ヘルパンギーナ(中国語で疱疹性咽峡炎)が上海の子供の間で流行しています。例年、今の季節に多くみられます。日本でも現在西日本を中心に増加しています。
これはウイルス(エンテロウイルスとよばれるものが主体)の感染症で、突然の発熱で始まり高熱が数日続き、いわゆる夏風邪の一種です。潜伏期間は数日程度です。このウイルスの仲間は手足口病の原因にもなります。
ヘルパンギーナの口内。下に舌があり、口の奥に浅い潰瘍が複数できている(細矢印)。中央が口蓋垂(=のどちんこ)。写真は「今日の臨床」(エルゼビア)から。矢印は当方で追加。
典型的には、上記写真のように口の奥の柔らかい場所でのどちんこ(=口蓋垂)の付近に水ぶくれ(=水疱)や、浅い潰瘍ができます。このために口やのどの痛みがでます。
特別な治療法はなく、症状に合わせて薬を使います。なにもしなくても治る場合もあります。ただしごくまれに脳炎をおこして重症化することがありますので、お子さんの体調の変化には注意しましょう。
予防にはやはり手洗い、うがいが大事ですね。
手洗いをしましょう。特にお子さん。写真はこちらから。
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この病気による小学校・幼稚園の登校登園停止について、日本では明確な基準はありません。他の子供に感染させる可能性のある病気ですが、通常は熱が下がり元気になれば登校登園可能です。各学校・幼稚園で独自の基準を持つ場合もありますので、学校側に確認しましょう。
実はこのウイルスは元気になっても長期(数か月)にわたって便から排泄されることがあります。ですが、基本的に軽症な病気ですから登校停止基準を厳しくする意味はあまりありません。
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大人でも、疲労が重なる場合などにかかることがあります。心配な場合や食事がとれないような時は内科を受診してください。