食事中の人はあとで読んでください。
排便の話です。
「考える人」のようなひじを足につくような前傾角度をとると排便がしやすいそうです。
ただし手にあごを乗せる必要はない。
今年2月のTechniques in Coloproctologyという学会誌に発表された、日本からの研究です。
つまり、下図の左(A)でなく、右(B)のようにひじをつける姿勢が排便にいいのです。
こんなこと、もう自分はいつもやってるという人が多いと思います。
私もそう。
楽なことはわかっていても、その理由を明らかにするのがこの研究の意義です。
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簡単に理由をいうと、写真では黒い塊にみえているバリウムを便に見立てて排便時の写真をとると、左の座位よりも右の前傾姿勢の方が肛門(下向き)と直腸(図では左上から下に走る)の角度(ARA)が広く、会陰面の距離(PPD)が長く、直腸を引っ張る恥骨直腸筋の長さ(PRL)も長くなるから。22人の患者さんで計測したそうです。
赤字と赤線は私が追加しました。
もっと簡単に説明すると下図のように、筋肉[赤い線]で締められた(前に引かれた)直腸下部が広がり、腸も垂直になり、便がまっすぐ移動しやすくなるため。
この図だけは別の研究について書かれたこちらのブログから引用。
古い研究で座位よりスクワットの姿勢が排便にいいと書かれている理由を説明したもの。
だから足の疲れを考えなければ、スクワットの姿勢(=和式トイレの体勢)は洋式便器に座るよりも排便にはいいのです。
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ま、姿勢だけですべての便秘が改善するのではありませんが、意識してもいいでしょう。
付記:この研究は毎日新聞の報道(2月10日)「洋式トイレ 排便姿勢「考える人」理想 熊本の医師ら発表」で知ったのですが、①こういう草の根の研究は大事だ、②なんで全国紙でこれが記事になるんだ、③知らない人には教えてあげたいな、という思いからブログで取り上げました。