アレルギー性結膜炎は花粉や動物の毛などによって発症します。大気汚染も悪化要因とされていますが、はっきりした関連はわかっていませんでした。

最新の研究データによると、どうやら大気汚染物質の二酸化窒素オゾンが悪化を起こし、PM2.5とPM10濃度は悪化と関連はないようです。呼吸器や循環器の病気とは大気汚染の影響の機序が違うようです。



図はこちらのサイトから引用。スモッグから発生するオゾンの影響についてまとめたもの。

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4月1日発行のScientific Reports誌に、上海で行われたアレルギー性結膜炎の患者数と大気汚染および気候の関連についての大規模な研究結果が発表されました(Hong, J. et al. Ambient air pollution, weather changes, and outpatient visits for allergic conjunctivitis: A retrospective registry study.Sci. Rep. 6, 23858)。

2008年から5年間、のべ320万人もの(すごく多い!)上海の患者さんの受診記録と大気のデータ変動を突き合わせたものです。

その結果、アレルギー性結膜炎患者さんが二酸化窒素またはオゾン濃度、気温の上昇で増加することがわかりました。下表の推定数(Estimate)は濃度が1μg/m3増えると週当たりの受診者数が何人増加するかを示しています。

表は上の論文から引用。日本語注釈と丸印は当方で追加。P値(丸印)が0.05より小さい項目が有意に関連がある。

このような結果の理由を著者らは以下のように考察しています。

1.二酸化窒素やオゾンは眼の表面のpHを変化させたり、粘膜を直接障害し、アレルギー性結膜炎を悪化させる。
2.一方でPM2.5やPM10は涙によって流れ去るので(肺と違いその部位に長く留まらない)影響が少ない。

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結膜炎の人は、上のような大気汚染のアプリをみるときにはPM2.5やPM10だけでなく、オゾン(O3)や二酸化窒素(NO2)の濃度にも注意ですね。
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