現実とは常に残酷なものです

ハッピーエンドなんてものはなく

常に緩やかなバッドエンドに向かっているだけ


奇跡なんて起こらないし

ヒーローもいない


現実なんてやってられないです


だからせめてフィクションの中だけはハッピーでいたい

だから僕はハッピーエンドの作品が好きです





最近は特に顕著に表れている気がします

映画や小説でもエゲツないラストや考えさせられるラストの作品はあんまり好まなくなりました


たまには見たくなりますよ「胸糞悪くなる」系の作品

「ファニーゲーム」みたいな映画や

「殺戮に至る病」みたいな小説




でもやっぱりハッピーエンドで

難しいこと考えずに読めて

誰かがちょっと幸せになる

そんなゆるい小説が好きです




ということで今回は

香月が好きなゆる〜い日常系ミステリー小説をご紹介いたします








鎌倉の香り専門店「鎌倉香房」で繰り広げられる

ほっこりあたたかミステリー

思い出はこぶ 香りで謎解き

【鎌倉香房メモリーズ】




阿部暁子さんのこちらの作品は

ある日突然Amazonさんからおすすめされた本です


綺麗な表紙の絵と

横浜出身なので「鎌倉」というワードに惹かれて購入いたしました




祖母が営む香木やお香を取り扱ってるお店

「鎌倉香房」を手伝っている高校生の香乃ちゃんが主人公です


香乃ちゃんは香りにすごく敏感で

人の心の機微を香りで感じることができて

それをヒントに大切な人との思い出を探したりするほっこりミステリーです



ミステリーといっても誰かが殺されたり

犯人探しをするわけではありません

人を少し幸せにしてくれるミステリーです



主人公の香乃ちゃんはすごく引っ込み思案なタイプで

それを大学生のアルバイト、クールな雪弥さんが引っ張ってくれて

二人で解決していくちょっと甘酸っぱい恋愛要素もあって素敵です



この雪弥さんがまた良いんですよ〜

和装男子って感じでカッコよくて頭が良くて「王子様」というか「若」というか

でも不器用なところもあって

二人の恋愛模様からも目が離せません


基本的にゆるい話の短編で読みやすいのですが

巻のラストにはしっかりハラハラする話もあって満足感も味わえます



主人公香乃ちゃんの一人称視点で描かれている作品で

香乃ちゃんの言葉選びの優しさ、やわらかさなどが魅力です


サクッと読める作品なのでおすすめです










続きまして




浅草の老舗和菓子屋「栗丸堂」

若くして店を継いだ栗田仁

腕は確かだけど不器用な男

そこに現れた異常に和菓子に詳しい女性、葵さん

栗丸堂に訪れる客の悩みや謎を和菓子で解決して

少しだけ幸せに導く物語




お待ちしてます 下町和菓子 栗丸堂



こちらも表紙に惹かれてAmazonで購入しました

栗田さんと葵さんが客の思い出の味を和菓子で再現したりする、所謂ミステリーというよりは人情モノって感じのお話です





こちらは栗田仁さんの一人称視点で描かれていて

真面目で情熱的だけど、まだまだ若すぎる部分があって

そこをミステリアスな和菓子博士の葵さんがサポートしていく二人のタッグが魅力的な作品です



この本を読んでるとお腹が空いて和菓子が食べたくなっています

和菓子の知識も身について、サクッと読めるおすすめの日常系ミステリーでございます











そして最後は



鎌倉にひっそりと佇む古本屋「ビブリア古書堂」

そこの店主の栞子さんは本の虫

そこで働く大輔さんは全く本が読めない肉体派

ちょっと足りない二人が、お互いを補いながら古書にまつわる謎を解いていく大人気古書ミステリー


古書の歴史と 謎を紐解く


ビブリア古書堂の事件手帖






こちらはここ数年で一番刺さった作品で

現在5巻を読んでいる真っ最中です

毎巻の引き際が見事で一度読み始めると止まりません

人気があるのも納得の作品です



店主の栞子さんは人と話すのが苦手で

お客さん相手でもまともに喋ることができない残念美人です

でも本のことになると途端に早口でよく喋る

そして驚くべき洞察力で推理していく

「本のこと限定の名探偵」です



そしてアルバイトの大輔さんは

ある体質のせいで本を読むことができない

でも本に興味はある

そんな肉体派男子で

栞子さんのフィジカルをサポートしながら本の話を聞かせてもらっています


この二人のなんとも言えない距離感の関係性にキュンキュンします

そして2巻3巻と続くうちに少しずつ進展していく二人の関係に萌えます



この作品はワトソン君的立ち位置の大輔さんの視点で描かれています

大輔さんから見る栞子さんのイメージが


変わった人だな

凄い人だな

可愛らしい人だな


と段々変わっていく様子が素敵で


栞子さんの膨大な本の知識や洞察力を読者と一緒に驚いてくれるので、感情移入しやすくとても読み易いです




こういった日常系ミステリーにはたびたび

パーフェクト超人

みたいな人が出てくるのですが、僕はあまり好きではありません


完璧すぎるキャラクターってどこか鼻につくし愛着も湧かないんです


でも大輔さんと栞子さんはどこか足りないふたりで

お互いそれを補って協力する姿が尊いです



二人とも真面目で奥手で

そんな二人を周りの仲間が後押しする感じ



そして何よりミステリーの部分がよくできてる作品だと思います


しっかりとヒントを散りばめていて

でもタネ明かしの部分でしっかり驚かされて

1話完結の読み易い短編なのですが全体を通して1つの大きい謎に向かっていくストーリーが面白いです



この本を読んで

鎌倉、大船あたりを聖地巡礼するのも楽しいです












この記事を書いていて、なぜ自分が日常系の作品が好きなのか判明しました


中学の頃、漫画「BLEACH」が大好きで

(こんな風になりたい!)と本気で思っていました


でも現実にはホロウもいなければ自分は死神代行でもなくて


そんな現実にけっこう絶望したのを覚えています




でも日常系の作品には

(自分にもこんな楽しいことが起こるかもしれない!)とワクワクさせてくれる魅力があります



離島で殺人事件が起きなくても

日常にもミステリーは溢れてるし

少し視点を変えればいつだって自分が物語の主人公であることに気づけるはずです



そんな感じで

読んでると日常をワクワクさせてくれる

ゆるい日常系ミステリーが大好きなのです


みなさんもぜひ読んでみてください