こんにちは。税理士の池田です。
TEL:04-7164-2828
千葉県松戸市小金きよしケ丘2-10-7 詳細はこちら
突然ですが、税金を滞納したらどうなるか知ってますか?
本日ご紹介するのは、
『滞納税金があるときに考える事』です。
今回はあまり皆さんがご存じないけれども気になる事例をご紹介いたします。
税金を滞納した場合には、基本的には税務署の徴収部門の職員から問い合わせがあり、今後の納税について話し合います。後日、税務署から督促状が送られてくるのでそこに記載されている金額を納税します。
では、その税金を納付しなかった場合には、どうなるのでしょうか。一つの事例を紹介いたします。
今回は、判例を基に書きます。この判例は、源泉所得税(国税)を滞納していた法人(美容業)が、建物(店舗)を差押さえられて営業継続が困難となったことに対し、税務署長を訴えた判例です。
Ⅰ.請求人(美容業を営む法人)の主張
1.請求人は店舗を整理して、売上は減ったものの、所得を増やす努力をし、滞納を整理しようとしていた。
2.税務署はこの努力を無視して、店舗を差押えた。
3.請求人は営業継続に支障が生じ、納税が困難となった。
4.本件差押処分は、請求人を廃業に追込み中小企業を倒産させまいとする国の方針とも異なる。
Ⅱ.原処分庁(税務署)の主張
次のとおり適法であり、不当処分でない。
1.本件差押処分は、国税徴収法(以下「徴収法」)に基づき行われた。
2.差押えた建物(店舗)は、徴収法75条に定める差押禁止財産にも該当していない。
3.「不当な処分」とは、法令上適法でない処分をいうものと解されるが、本件差押処分は、上述のとおり適法である。
Ⅲ.審判所の判断
1.本件差押処分は、督促状を発した日から10日までに滞納税金が完納されていなかった。
2.請求人は、原処分庁の担当職員と滞納税金の納付交渉を行い、納付計画書のとおり納付を約束したが、これを履行しなかった。
3.本件差押処分は、徴収法47条に基づいているため、違法な点は見られない。
4.請求人は、本件差押処分は、中小企業を倒産させまいとする国の方針と異なる旨主張するが、しかし、それが国の方針であるとしても、いかなる場合について差押処分ができないとするかについて法令の定めが無い。
5.中小企業を倒産させないという観点のみから、法律に基づいて課された租税を徴収しない事は、租税負担の公平を害する事となる。
6.法令上根拠のない中小企業の倒産防止という要素を裁量判断の基礎とすることはできない。
以上から、請求人の主張にはいずれも理由が無いから、本件差押処分を不当という事は出来ない。
納税が遅れる場合には、事前に税務署等に相談に行きましょう。私も何度か納税者と相談に行きました。
こちらの事情をきちんと話せば、理解してくれる担当者もいます。差押という最悪の結果を招かないためにも、まずは近くの税理士さんに相談してみてください。
(差押の要件)
国税徴収法第四十七条
次の各号の一に該当するときは、徴収職員は、滞納者の国税につきその財産を差し押えなければならない。
一 滞納者が督促を受け、その督促に係る国税をその督促状を発した日から起算して十日を経過した日までに完納しないとき。
二 納税者が国税通則法第三十七条第一項 各号(督促)に掲げる国税をその納期限(繰上請求がされた国税については、当該請求に係る期限)までに完納しないとき。
2 国税の納期限後前項第一号に規定する十日を経過した日までに、督促を受けた滞納者につき国税通則法第三十八条第一項 各号(繰上請求)の一に該当する事実が生じたときは、徴収職員は、直ちにその財産を差し押えることができる。
3 第二次納税義務者又は保証人について第一項の規定を適用する場合には、同項中「督促状」とあるのは、「納付催告書」とする。
(超過差押及び無益な差押の禁止)
国税徴収法第四十八条
国税を徴収するために必要な財産以外の財産は、差し押えることができない。
2 差し押えることができる財産の価額がその差押に係る滞納処分費及び徴収すべき国税に先だつ他の国税、地方税その他の債権の金額の合計額をこえる見込がないときは、その財産は、差し押えることができない。
(一般の差押禁止財産)
国税徴収法第七十五条
次に掲げる財産は、差し押えることができない。
一 滞納者及びその者と生計を一にする配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係にある者を含む。)その他の親族(以下「生計を一にする親族」という。)の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具
二 滞納者及びその者と生計を一にする親族の生活に必要な三月間の食料及び燃料
三 主として自己の労力により農業を営む者の農業に欠くことができない器具、肥料、労役の用に供する家畜及びその飼料並びに次の収穫まで農業を続行するために欠くことができない種子その他これに類する農産物
四 主として自己の労力により漁業を営む者の水産物の採捕又は養殖に欠くことができない漁網その他の漁具、えさ及び稚魚その他これに類する水産物
五 技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者(前二号に規定する者を除く。)のその業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く。)
六 実印その他の印で職業又は生活に欠くことができないもの
七 仏像、位牌その他礼拝又は祭祀に直接供するため欠くことができない物
八 滞納者に必要な系譜、日記及びこれに類する書類
九 滞納者又はその親族が受けた勲章その他名誉の章票
十 滞納者又はその者と生計を一にする親族の学習に必要な書籍及び器具
十一 発明又は著作に係るもので、まだ公表していないもの
十二 滞納者又はその者と生計を一にする親族に必要な義手、義足その他の身体の補足に供する物
十三 建物その他の工作物について、災害の防止又は保安のため法令の規定により設備しなければならない消防用の機械又は器具、避難器具その他の備品
2 前項第一号(畳及び建具に係る部分に限る。)及び第十三号の規定は、これらの規定に規定する財産をその建物その他の工作物とともに差し押えるときは、適用しない。
(条件付差押禁止財産)
国税徴収法第七十八条
次に掲げる財産(第七十五条第一項第三号から第五号まで(農業等に欠くことができない財産)に掲げる財産を除く。)は、滞納者がその国税の全額を徴収することができる財産で、換価が困難でなく、かつ、第三者の権利の目的となつていないものを提供したときは、その選択により、差押をしないものとする。
一 農業に必要な機械、器具、家畜類、飼料、種子その他の農産物、肥料、農地及び採草放牧地
二 漁業に必要な漁網その他の漁具、えさ、稚魚その他の水産物及び漁船
三 職業又は事業(前二号に規定する事業を除く。)の継続に必要な機械、器具その他の備品及び原材料その他たな卸をすべき資産
税理士:池田良博
TEL:04-7164-2828
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突然ですが、税金を滞納したらどうなるか知ってますか?
本日ご紹介するのは、
『滞納税金があるときに考える事』です。
今回はあまり皆さんがご存じないけれども気になる事例をご紹介いたします。
税金を滞納した場合には、基本的には税務署の徴収部門の職員から問い合わせがあり、今後の納税について話し合います。後日、税務署から督促状が送られてくるのでそこに記載されている金額を納税します。
では、その税金を納付しなかった場合には、どうなるのでしょうか。一つの事例を紹介いたします。
今回は、判例を基に書きます。この判例は、源泉所得税(国税)を滞納していた法人(美容業)が、建物(店舗)を差押さえられて営業継続が困難となったことに対し、税務署長を訴えた判例です。
Ⅰ.請求人(美容業を営む法人)の主張
1.請求人は店舗を整理して、売上は減ったものの、所得を増やす努力をし、滞納を整理しようとしていた。
2.税務署はこの努力を無視して、店舗を差押えた。
3.請求人は営業継続に支障が生じ、納税が困難となった。
4.本件差押処分は、請求人を廃業に追込み中小企業を倒産させまいとする国の方針とも異なる。
Ⅱ.原処分庁(税務署)の主張
次のとおり適法であり、不当処分でない。
1.本件差押処分は、国税徴収法(以下「徴収法」)に基づき行われた。
2.差押えた建物(店舗)は、徴収法75条に定める差押禁止財産にも該当していない。
3.「不当な処分」とは、法令上適法でない処分をいうものと解されるが、本件差押処分は、上述のとおり適法である。
Ⅲ.審判所の判断
1.本件差押処分は、督促状を発した日から10日までに滞納税金が完納されていなかった。
2.請求人は、原処分庁の担当職員と滞納税金の納付交渉を行い、納付計画書のとおり納付を約束したが、これを履行しなかった。
3.本件差押処分は、徴収法47条に基づいているため、違法な点は見られない。
4.請求人は、本件差押処分は、中小企業を倒産させまいとする国の方針と異なる旨主張するが、しかし、それが国の方針であるとしても、いかなる場合について差押処分ができないとするかについて法令の定めが無い。
5.中小企業を倒産させないという観点のみから、法律に基づいて課された租税を徴収しない事は、租税負担の公平を害する事となる。
6.法令上根拠のない中小企業の倒産防止という要素を裁量判断の基礎とすることはできない。
以上から、請求人の主張にはいずれも理由が無いから、本件差押処分を不当という事は出来ない。
納税が遅れる場合には、事前に税務署等に相談に行きましょう。私も何度か納税者と相談に行きました。
こちらの事情をきちんと話せば、理解してくれる担当者もいます。差押という最悪の結果を招かないためにも、まずは近くの税理士さんに相談してみてください。
(差押の要件)
国税徴収法第四十七条
次の各号の一に該当するときは、徴収職員は、滞納者の国税につきその財産を差し押えなければならない。
一 滞納者が督促を受け、その督促に係る国税をその督促状を発した日から起算して十日を経過した日までに完納しないとき。
二 納税者が国税通則法第三十七条第一項 各号(督促)に掲げる国税をその納期限(繰上請求がされた国税については、当該請求に係る期限)までに完納しないとき。
2 国税の納期限後前項第一号に規定する十日を経過した日までに、督促を受けた滞納者につき国税通則法第三十八条第一項 各号(繰上請求)の一に該当する事実が生じたときは、徴収職員は、直ちにその財産を差し押えることができる。
3 第二次納税義務者又は保証人について第一項の規定を適用する場合には、同項中「督促状」とあるのは、「納付催告書」とする。
(超過差押及び無益な差押の禁止)
国税徴収法第四十八条
国税を徴収するために必要な財産以外の財産は、差し押えることができない。
2 差し押えることができる財産の価額がその差押に係る滞納処分費及び徴収すべき国税に先だつ他の国税、地方税その他の債権の金額の合計額をこえる見込がないときは、その財産は、差し押えることができない。
(一般の差押禁止財産)
国税徴収法第七十五条
次に掲げる財産は、差し押えることができない。
一 滞納者及びその者と生計を一にする配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係にある者を含む。)その他の親族(以下「生計を一にする親族」という。)の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具
二 滞納者及びその者と生計を一にする親族の生活に必要な三月間の食料及び燃料
三 主として自己の労力により農業を営む者の農業に欠くことができない器具、肥料、労役の用に供する家畜及びその飼料並びに次の収穫まで農業を続行するために欠くことができない種子その他これに類する農産物
四 主として自己の労力により漁業を営む者の水産物の採捕又は養殖に欠くことができない漁網その他の漁具、えさ及び稚魚その他これに類する水産物
五 技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者(前二号に規定する者を除く。)のその業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く。)
六 実印その他の印で職業又は生活に欠くことができないもの
七 仏像、位牌その他礼拝又は祭祀に直接供するため欠くことができない物
八 滞納者に必要な系譜、日記及びこれに類する書類
九 滞納者又はその親族が受けた勲章その他名誉の章票
十 滞納者又はその者と生計を一にする親族の学習に必要な書籍及び器具
十一 発明又は著作に係るもので、まだ公表していないもの
十二 滞納者又はその者と生計を一にする親族に必要な義手、義足その他の身体の補足に供する物
十三 建物その他の工作物について、災害の防止又は保安のため法令の規定により設備しなければならない消防用の機械又は器具、避難器具その他の備品
2 前項第一号(畳及び建具に係る部分に限る。)及び第十三号の規定は、これらの規定に規定する財産をその建物その他の工作物とともに差し押えるときは、適用しない。
(条件付差押禁止財産)
国税徴収法第七十八条
次に掲げる財産(第七十五条第一項第三号から第五号まで(農業等に欠くことができない財産)に掲げる財産を除く。)は、滞納者がその国税の全額を徴収することができる財産で、換価が困難でなく、かつ、第三者の権利の目的となつていないものを提供したときは、その選択により、差押をしないものとする。
一 農業に必要な機械、器具、家畜類、飼料、種子その他の農産物、肥料、農地及び採草放牧地
二 漁業に必要な漁網その他の漁具、えさ、稚魚その他の水産物及び漁船
三 職業又は事業(前二号に規定する事業を除く。)の継続に必要な機械、器具その他の備品及び原材料その他たな卸をすべき資産
税理士:池田良博
TEL:04-7164-2828
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