先日浦東空港を通過したインド人でのコレラ感染が確認されたそうです。ちょっと変わった経過をたどり、結果的には上陸しなかったので良かった(?)例です。コレラは中国語で霍乱(huo4luan4)といいます。

 

コレラ菌 Vibrio cholerae の電子顕微鏡写真。菌は縦長で、はじにひも状の構造(べん毛)を持つ。こちらから引用。この菌は河や海などの水中に存在していて、その水や付着した魚介類からヒトに経口的に感染します。コレラ菌のうち、毒素を産生するO1型またはO139型といわれるタイプの菌が病原性をもちます。

 

5月30日、インドのニューデリーから浦東空港に到着したMU564便に乗っていたインド人が、浦東空港の第一ターミナルのトイレの外で気分が悪く倒れているところを空港係員に発見されました。

 

その人は直ちに救急車で医療機関に搬送され、便や嘔吐物の検査が行われました。当初は急性胃腸炎と診断されました。患者さんは治療で状態が改善したため、本人の強い希望で同日夜のMU737便でオーストラリアのメルボルンに向かいました。

 

4日後、検査結果が出て、この患者がコレラ菌病原性大腸菌(O157)に感染していたことがわかりました。その後にこの人がオーストラリアでどうなったかはわかりません。なお報道では患者さんが接触した空港設備などはしっかり消毒されたそうです(…実際にしっかり実施されたかはわからない)。以上のニュースソースはShanghai Daily☆澎湃★

 

 

上海は近郊を含めて、以前はコレラが集団発生することがありましたが、この数年は集団発生がありません。上海市では2013年に3名、2014年に1名の患者があり、2015年はゼロでした。

 

上海で1931年におきた「反コレラのデモ行進」の写真。当時は伝染病予防の知識が十分ではなく、コレラ予防の啓発活動としてデモ行進が行われたようです。すでに1884年にはドイツのコッホによりコレラ菌は病原体として確立していましたが、コレラは呪いや幽霊のおこすものといった迷信がまだ残っていたと思われます。こちらのサイトから引用。

 

中国全土では2013→2014→2015年でコレラ患者数は53→24→13名と減少しています。衛生環境が良くなっているからでしょう。

 

中国国内での心配はかなり少ないですが、インドフィリピンなど、いまだに発生が多い地域に旅行・出張をする時は、食べ物飲み物(特に水)に注意しましょう。

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[追記]日本では霍乱(かくらん)は日射病をさします。また、夏に多い、吐き気・下痢などを伴う急性の病気をさすこともあります(だから俳句では夏の季語です)。「鬼の霍乱」は普段とても丈夫な人が、珍しく病気になることをさしますね。