私の好きなMOA美術館はいつも

素晴らしい美術品を鑑賞でき

それだけでも嬉しいのですが



今回は能楽器の体験

大倉源次郎先生の講演

観世宗家の『隅田川』演能

それに今マイブームの葛飾北斎展と

嬉しすぎて気絶しそうでした。


お能のお稽古はしておりましたが


能楽器はなかなか機会が無く


ずっと気になっておりました。


今回は大鼓、小鼓、太鼓の体験ができました。

なかなか難しかったですが

とても楽しかったです🥰


そして北斎冨嶽三十六景を鑑賞



作品から湧き出るエネルギーと共鳴し



素晴らしさに舞い上がってしまいました。


それだけでは終わりません


人間国宝の大倉源次郎先生のお話も聞かせていただき


感動の涙


『翁』に込められた思いとは


皆んなが将来笑って過ごせる世界


まさに


みろくの世の実現でした


そして午後は観世宗家の『隅田川』を鑑賞


一流のお囃子が勢揃いで 全てが調和し

素晴らしい舞台でした。


能『隅田川』は人買いに子どもをさらわれた母が


悲しみのあまり物狂いとなり子を探し回るも


隅田川の船頭の話から


子どもが一年前に亡くなった事を知らされるという


悲しいお話です。


深い悲しみで終わるので


ハッピーエンドの多い能の中でも珍しい曲です。


何故この曲はこんな終わり方をするのだろうと

疑問に思っていました。


源次郎先生の講演の中に答えがありました。


東日本大震災で子どもが行方不明になった母親は


子どもの遺体が出てくるまで

現実を受け止められない

もしかしたらまだ何処かで生きているのではと…


現実を受け入れられないと先に進めない

今でもそんな方がいらっしゃる


隅田川の母も同じ思いで

物狂いとなり子どもを探している


クライマックスで子どもの亡霊と対峙し

抱きしめたくても抱きしめられず泣き崩れる母

とても切ない場面です。



しかし母は最後静かに立ち上がり舞台を後にします。

虚ろながらも

前を向いて歩いて行く後ろ姿に感動しました。

悲しみからいつか立ち上がる時がくる

自ら決着をつける事でもある

前を向いて歩いていく


そんな深いメッセージが込められていることを感じ涙しました。