大阪大などは、インフルエンザワクチンが働く仕組みを突き止めた。ワクチンの成分が外敵から身を守る免疫の働きを高めていた。また国内で普及するワクチンは感染歴がない場合、効果が低いことも動物実験で分かった。今後、効果の高いワクチン開発につながることが期待される。米科学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシン(電子版)に1日発表した。
石井健・招へい教授と審良静男教授、小山正平東北大研究員らの成果。ワクチンには様々なタイプがあり、研究チームはそれぞれのワクチンをマウスに接種して免疫がどう働くかを調べた。
国内で普及していないタイプのワクチンでは、ワクチンの一部が、インフルエンザウイルスなどの外敵を見張るたんぱく質とくっつき、病原体を最初にたたく免疫の働きが向上。一方、国内で造られる、季節性や今冬流行した新型インフルエンザワクチンは、免疫がほとんど働かずウイルスの感染を防げなかった。
研究チームはさらに、国内で流通するタイプのワクチンを、過去にインフルエンザに感染した経験がある人から採血した血液に加えて免疫反応を調べたところ、感染を防ぐ効果があったという。
感染歴によって効果が違うという結果は、あくまでも血液だけを使った実験のため、実際の人間で効果が低いとは断言できないとしている。
研究チームはワクチンとともに特殊な物質を投与すれば、感染歴がなくても免疫が高まることもマウスで確認。ワクチンにこの物質を加えて免疫を高める方法で、効果の高いワクチンができる可能性があるという。