発がん性が心配されているアクリルアミド(丙烯酰胺)についての報道が日本で昨日(2月2日)ありました。このアクリルアミドは、揚げたり焼いたりしたジャガイモ加工品や穀類加工品に高濃度に含まれることが2002年に判明し、以後注目されていました。

以下毎日新聞のHPから引用。



>内閣府・食品安全委員会の作業部会は1日、高温で揚げたり炒めたりした野菜などに含まれる発がん性物質「アクリルアミド」の摂取と日本人の健康への影響について「リスクは極めて低いが、動物実験の結果から、懸念がないとはいえない」との最終評価の結果案をまとめた。

>食品安全委員会は摂取量を減らすよう促している。(中略)

>最新データで日本人の平均推定摂取量は、体重1kgあたり1日0.24マイクログラム(マイクロは100万分の1の単位)だった。どこから取っているかを見ると、約6割を占めたのは炒めたモヤシやキャベツ、フライドポテトなど高温調理した野菜だった。2番目はコーヒーや緑茶などの飲料。(中略)

>日本は欧州連合(EU)加盟国(0.4~1.9マイクログラム)より低く、香港(0.21マイクログラム)とほぼ同じだった。

>今回の調査でも、人への健康影響は明確ではないとの結論になったが、動物実験でがんが認められた最少量と日本人の平均推定摂取量が比較的近いことから、「懸念がないとはいえない」との評価になった。
作業部会は「特定の野菜を怖がる必要はないが、高温での調理時間を短くするなど家庭でできる範囲内で減らすのがよい」としている。(引用終わり)


これ読んで火を使って高温で調理する中華料理は大丈夫かっ!?と心配になりました。香港(0.21)の値よりも、中国大陸の値の方が高いのではないかという疑惑です。

ということで、料理の専門家ではないのですが、わかる範囲でデータをみてみました。

2013年に発表された、中国本土における調査では、測定した料理の43.7%からアクリルアミドが検出され、中国一般人では体重1kgあたり1日0.29マイクログラムの摂取量と推定された[資料1]。

2016年に発表された、中国本土における調査では、測定した料理の40.0%からアクリルアミドが検出され、推定される摂取量は体重1kgあたり1日0.32マイクログラムと推定された[資料2]。

新聞報道では日本0.24ですから、中国の料理中のアクリルアミドは日本や香港より多めであるが予想したほど多くない


上記で使った[資料1]には欧米の7か国のデータも書かれていました。国によって測定対象や測定方法がちがうので、並べて比較するのは乱暴は承知ですが、日本の値(上記新聞報道)を加えて、アクリルアミド摂取量を棒グラフにして比較します。



これをみると日本、中国は決して摂取量は多くない。ちょっと安心。

フライドポテトの消費量や、穀物の食べ方(焼く方が炊く方よりアクリルアミドが発生する)が関係するのでしょうか。

中国の人、疑って、ゴメン。


重要なのは、内閣府の発表のとおり、調理の時に下記を注意することですね(上記新聞報道から再掲)

 >1 生じゃがいもは8度以上で保存して、高温加熱しすぎない。
 >2 トーストなど炭水化物の多い食品を焼きすぎない。
 >3 野菜はいったん水にさらしてから、炒めたり揚げたりする。
 >4 炒めるときは良くかき混ぜる。
 >5 120度を超えない調理法(蒸す、煮る、茹でる)を利用する。

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資料
[1] Zhou PP, et al. Dietary exposure of the Chinese population to acrylamide. Biomed Environ Sci. 2013;26:421
[2] Gao J, et al. Dietary exposure of acrylamide from the fifth Chinese Total Diet Study. Food Chem Toxicol. 2016;87:97