エアコンで気管支や鼻の調子が悪くなる人は、空気とともに吹きだされるダニアレルゲンの影響を受けているからかもしれません。

 

2015年に発表された安徽省蕪湖(Wuhu)市で行われた研究[1]。

 

この研究では空気中のダニアレルゲンを測定し、エアコン作動前と後で比較したら作動後の方が明らかに多かったとのこと。下のグラフで、青がエアコンを動かす前の空気中のダニアレルゲン、赤は動かした後で、明らかに後の方(赤)で増えている。

 

各測定点は10か所。平均値を標準偏差とともに表示。エアコンから1m離れた場所で作動前1時間と作動開始1時間の空気を採取。気流は1分間に20リットルに統一。グラフはDer f1というダニアレルゲンについての測定結果を示している。

 

この研究ではさらにエアコンフィルターそのものに付着しているダニアレルゲン量を測定し、アレルゲンの存在を確認しています。そして考察として、エアコンフィルターはダニなどを吸着し、そこでのダニ増殖を促し、エアコンの作動によって室内に多くのアレルゲンが撒かれる可能性が記載されています。

 

この研究では、人体に及ぼす影響までは調べられていません。おそらく、この程度の変化で鼻炎や喘息の反応を起こす人はそう多くはないと思いますが、過敏な人にとってはエアコンの作動がアレルギー反応を起こす一因になるのかもしれません。

 

吸入物資によるアレルギー体質のひとがいる家庭では、エアコンフィルターはこまめに掃除しましょう。掃除が難しい場合は空気清浄機の使用も考えた方がいいでしょう。

 

 

エアコンの問題は乾燥した冷気が出てくることです。アレルギー体質でなくても咽頭炎などの原因になります。実際このごろの外来では、エアコンをつけっぱなしで寝てのどが痛いという患者さんがとても多いです。頭痛、関節痛を訴える人もやはり多いです。

 

この暑さを乗り切るためにエアコンは欠かせません。しかし長時間の使用、冷却のしすぎ、冷気の吸いすぎは健康を損ねます。適切な使用を心がけたいものです。

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[1]Zhan X, et al. Air-conditioner filters enriching dust mites allergen. Int J Clin Exp Med. 2015;8(3):4539