こんにちは。週一で踊る税理士の池田です。
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先週無事にフラメンコの発表会が終わりました。
間違えたところもありましたが、楽しかったーー。
皆さんは何か体を動かす趣味はお持ちですか?

さて、本日ご紹介するのは、
『役員報酬を減額する場合』です。

今年の4月に国税局が作成している「役員給与に関するQ&A」が更新されました。
今回はそこからご紹介します。

なお、役員報酬については、このブログでも何度か取り上げていますので、参考にしてください。

今回、紹介されている事例の内容をまとめると、以下のとおりです。
1.当期において、売上の大半を占める主要な得意先が1回目の手形の不渡りを出した。
2.数か月後には当社の売上が激減することが避けられない状況にある。
3.役員報酬の減額を含む経営改善計画を策定し、今月から役員給与を減額する旨を取締役会で決議した。

以上です。
上記の事例は、年度途中で役員報酬を減額することにつき、その減額が「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」(業績悪化改定事由)に該当するかどうかが問題となります。なぜなら、
業績悪化事由に該当する=全額経費として認められる。
業績悪化事由に該当しない=一部又は全部が経費として認められない。
となるからです。

結論から申し上げますと、この事例の場合には、業績悪化事由に該当し、全額経費として認められます。

その理由としては、
現状では売上などの数値的指標が悪化しているとまでは言えないが、役員給与の減額などの経営改善策を講じなければ、客観的な状況から今後著しく悪化することが不可避と認められるためです。

そして、この事例で重要な点は、
「今現在は業績が悪化していない」という点です。今は大丈夫でも将来の業績悪化が見込まれれば、その時点から役員報酬を減額してもすべて経費とすることができるのです。

この事例以外にも、例えば、主力製品に瑕疵があることが判明して、今後、多額の損害賠償金やリコール費用の支出が避けられない場合なども業績悪化改定事由に該当するとしています。
ただし、あくまでも客観的な状況によって判断することになるので、客観的な状況がない単なる将来の見込みにより役員給与を減額した場合には、業績悪化改定事由による減額改定に当たらないことになります。
なお、事例のような場合には、役員給与を減額するに当たり、会社経営上の数値的指標の著しい悪化が不可避と判断される客観的な状況としてどのような事情があったのか、経営改善策を講じなかった場合のこれらの指標を改善するために具体的にどのような計画を策定したのか、といったことを説明できるようにしておく必要がありますので、留意してください。

(注)事前確定届出給与に係る業績悪化改定事由についても、同様の取扱いとなります。


(役員給与の損金不算入)
法人税法第三十四条  
内国法人がその役員に対して支給する給与(退職給与及び第五十四条第一項(新株予約権を対価とする費用の帰属事業年度の特例等)に規定する新株予約権によるもの並びにこれら以外のもので使用人としての職務を有する役員に対して支給する当該職務に対するもの並びに第三項の規定の適用があるものを除く。以下この項において同じ。)のうち次に掲げる給与のいずれにも該当しないものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
一  その支給時期が一月以下の一定の期間ごとである給与(次号において「定期給与」という。)で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものその他これに準ずるものとして政令で定める給与(次号において「定期同額給与」という。)
二  その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与(定期同額給与及び利益連動給与(利益に関する指標を基礎として算定される給与をいう。次号において同じ。)を除くものとし、定期給与を支給しない役員に対して支給する給与(同族会社に該当しない内国法人が支給するものに限る。)以外の給与にあつては政令で定めるところにより納税地の所轄税務署長にその定めの内容に関する届出をしている場合における当該給与に限る。)

(定期同額給与の範囲等)
法人税法施行令第六十九条  
法第三十四条第一項第一号 (役員給与の損金不算入)に規定する政令で定める給与は、次に掲げる給与とする。
一  法第三十四条第一項第一号 に規定する定期給与(以下この条において「定期給与」という。)で、次に掲げる改定(以下この号において「給与改定」という。)がされた場合における当該事業年度開始の日又は給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日又は当該事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの
イ 当該事業年度開始の日の属する会計期間(法第十三条第一項 (事業年度の意義)に規定する会計期間をいう。以下この条において同じ。)開始の日から三月を経過する日(保険会社(保険業法第二条第二項 (定義)に規定する保険会社をいう。次項第一号及び第七項において同じ。)にあつては、当該会計期間開始の日から四月を経過する日。イにおいて「三月経過日等」という。)まで(定期給与の額の改定(継続して毎年所定の時期にされるものに限る。)が三月経過日等後にされることについて特別の事情があると認められる場合にあつては、当該改定の時期)にされた定期給与の額の改定
ロ 当該事業年度において当該内国法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情(次項第二号及び第三項第一号において「臨時改定事由」という。)によりされたこれらの役員に係る定期給与の額の改定(イに掲げる改定を除く。)
ハ 当該事業年度において当該内国法人の経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(第三項第二号において「業績悪化改定事由」という。)によりされた定期給与の額の改定(その定期給与の額を減額した改定に限り、イ及びロに掲げる改定を除く。)
二  継続的に供与される経済的な利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの


税理士:池田良博
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