世界的に子供の喘息は増えています。中国も例外ではない。
昨年発表された研究では、喘息をもつ子供の割合(有病率)が中国国内で上海はワーストワン。
また、国内ほとんどの地域で10年前よりも喘息の有病率が増加しています。
Sha L, et al. Chin J Tuberc Respir Dis, 2015;38:664のデータから当方で作図。赤が2010年、青が2000年。横軸が有病率。2000年と2010年で有病率に有意差があったのは上海を含む17地域。
この研究は33か所の市において、0~14歳の子供を対象に実施され、2000年と2010年を比較しています。喘息の有病率は全体で2000年で1.59%から2010年で2.11%と増加。上海では3.34%が5.28%に増加していました。喘息は3~6歳の年代で最も多く、男児が女児より多い傾向でした。
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別の研究結果をみても、やはり有病率は上海が一番多い。
この研究は10の都市において実施されました。対象は1~8歳で、かつ喘息の判定方法が上記の研究よりやや甘い(質問紙法のみ)ので、有病率は全体的に多目の数字になっています。1990年、2000年、2011年の比較です。
上海の有病率は2011年で9.8%とかなり高い。同じく北京は6.3%で、さらに太原Taiyuanでは1.7%しかない。
Zhang YP,et al. Chin Sci Bull. 2013;58:4182から引用。縦軸が有病率で黄色、赤色、青色がそれぞれ1990年、2000年、2011年。
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上海は大都市で、大気汚染が多いから有病率も高いのか?と思いましたが、それならば、上海よりも空気が悪い北京や内陸地方でもっと数字が多くてもいいはずですね。大気だけが問題ではなさそうです。
なにか他に原因があるのか、引き続き探してみたいと思います。