先週の事件です。
丸亀製麺で食中毒 「麦とろ牛ぶっかけ」食べ嘔吐(2016/06/16 18:48)
> 名古屋市のうどん店で食事をした18人が下痢や嘔吐(おうと)などの症状を訴えました。
> 名古屋市によりますと、15日、市内の病院から「丸亀製麺松葉公園店で食事をした8人が下痢や嘔吐などの症状で診察を受けた」と連絡がありました。調べたところ、店で食事をした8歳から84歳の男女合わせて18人が症状を訴えていて、全員、14日の夜に「麦とろ牛ぶっかけうどん」を食べていました。1人が入院しましたが、いずれも快方に向かっているということです。
以上はTV朝日のニュースサイトから。
丸亀製麺のHPから(現在は削除されている模様)。丸亀製麺は中国に39店舗もあるんですって。すごいわ。
さて、この事件の原因は毒素を産生する黄色ブドウ球菌でした。丸亀製麺のプレスリリースはこちら☆。
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黄色ブドウ球菌は、①菌そのものの感染(肺炎やとびひなど)と、②菌が産生する毒素(エンテロトキシン)の有害作用、の2つの様式での人体への影響があります。
黄色ブドウ球菌の電子顕微鏡写真。ブドウの房状に菌がかたまっているのでこの名前がついた。写真は着色されている。こちらから引用。中国語では”金黄色葡萄球菌”といいますが、なんありがたみを感じる。
今回は毒素(エンテロトキシン)が食品に入ったことが原因でした。この毒素は耐熱性があり、加熱してブドウ球菌が死滅しても食品に残ります。ブドウ球菌は、手の傷や化膿部に存在していて、これが食品に入りこんで毒素を産生します。
日本では昔、不潔な手でにぎったおにぎりでこの食中毒が多かったのですが、最近は減少傾向です。なお平成12年(2000年)の雪印集団食中毒事件もエンテロトキシンによる食中毒で、悪くなった脱脂粉乳によるものでした。当時の社長が記者に質問され腹を立てて「そんなこと言ったってねぇ、わたしは寝ていないんだよ!」と発言したのを覚えている人も多いと思います。
エンテロトキシンを摂取すると、3時間ほどで、嘔吐や腹痛、下痢が発生します。幸い重症化することは多くありません。
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中国でも、不潔な感じのお店で食事をした後、数時間でおなかが痛くなるのはこのタイプの食中毒でしょう。上海市内でも結構発生しているはずです。
衛生的でないお店での食事は避けましょう(といっても厨房の中はなかなか見えませんが…)。
また、私は関係者ではありませんが、上海の丸亀製麺はしっかり衛生管理をしていると信じています。