頭のフケに関する、上海交通大学と花王の共同研究成果が5月12日に論文発表されました(Xu, Z. et al. Sci. Rep. 2016: 6, 24877)。
それによるとフケの悪化は、頭皮の2種類の細菌群(プロピオニバクテリウムPropionibacterium とブドウ球菌Staphylococcus)のバランスの崩れでおこり、とくにブドウ球菌の相対的な増加がよくないそうです。
下の図は正常(Normal)な人とフケ症(Dandruff)の人での頭皮の細菌の量の比較(rDNA量から算出)。大多数は赤のブドウ球菌と青のプロピオニバクテリウムです。正常と比べ、フケ症の人はブドウ球菌(赤)の割合が多いのがわかります。
図は上記論文から引用。
もちろん、年齢、男女の差、皮膚の脂腺の状態や水分量もフケの多さを決める要因になっているので、細菌のみが悪いわけではありません。
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以前から、真菌(細菌よりも大きく、高等な菌)の1種であるマラセチアMalasseziaがフケの増加に関係しているといわれていました。マラセチアは動物の皮膚の脂を食べて増える真菌で、ほぼすべての人が持っています。環境中には普通はいません。アトピー性皮膚炎悪化や脱毛の原因菌とされています。
今回の研究ではマラセチアはフケの増加においてそれほど大きな役割を果たしていないことがわかりました。
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フケに悩む人は多く、論文では世界の人口の半分がフケ症であると書かれています。今回の研究をもとに、ブドウ球菌を増やさず、頭皮環境のバランスを整えるシャンプーや薬が開発
されるといいですね。