こんにちは。週一で踊る税理士の池田です。
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本日ご紹介するのは、
『成年被後見人は障害者控除を適用できるのか』です。


国税庁の文書回答事例として、成年被後見人は所得税法上の特別障害者に該当するのではないのか?という質問に対する回答がされました。

まずは回答を原文のまま掲載します。

所得税法上、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」は特別障害者とされ、居住者又は控除対象配偶者若しくは扶養親族が特別障害者である場合には、40万円の障害者控除が認められています(所法79)。
この「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」について、所得税法に特段の定義はなく、民法第7条に定める「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」と同一の用語を用いていることから、家庭裁判所が、鑑定人による医学上の専門的知識を用いた鑑定結果に基づき、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」として後見開始の審判をした場合には、所得税法上も、成年被後見人は「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」に該当し、障害者控除の対象となる特別障害者に該当すると考えられます。
この点、現行の所得税法の規定が、「民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成11年12月8日法律第151号)」により、「民法の一部を改正する法律(平成11年12月8日法律第149号)」による民法の改正に併せて改正されていることからも、民法に定める「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」は、所得税法に定める「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」に該当すると考えられます。


つまり、成年被後見人=所得税法上の特別障害者ということを上記の文章で述べています。

これまで、特別障害者に該当するか否かの判断は身体障害者手帳により判断するのが一般的で、成年被後見人となった場合などの細かな取扱いは特に規定がなく、個別に問い合わせておりました。
それが、この回答により問い合わせる必要が無くなりました。


そして同時に新たな疑問が生じます。相続税の場合にはどうなるのか?という疑問です。

相続税についても、条文自体は所得税とあまり変わりませんし、障害者の定義も所得税法の規定を借用しています。
この事から、相続税についても同様に特別障害者に該当するものと思われます。

税理士:池田良博
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(定義)
所得税法第二条
二十八  障害者 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者、失明者その他の精神又は身体に障害がある者で政令で定めるものをいう。
二十九  特別障害者 障害者のうち、精神又は身体に重度の障害がある者で政令で定めるものをいう。

(障害者控除)
所得税法第七十九条  
居住者が障害者である場合には、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から二十七万円(その者が特別障害者である場合には、四十万円)を控除する。
2  居住者の控除対象配偶者又は扶養親族が障害者である場合には、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から、その障害者一人につき二十七万円(その者が特別障害者である場合には、四十万円)を控除する。
3  居住者の控除対象配偶者又は扶養親族が特別障害者で、かつ、その居住者又はその居住者の配偶者若しくはその居住者と生計を一にするその他の親族のいずれかとの同居を常況としている者である場合には、前項の規定にかかわらず、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から、その特別障害者一人につき七十五万円を控除する。

(障害者控除)
相続税法第十九条の四  
相続又は遺贈により財産を取得した者(第一条の三第二号又は第三号の規定に該当する者を除く。)が当該相続又は遺贈に係る被相続人の前条第一項に規定する相続人に該当し、かつ、障害者である場合には、その者については、第十五条から前条までの規定により算出した金額から六万円(その者が特別障害者である場合には、十二万円)にその者が八十五歳に達するまでの年数(当該年数が一年未満であるとき又はこれに一年未満の端数があるときは、これを一年とする。)を乗じて算出した金額を控除した金額をもつて、その納付すべき相続税額とする。
2  前項に規定する障害者とは、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者、失明者その他の精神又は身体に障害がある者で政令で定めるものをいい、同項に規定する特別障害者とは、同項の障害者のうち精神又は身体に重度の障害がある者で政令で定めるものをいう。

(障害者の範囲等)
相続税法施行令第四条の四  
法第十九条の四第二項 に規定する精神又は身体に障害がある者で政令で定めるものは、次に掲げる者とする。
一  所得税法施行令第十条第一項第一号 から第五号 まで及び第七号 (障害者及び特別障害者の範囲)に掲げる者
二  所得税法施行令第十条第一項第六号 に掲げる者のうち、その障害の程度が同項第一号 又は第三号 に掲げる者に準ずるものとして同項第七号 に規定する市町村長等の認定を受けている者
2  法第十九条の四第二項 に規定する精神又は身体に重度の障害がある者で政令で定めるものは、次に掲げる者とする。
一  所得税法施行令第十条第二項第一号 から第四号 まで及び第六号 に掲げる者
二  所得税法施行令第十条第一項第五号 に掲げる者
三  前項第二号に掲げる者のうち、その障害の程度が所得税法施行令第十条第二項第一号 又は第三号 に掲げる者に準ずるものとして同条第一項第七号 に規定する市町村長等の認定を受けている者