33番と名付けられた実験犬、マージョリー(Marjorie)。世界で初めてインスリンが投与された犬とされている。この犬でインスリンの血糖降下作用が確かめられた。こちらのサイトから引用。
本日2016年11月14日はインスリンを発見したフレデリック・バンティング(Frederick Grant Banting、1891-1941)の生誕125周年記念日。GoogleのDoodleもそれを祝して変更されています(下記)。
インスリンの登場まで、糖尿病は有効な治療法がない病気でした。
バンティングは膵臓で作られる物質が血糖を降下させると考え、犬で実験を行いました。
手術で膵臓を切除した犬は糖尿病になります。そのままでは血糖が上昇して死んでしまいますが、バンティングらは何匹もの犬で失敗を繰り返したのち、膵臓から取り出した物質をマージョリーに注射し血糖を下げることに成功しました。
マージョリーはその後90日ほどで死亡したそうですが、血糖を下げる物質、つまりのちにインスリンといわれるホルモンの発見に大きく貢献してくれました。
当時は実験動物の扱いも今とは違ってかなり雑なものだったでしょう。実験犬はよく頑張ってくれたと思います。遊んであげたかったな。
ありがとう、マージョリー!
バンティング医師(右)と助手で大学院生ののチャールズ・ベスト。そして実験犬マージョリー。1921年に撮影。こちらのHPから引用。インスリンの発見により、バンティングとその上司のジョン・ジェームズ・リチャード・マクラウドの2名は1923年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。その後バンティングはベストの協力をたたえて賞金をベストと分け合ったそうです。なお、バンティングと上司のマクラウドは仲が悪かったらしいです。
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ところで中国では北京の研究チームが国家事業の一つとしてインスリンの分子レベルでの構造研究を行っており、1972年に独力でインスリン構造を解明しています。インスリンの発見から約50年後のことです。あまり知られていませんね。
写真はこちらのHPから引用。
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最後に、細かい追加。
「インスリン」と同じ意味の「インシュリン」という表記があります。一般にはどちらを使ってもいいですが、医学用語としては「インスリン」を使うように定められています。実際、日本医学会の用語集には「インスリン」のみ採用されています。