サスペンスドラマについて何も知りたくない、前知識いらない方は以下回避をお願いします。
それと、今日は長くなります。
監督が陈奕甫、脚本は刘国庆で全12話。原作は紫金陈の《长夜难明》そういえば先日何かの番組で、今時の若者は映画でもお誕生日でも、はたまたプロポーズですらネタバレ歓迎、サプライズなど以ての外だと言っていました。
だから、ラストについて先ずは一言述べたい←ネタバレとはちょっと違う意味で
「善人の思いや行いは納得いかないかもしれないけど一応報われるから、途中見るのが辛くなるけど最後まで頑張って見てください」
すごく好みの作品でした。特に時間の移行がすっごく上手くて、物語が2000、2003、2010年と3つの年代で何度も行ったり来たりするんですけど全く混乱しないし、違和感なく繋がっていきます。
監督の陈奕甫と脚本の刘国庆は南カルフォルニア大学の大学院で映画製作系の修士課程を修了してるみたいで、2人は校友のようですね。
陈奕甫監督の作品は初めて見ましたけど、個人的に今後が気になる監督になりましたし、脚本担当の刘国庆の力や、撮影・編集・美術などのチーム力もひしと感じるし、演者さんも渋い〜。ここ最近見た中では最も硬派なドラマ。
全12話にこれだけ詰め込んでキャラ一人ひとりを余すことなく描写して行くってすごいな。
だけどこの短さに救いも感じるくらい、見てる間は登場人物と同じように焦燥感に駆られたりして、いい意味で疲れましたわ…
《沉默的真相》は紫金陈の小説を元にしたサスペンスドラマ3本のラストとなります。他の2本《无证之罪》《隐秘的角落》のどちらも評価が高いですが、私はこれが一番気持ちに刺さりました。
入りの部分と登場人物について書きますネ。
今日はある登場人物について述べずにはいられないので、毎度のことですが、かなりぼかして書いてはいるものの、以下本当にネタバレと感じる方もいらっしゃるかもしれないため再度注意書き。
2010年
宁理は3部全てにご出演されてますヨ
逮捕された弁護士张超(宁理)の持っていたスーツケースに詰められていたのは爆薬ではなく
あっさり罪を認めた张超でしたが、初公判の日に「私は江阳が死亡した日には北京に出張していたし、殺してなんていない」と突如殺人を否認します。
マスコミにも注目されていた事件の思わぬ展開に慌てた警察が、新たに捜査班トップに据えたのが「雪だるま殺人事件」を解決した
そうです。あの《无证之罪》の严良(秦昊)が
警察が手をこまねいていると、新聞記者の张晓倩(黄尧)のもとに
「これから3日ごとに9つに分割した写真を1部ずつ送るから、その写真を翌日の夕刊のトップニュースで報道しろ。さもなければ市内で爆発を起こす。」
「その写真が9枚揃う24日後、江阳を殺した犯人が分かるはずだが、それまでに警察がこの事件を解決できるか賭けをしよう」←「九宫格游戏」をしようと書かれてるんですけど九宫格とは9つの小さなマスのこと。書道などで使われるけど、この場合は9ピースの写真パズルって感じでしょうか
などと書かれた手紙と同封された、とある写真の一部が送られてきます。
この辺りの「警察が無能だから」とでも言うかのように挑発する不敵感は《无证之罪》に通じるものがありますね。
・张超はなぜ江阳の死体を地下鉄駅に持ち込んだのか?
そして、严良はこの事件のすべての謎を解くことができるのか?
捜査を進めるうちに、江阳が生前
同じ大学の同級生で2000年に苗高乡に教育支援に来ていた侯贵平(画像中央:路思宇)が
同じく真相を暴こうとする
そもそも江阳が捜査を開始するきっかけとなったのは2003年に
「彼の死は自殺だとは考えられないから再捜査してくれないか?」と検察官になっていた江阳に話を持ってきたからで
その話を聞いた恋人の吴爱可からの、ただ単純に正義を後押しする鼓舞もあって、江阳は戸惑いながらも捜査を開始するのです。
ということで、江阳は大学の同級生というだけの繋がりの、それほど親しくなかった人たちのためにこの事件の捜査を始めるんですよね。
真実に近づけば近づくほど罪を暴かれたくない敵からの攻撃は激しくなるのに
江阳たちはそれに比例するかのように真相解明に執念を燃やすようになります。
この事件に対する執念、固執たるや…
李静から来た1本の電話を受けてしまったことが江阳の人生の方向を変えていくことになるのです。
今手を引けばその苦しみから逃れられるのかもしれないと分かっているのに、それでもどうしても真相を追求しなければと、打たれても打たれても立ち上がる江阳たち。
明るく前途洋々であった優秀な青年・江阳の人生の変容に
どんだけ泣かされて、心配したか…
这么干值吗?
そこまでする価値はあるのか
もうこれに尽きるんです。このドラマの江阳と朱伟というキャラは、常に自分にこう問いかけてきたと思うのです。
そして江阳は命の終わりが見えた時、その価値があったのかどうかという答えを見つけられたのか
自身の名前にもある「陽」光を感じながら死を迎えられたのか
その結末はドラマ本編で。
ところでこのドラマ、いろんな伏線がちゃんと回収されてるんですけど、事件解決の糸口となる証拠の写真の経緯が唯一説明不足と感じる点。
しかも一体何枚同じ写真があったんでしょうか。で、私の予想としては3枚以上なんですけどもどうでしょう?
さて、人民网で来年初頭にwowowで《隐秘的角落》も放送されるって読みました。だから、こちらも日本で放送あるかもしれないと期待しちゃう。wowowさん、面白かったからこれも一緒にどうですか?
紫金陈のサスペンス3部作。他の2本の記事はこちら