数日前ですが、日本でまたジカ熱患者さんが確認されました。産経新聞のニュースサイトから。
中南米から帰国の女性がジカ熱 流行後4人目
> 厚生労働省は24日、ジカ熱が流行する中南米地域に滞在していた愛知県在住の40代の外国籍の女性が国内でジカ熱を発症したと発表した。世界保健機関(WHO)が緊急事態を宣言して以降、国内ではブラジルに滞在した3人の感染が確認されている。> 今回はブラジル以外の中南米地域で初の感染だが、厚労省は「渡航者が少なく患者が特定される恐れがある」として、渡航地域を公表しなかった。(以下略)
ちょっと違和感があるのは、患者が特定されるということで渡航した国名を公表しなかったのに、愛知県在住とか外国籍とかは発表したこと。外国籍は関係ないのではないの?
この前の3例はずべてブラジルで感染していましたが、当然のことながら他の中南米の国も危険ですね。
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今月24日のScience誌ではブラジルにいつジカウイルスが入ったかの研究結果が報告されています。
ブラジルでこの病気が見つかったのは2015年5月。ジカウイルスはもともとアフリカで1947年に発見されたのですが、下図のように太平洋の島国の人々(の感染)を経てブラジルに到達したと推測されています。
図はこちらから引用。
下は上記Science誌の論文から引用。
最上段はウイルスの遺伝子の配列変化による分類。ウイルスが時間とともに変化し、横軸は推測される時間軸。細かいことは省きますが、ここではAとBという枝分かれ(目印となる遺伝子の変化)が2013から2014年の間におきたことに着目。Aの枝分かれで太平洋で採取されたウイルス(紫丸、Pacific islands) とブラジルとアメリカで採取されたのウイルス(紫以外の丸)に分かれる。
図の中段は枝分かれの時期とブラジルワールドカップ(i、2014年6月開催)、パラカヌー大会(ii、2014年9月開催)、コンフィデレーションカップ(iii、2013年6月開催)の時期を示す。
下段青帯はジカ熱流行地域(フランス領ポリネシア、タイ、インドネシア、マレーシアなど)からブラジルへの渡航者の数、紫の棒グラフはフランス領ポリネシアでのジカ熱患者数。いずれも横軸が時間。
この結果から、ブラジルのジカ熱ウイルスは、2015年でなく2013年ごろにすでにもちこまれていたと考えられます(コンフィデレーションカップのせいとははっきり断定できない。またフランス領ポリネシアから入ったのか、そこを経ずアジアから直接入ったかは不明)。
今回の研究はその地域で病気が発見される前にウイルスが侵入している可能性を示します。ではその間にウイルスはどこにいたのかなどは今後の研究が待たれますね。