こんにちは、イサです。

前回の記事で、

僕が「想いを形に」で作りたいのは、
デザインそのものだけではなく、

「対話を通して、自分でも気づいていなかった想いを見つけ、それが形になっていく体験」

なのかもしれない、と書きました。

でも、ここで新しい疑問が出てきました。

「そもそも、人の想いってどうやったら見つけられるんだろう?」

今回は、そんな話です。



例えば、

「お母さんに何を伝えたいですか?」

と聞いたとします。

たぶん、

「ありがとう」

と答える人は多いと思います。

もちろん、それだけでも素敵な言葉です。

でも、同じ「ありがとう」でも、

その中身は一人ひとり違うはずです。

毎朝お弁当を作ってくれたことへの「ありがとう」。

何も言わずに自分のやりたいことを応援してくれたことへの「ありがとう」。

喧嘩ばかりしていたけれど、それでもずっと味方でいてくれたことへの「ありがとう」。

同じ5文字なのに、

その後ろには、全然違う人生があります。

僕が形にしたいのは、

もしかすると、

「ありがとう」という言葉そのものではなく、その奥にあるものなのかもしれない。

そう思うようになりました。



じゃあ、その奥にあるものをどうやって見つけるのか。

そこで今、僕が興味を持っているのが、

「対話」

です。

ただ、

「何を伝えたいですか?」

と質問して答えてもらうだけではなく、

その人の話を少しずつ聞いていく。

「どんな人ですか?」

「その人との思い出で、一番最初に浮かぶものは?」

「それって、どうして今でも覚えているんですか?」

「そのとき、どんな気持ちでした?」

「今だから言えることってありますか?」

そんなふうに話していったら、

最初は本人も意識していなかったものが出てくるかもしれません。



例えば最初は、

「お父さんに退職祝いで、ありがとうと伝えたい」

だったとします。

でも話を聞いていくと、

毎朝誰よりも早く家を出ていたこと。

疲れて帰ってきても、自分の話を聞いてくれたこと。

家族旅行では、いつも運転してくれていたこと。

そんな記憶が出てくる。

そして最後には、

「ありがとうというより……

これからは自分のために時間を使ってほしい、なのかもしれない」

という言葉が出てくるかもしれません。

僕は、そこにすごく価値があると思っています。

なぜなら、

それは僕が考えた言葉ではなく、

その人の中にずっとあった言葉だからです。

僕は、それを勝手に作るんじゃなくて、

一緒に探す。



そのために最近、

心理学や対人支援で使われている「傾聴」や「オープンクエスチョン」といった考え方についても調べ始めました。

もちろん僕がやりたいのは、カウンセリングではありません。

心の問題を治療することでもありません。

あくまで、

「大切な人に何を伝えたいのかを、一緒に整理するための対話」

です。

でも、人の話を聞く方法について学ぶことで、

もっと丁寧にその人の想いと向き合えるんじゃないかと思っています。



そして、この対話には一つ大事にしたいことがあります。

それは、

僕が答えを決めないこと。

例えば話を聞いて、

「あなたはお父さんに認めてほしかったんですね」

と僕が勝手に決めてしまったら、

それはもう、その人の想いではありません。

だから、

「話を聞いていると、もしかするとこういう気持ちもあるのかなと思ったんですけど、どうですか?」

と返す。

違ったら、違う。

「いや、それじゃないです」

でもいい。

むしろ、その「違う」から、

本当の想いに近づけるかもしれない。

答えを教える人ではなく、一緒に探す人でいたい。

これは、このサービスを作るうえで大切にしたいことの一つです。



そして、

話して、

思い出して、

気づいて、

言葉になったものを、

最後にデザインへ変えていく。

例えば、

「ずっと背中を押してくれた」

という想いなら、

単にその文章をTシャツに印刷するのではなく、

「背中を押す」という意味を、

道だったり、

風だったり、

後ろから差す光だったり、

その人との思い出にある何かだったり、

その人だけの表現に変えていく。

だから、

同じ「ありがとう」から始まっても、

完成するデザインは全く違うものになるはずです。



まだ、この対話の方法は完成していません。

むしろ、ここからです。

どんな質問なら話しやすいのか。

どこまで聞けばいいのか。

どんな順番なら自然なのか。

本当に対話によって「伝えたいこと」は変化するのか。

考えなければならないことはたくさんあります。

だから次は、

実際にこの対話を人に体験してもらいたいと思っています。

話す前には、

「ありがとう」

だけだったものが、

話した後にはどうなっているのか。

もしそこに変化が生まれたら、

僕が作ろうとしているものの価値を、

少しだけ証明できるかもしれません。



「想いを形に」と言いながら、

今まで僕は、

「形」の部分ばかりを考えていたのかもしれません。

Tシャツにする。

ポーチにする。

デザインにする。

もちろん、それも大切です。

でもその前に、

形にする「想い」を見つけなければならない。

そして、

その時間そのものが、

誰かにとって大切な体験になるかもしれない。

今は、そんなことを考えています。

まだまだ実験中です。

次は実際に、人と話してみます。

「ありがとう」の奥には、何があるんだろう。

それを、一緒に探してみたいです。

第4号へ続く。