蚊に刺されました。左腕の前腕(肘と手首の間ですね)に一気に2か所。かゆいよ~
ちょうどいい機会なので、日本で買ってきた液体ムヒアルファEXと、虫さされの患者さんに処方する中国産の軟膏、复方醋酸米松乳膏(日本語では複合酢酸デキサメタゾンクリーム)の効果を自分の体で比べてみました。
刺された個所に1回だけ塗って(かゆくても追加で塗らない)、12時間後どちらがかゆくないか、赤みがどうなるか比べました。
①塗るときの爽快さはムヒの方が良好。ひんやり、爽快です。軟膏は白くベタベタして、わずかにひんやりするだけ。
②12時間後のかゆみは軟膏の方が少ない。ほとんどかゆくないし、刺された後も小さい。一方、ムヒはかなり改善したが、まだ赤みがあるし、少しかゆい。
結論として、使用時の爽快感はムヒの勝ち。1回だけ塗った場合、12時間後の効き目は軟膏の勝ち
。とはいえ、すごく大きな差ではない。
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両者の効果の違いはそれぞれの主成分の濃度の違いにあります。両者とも、主成分はステロイドです。
ムヒアルファEXにはプレドニゾロン吉草酸酢酸エステルというステロイド、上記軟膏には酢酸デキサメタゾンというステロイドが入っています。同じ量を使う場合、効果は前者(ムヒの成分)の方が強いのです。
ところが、ムヒのステロイド(プレドニゾロン吉草酸酢酸エステル)の濃度はは0.15%。このタイプのステロイドは医療用に処方される場合、濃度が0.3%のことが多いので、ムヒのステロイド量は少なめです。処方箋を出さないで買える薬は、このように主成分の濃度が低めのことが多いです。
一方、上記軟膏の酢酸デキサメタゾンステロイド濃度は0.075%。通常医療用ではこのステロイドは0.05から0.10%の間で使われるので、それなりの量が入っています。
さらにおもしろいのは、値段でみると、ムヒアルファEXは1本日本で1200円。軟膏は1本8.4元(日本円で130円程度)と大差があります(クリニックでは診察料、処方料が別途かかる。ただし中国ではこの軟膏は処方箋なしで薬局で買えます)。
なお爽快感はステロイドとは関係なく、一緒に入っているメンソールなどの作用です
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まとめると、爽快感はムヒがいい。1回だけ塗布した場合の効果は軟膏の方が上。ただし、繰り返して患部に塗れば(つまり多く使えば)両者の効果差はなくなるでしょう。
また、種類は違うものの両者ともステロイドが入っているので、同じ場所への連続使用は2週間程度までがいいでしょう。長く使うと皮膚が薄くなったり、血管拡張が起きたりします。価格は軟膏がはるかに安い。
というわけで、実際に使ってみて大きな差はないので、その時の状況や好みで使い分けてください
*薬の効き目は個人差があり、使用状況(塗布する場所、量、回数、傷の種類)でも効果に違いがあるので、上記はあくまで一般論として理解してください。またムヒは何種類かあり、種類によって含まれるステロイドの種類が違います。ムヒアルファEXのプレドニゾロン吉草酸酢酸エステルは全身性の副作用が少ないステロイド剤です。
[追記。どーでもいい豆知識]
肘から肩にかけての部分を「二の腕」という。解剖学的には「上腕」といいます。
しかし昔はここを「一の腕」とよび、肘から手首(解剖学的には「前腕」という)を「二の腕」と呼んでいました。
いつしか誤用で一の腕が二の腕と呼ばれるになり、「一の腕」という言葉使われなくなったそうです。興味のあるかたはこちら☆を参照してください。