毎日暑いですね。熱中症の患者さんの受診が目立ちます。

 

わたしの勤める小さなクリニックには入院ベットもなく、救急車対応もできませんので、熱中症といってもⅠ度からⅢ度まである重症度分類のⅠ度(一番症状が軽い)患者さんの受診がほとんどです。

 

ただ症状が軽いといっても、決して楽な病気ではなく、ご本人は辛い状態で受診されます。

 

熱中症は予防が第一です。ご参考までにこんな状態で来院される方がいらっしゃることをお示しします(個人が特定される情報は改変しています)。

 

◆①◆

 

> AHさん、36歳女性。特に今まで病気をしたことはなく健康。

> 炎天下、3人の子供と一緒に買い物に出かけた。子供には水分を与えながら歩いていたが、自分は外でトイレを使うのが嫌であまり水分はとっていなかった。この日の最高気温は39度

> 自宅を出たのは12時半頃であった。子供たちは昼食を食べたが、本人は暑くて食欲がなく、何も食べずに家を出た。必要なものがなかなか売っていなかったので、何軒かのお店を回って買い物をしなけらばならなかった。

> 14時40分ころ、再び炎天下を帰宅途中に、一瞬力が抜ける感じで道端にしゃがみ込んだ。一瞬ぼんやりしたが、自分がどういう状況かは理解できていた。すぐに立ち上がれたが、足に力が入りにくく少しフラフラする感じが続いた。

> 心配になり、携帯で近くに住む友人に迎えに来てもらい、一緒にクリニックを受診した。子供たちは元気だった。

> 来院時体温38.0度、意識はしっかりしていた。採血データでは異常はなかった。

図はこちらから引用。

 

この方はⅠ度の熱中症で、冷房のきいた部屋で点滴をしただけでお元気になり、帰宅されました。熱失神あるいは熱疲労といわれる状態です。水分と食事摂取量が少ない状態で炎天下を動いたためですね。軽症でよかったです。熱によって全身疲労と脱水状態になっています。暑い日はこまめに水分補給をしましょう。

 

このお母さんは自分のことは気にせずお子さんはしっかり水分をとらせていて、さすがに母は強いですね。

 

◆②◆

 

> TBさん、58歳男性。軽い高尿酸血症を治療中。

> 炎天下、友人とゴルフをした。暑いので大量に汗をかき、プレー中にペットボトルのを合計4本飲んだ。この日の最高気温は39度

> ゴルフプレー中にふくらはぎのつる感じがおきたがすぐおさまっていた。しかしゴルフが終わったあとから、全身の筋肉(四肢や腹筋)が交互につって(ぴくぴく痙攣して)痛くなった。歩行は可能で意識は普通であった。

> その後、心配になり自分でタクシーを拾ってクリニックを受診した。

> 来院時体温36.5度。採血データではミネラル(ナトリウム、クロール)の値が低下し、筋肉からの酵素(CK,LD)やクレアチニンの値が増加していた。

図はこちらから引用。

 

やはりⅠ度の熱虫症熱けいれんといわれる状態です。汗で塩分(ナトリウムやクロール)が失われておきます。

 

この方は水分は十分とっていたのですが、ただの水なので、汗で失われた塩分(ナトリウム)が補充できていませんでした。長時間炎天下で動く場合は、水よりもスポーツドリンクがいいのはこのためです。体温が上昇していないし、失神もありませんがこれも熱中症です。この方は点滴で回復し帰宅されました。

 

直射日光をあまり長時間受けないこと、炎天下では休息を忘れずにとり、また水分(汗が多い時は塩分も)を補給することをお忘れなく。

 

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