中国広東省で22例目のジカ熱患者がみつかりました。
久しぶりの患者確認です。7月12日発表です。
今回は40歳女性で、スリナム(苏里南)に住む華僑で、7月9日に広東省の白雲空港に到着しました。スリナム共和国では昨年からジカ熱が蔓延しています。患者さんは到着前日から皮疹と頭痛があったそうです。症状は軽いものの、直ちに隔離治療されているそうです。
中国南部からのスリナム移民の写真。Wikipediaから。
スリナムはかつてオランダ領ギニアといわれていました。南アメリカの北東部にある国で、19世紀後半から20世紀はじめに労働力として中国からの移民を受け入れ、人口の7%(4万人)が中国系の人だそうです。広東省出身者が多いらしいです。現在も交易などの目的で現地に移住する中国人は少なくないそうです。2010年にオランダによる旧植民地支援プログラムが打ち切られた後、中国はスリナムの最大の金融関係国になっています。
こういったこともあり、中国とスリナムは関係が深く、今年4月には中国政府がジカ熱対策にとスリナム政府に100万アメリカドルの資金援助をしています。
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一方、先週の7月8日、アメリカ本土、ユタ州で初めてのジカ熱患者の死亡例がありました。
2月にはアメリカ自治領のプエルトリコで血小板減少によるジカ熱患者死亡がありましたが、本土で起きた死亡ではなく、あまり注目されませんでした(このことに関しては以前の記事★をみてください)。
今回のアメリカの患者さんについては、感染はアメリカ国外への旅行で起きたそうで、高齢者であること以外、詳しいことは全く発表されていません。また、ジカウイルスの感染も死亡後に判明したようです。
7月6日現在のアメリカの州別ジカ患者数。ジカ熱はアメリカ本土での蚊による流行はなく、旅行などによる輸入感染患者だけです。患者数が最も多いのがニューヨーク州で、次いでフロリダ州。こちらのHPから引用。
アメリカでは1,132例の感染者がすでにみつかっています。死亡例はごくわずかですので過剰に心配する必要はありません。しかしジカウイルス感染が新生児の小頭症の原因となることは間違いなく、性感染症としての危険が大きい病気です。
現在、中国国内でもジカ熱の流行はない状況ですが、いつ流行するかはわかりません。
引き続き蚊に刺されないように注意しましょう。