土曜日(1月23日)に、日本で食中毒があったと新聞報道がありました。

ヒスタミン食中毒です。以下報道の引用。引用元の朝日新聞はこちら

  -福島県は23日、同県下郷町の小学校と中学校の計2校の給食に出されたサンマのすり身を21日に食べた児童・生徒ら87人が食中毒になったと発表した。県は、消費期限が約5カ月過ぎていることを知りながら出荷していたとして、販売した「若松魚類」(同県会津若松市)に23日から2日間の営業停止を命じた。

(中略)

  -調理場に残ったすり身からは、保存状態が悪い赤身の魚に含まれ、アレルギー反応を引き起こす化学物質「ヒスタミン」が検出された。県の調査に対し、同社は「担当者がもったいないと思ってやってしまった。冷凍すれば大丈夫だと思ったようだ」と説明したという。


主に赤みの魚が悪くなるときに、ある種の細菌によってヒスチジンという物質がヒスタミンに変換され、これを食べるとこのようなヒスタミンによる食中毒が起きます。いわゆる腐った状態とは違います。また、食べ物に含まれる細菌やウイルスの毒素による症状とも違います。


写真はこちらの論文から引用。

上海にきたとき、しつこく周りの人たちに言われたのが、鮮度が悪い上海蟹は絶対食べるな、ということ。ヒスタミン食中毒になるからです。

上海蟹が死ぬと、すぐに体内でヒスタミンが増加してくるそうです。幸い自分はまだ経験がありませんが、時々発疹で発症して受診する患者さんがいます。

いわゆる腐敗の場合、アンモニアのにおいなどでわかるのですが、ヒスタミンは増えてもにおいはない。しかもいったん発生したヒスタミンは加熱では取り除けないし、冷凍しても効果がありません。ただしヒスタミンにより味がピリッとした感じに変わることがあり、悪くなったことがわかることがあります。

症状は首周りの発疹、かゆみ、のどの熱い感じ、はきけ、下痢、頭痛などで、重症の場合は呼吸困難も起きます。症状はアレルギーに似ています(広義のアレルギーに分類してもいい)。また本人が魚介を食べたと教えてくれないと正しく診断もできない。

多くは赤身の魚の保存が悪いことが原因です。マグロ、サバ、シャケ、カツオ、ブリとかでおこりやすい。詳しく魚の種類を知りたい方はこちらを参照。

日本では上海蟹をあまり食べないので、原因としてあまり蟹は注目されていませんが、上海では蟹の鮮度に注意が必要です。

いつの季節に注意したらいいのか気になったので、調べてみました。

うまい具合に、新幹線で上海から2時間の寧波での海と川の魚介(上海蟹を含む)の衛生度、つまりとれた魚介類中にどのくらい食中毒を起こす物質が存在するかを分析した論文がありました。論文はこれ

この論文データから、月ごとの魚介サンプル中のヒスタミンの濃度を抽出してエクセルでグラフにしました。

横軸が月、縦軸は魚介100g当たりの平均濃度で、±は標準偏差です。

ヒスタミンは冬に注意ですね。

ちなみに、いわゆる腐敗によって発生するアンモニア(論文中では揮発性塩素態窒素として含めてある)は、予想通り気温の高い季節で注意です。


鮮度の低いあるいは保管が悪い魚介、蟹は食べないようにしなければ。

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追記 日本語がヘンだというご指摘によりタイトルを変更しました。