皆さま、ご覧になられました?コレ。
個人的な位置付けですが《東宮》以来長らく気に入るものが出てこなかった古装悲劇の中でも、かなり推せる作品だと思う《周生如故》
悲しいまま間を空けるのがイヤで、ラスト6話のところでセットとなる《一生一世》が半分公開されるまで我慢…しようと思っていたんです。(2世に渡る恋を描いていて、1世目となるのが《周生如故》)
しかし、当初9日と言われていた《一生一世》の放送が6日に早まったのもあり結局見てしまいました。
監督は郭虎、脚本が墨宝非宝の全24話。悲劇がダラダラ続くと疲れると思うので24話ってちょうどいいかもしれないですね。
原作は脚本と同じ墨宝非宝の《一生一世美人骨》
《亲爱的,热爱的》も墨宝非宝の《蜜汁炖鱿鱼》が原作。ドラマの脚本家としても有名で、《步步惊心》も墨宝非宝の作品なので、日本でも人気のドラマの脚本家ということでもあります。
登場人物と簡単なあらすじ
お国は北陈、時代モデルは北魏のようですね。簡単にまとめると、師弟の恋愛悲劇モノ。
幼い頃から戦功で名高い、西洲を治める小南辰王の周生辰(任嘉伦/配音:边江)
中央から距離を取り、国境地帯で戦勝を重ね、軍を強化して領地領民を守りながら地味に生きていくつもりだったのに、実力があり過ぎて、権力闘争に巻き込まれがち。
美人骨という、皇帝も羨む骨相を持つと言われています。気骨、風格どちらも有しているってことなのかな。
名門漼氏の1人娘で生まれる前から太子妃となることを定められていた漼時宜(白鹿/配音:刘晴)
時宜 10歳の時に父親が高太后の高氏一族と揉めたことで姿を消さなければならなくなります。
時宜は最愛の父がいなくなったと知ったその時から、ショックで失語症に。
その後新皇帝(周生辰の甥にあたる)の時代になり数年、時宜は学芸を学ぶという名目で、周生辰に弟子入りをするため
兄の漼风(姚奕辰)に連れられて南辰王府へとやって来るのです。
周生辰の元には孤児だった10人の部下(弟子)がいて、時宜は11番目なので名前の発音とかけて十一と呼ばれるようになります。
聡明で明るく無邪気な時宜が周生辰にとって特別カワイイ弟子になるのに
そしていつも優しくて大きな周生辰を時宜が異性として愛し始めるのにそう時間はかかりません。
けれども、2人はその立場から、どんなに想い合っても共に人生を過ごすことはできないのです…
↑小南辰王周生辰は物語の初め、新しい皇帝が即位する時に「今後妻を娶ることもなければ、子孫を残すこともない。さすれば権力闘争とは無縁なのだから。」と宮廷で皇帝や臣下の前で誓いを立てちゃうんです。
いきなりの悲劇フラグ…
しかも、周生辰は皇系であるため、正統な皇帝として立することがその気になれば可能であり、漼时宜は政権内の権力者漼氏一族であるため、2人が一緒になれば本人達にその気はなくても謀反の疑いに待ったなし。
我が子すらとことん利用して
実権を握りたい太后の戚真真(梁爱琪)
婚約は取り消しになったとしても
など、数多くの敵の手にかけられて、2人は離れ離れになり、ついには命を落とすことに…
という悲恋の物語なのです。
感想
今日は自分なりの勝手な解釈を入れてラストのとある出来事について触れています。
そしてその部分を含むラストというのが、このドラマの最大の見どころでもあり、きっとご覧になった方が最も気持ちが揺さぶられるシーンであるかと思うので、何も知りたくない方は以下ご注意ください。
実は悲劇のまま終わるのがイヤだと思って止めていたはずの《周生如故》を見終わった今
《一生一世》を見ないで、この2人の悲しく切ない愛を心に刻んで終わりにした方が良いのではないか?
ちょっとだけそんなふうに思ったりもして。
激しいけれどとても静かな悲劇だったのは、主役の2人がキャピキャピ(古い?)していなくて、画質も落ち着いているのが関係しているのかな。
任嘉伦と白鹿のちょっと抑えた演技がたまらなく良かったんです。
いろんな制約があって思うようにならないもどかしさがひしひしと伝わってきます。
任嘉伦はこの役、すっごくいいです。古装男神と言われているのも納得。強くて優しくて美しくて素敵すぎるな。毎回書いてるかもだけど、この方眼差しが優しいのよね♡
ここからラストに思いっきり触れます。
太子と金荣らの策にはまってしまい謀反の罪を着せられた周生辰が、剔骨之刑(ものすごく残酷な刑なんです…生きたまま骨を…)に処される直前に書き残した血书。そこには
辰此一生
不负天下
唯负十一
と書かれていたんです。それを見た时宜が最初笑ってそのあと泣き崩れます。いきなり泣くだけでなく、まず微笑むんです。
このシーンの感染力が凄すぎました。白鹿に敬服です。そして漢字っていうのはすごい表現力をもっているのだと実感。
ここからは素人解釈を入れた意訳ですが、あの短い3行は
「我が今生
天下泰平のためにできることは誠心誠意全力でやってきたし、何一つ悔いることも反省することもない
けれど十一を自分の側に置いて愛し守り抜くことができず、それだけが心残りで申し訳なく残念でならない…」
というラブレターだったのではないかと。太子の妻となる时宜ではなく、自分の可愛い弟子でたった1人の愛する女性、南辰王府の十一だということも字から伝わってきます。
そしてそれを読んだ时宜は、「周生辰は謀反など起こしていない」と身の潔白を確信し、さらには直接伝えてはもらえなかった周生辰の自分への愛を知った时宜は思わず微笑み
その後「自分を愛してくれていた、自分が愛していた师傅はもうこの世にいないのだ」と音無き声をあげて慟哭するんです。
見てるこっちまで悲しくなっちゃうじゃないの…
(ノ△︎;。)
今日は特にこのシーンを取り上げましたけど、他にも書きたかったシーンはたくさんありましたし
全体的に儚さの漂う美しい印象的な場面が多かった《周生如故》