、国道沿いの、アクセスのよい場所のみならず、主要道路からはずれた場所にも、我々が訪れた範囲では、全てそれなりの援助が入っていた。
ただし、現行の緊急支援が終わった後、どのように復興に取り組んでいくかは、全体的にまだ不透明である。その中で、復興支援の方策を、現場の実態に沿い、かつ両団体の特長を生かした形で定めることは、現場で復興に取り組む他の機関にとっても極めて貢献度が大きいと考えられる。
<調査結果>
カダロール県の海岸部49ヵ村が被害を受け、そのうち17ヵ村が甚大な被害を受けている。全て漁村である。
直接被害を受けた被災地の周辺に避難所が設けられ、被災者が村毎、あるいは数ヵ村単位で避難している。避難所には、食料、衣料、医薬品などほぼ十分と言える量が届いている。
避難所以外、被災した村々へも緊急援助物資は届いている。幹線道路からかなりの距離を入った村々へも、くまなく援助物資は届いている。
援助物資は、インド政府、国際機関、国際NGO、インド各地からのボランティアによるものが届いている。地元のNGOが、物資が被災者に届くことをコーディネートしている。
避難所内に、簡易クリニックが設けられているところもある。また、避難所の子どもたちを対象とした遊戯、ゲームなどのケアも行われている所もある。
避難民たちには配給用のカードが配られ、二重、三重の配給がないように配慮も行われている。
衣料品などは、トラックから放出された衣料品が使用されないまま放置されている場面をよく見かけた。
水タンクへの定期的な供給などは、確認することが出来なかったが、タンク車による住民への直接の給水場面は、しばしば見かけた。住民は、ポリ容器を持参し、列を作って給水を待っている。
地元のボランティア団体(女性自助グループなど)の協力を得た住民調査が始まっている。
仮設住宅建設への住民の希望の聴き取り調査も、一時始まっている。
住民の再建への希望の聴き取りも、平行して始まっている。
政府の再建計画と住民の希望とのコーディネーションは、調査した限りではなかった。
全体的に、緊急物資の配給計画、復興、再建へのさまざまな政府からの支援策など、住民への情報の伝達は十分とは言えない。
上記のような住民の聞き取り調査を行っているのは、民間の団体、大学からのボランティアなどである。
被害状況に関して、海岸にカジュアリーナ林が植林してある場所は、人的被害が少なく、また建物に対する被害も比較的少ないようである。この点に関しては、データマップを作成する必要性があると思われる。逆に、灌木が無秩序に生えていた場所などは、女性のサリーが枝やとげに引っかかり、逃げられなくなったとの証言を得た。
被災地への救援が、被災地の死者数に比例しており、死者が少ない、あるいは死者が皆無でも、経済的打撃の大きいところでは、復旧の方策の立て方が薄くなっている。
今回の津波の救援の重点は死者の多い地域に集中しているが、死者数がそのまま復興の困難さを現しているのではない。死者数、負傷者数に関わらず、漁船、家屋、漁網への損害があれば、それはそのまま現在生活の糧を失っている状態を意味し、生活の立て直しを極めて困難な状態にしている。そのような人々に対する復興支援が、軽視されてはならない。
付属的な問題として、漁村から魚を仕入れて商いをしていた小規模商人、あるいは、漁村で仲買をしていた人々は、漁師が休業状態にあることによって、これも完全に生活の糧を失っている。
さらに、復興支援で問題なのは、大手NGOなどが仮設住宅建設に対する資金投入を行おうとしているが、被災民は必ずしも仮設住宅を必要とはしておらず、それよりも、その資金を、漁船の修理、漁網の購入などの資金としてローンを組んでもらった方がよいという希望がある。この様な、復興期の復興施策の行き違いの是正は、地元NGOのコーディネーション能力に大きく関わっている。
また、中央政府、州政府、地方政府への情報伝達、そして県レベルでの情報の共有に関して、さらには、政府からNGOなどの民間機関との情報共有、被災者との情報共有など、従来でも円滑に行われていなかったことが、この様な状況ではさらに決定的な重大さを持つ。この点でも、地元NGOのコーディネーション能力は大きな意味を持つが、そのようなマクロとミクロを包括的に結びつけるキャパシティーが地元NGOにあるとは思えない。
http://www.shaplaneer.org/campaign/tsunami04_india.htm