中国のローカル病院・医院を受診したあとに、今後は当院(日系クリニック)にかかりたいと希望されて受診される患者さんが結構おられます。
転医の理由は様々ですが、一番多いのはローカルの病院は混雑して時間がかかるからというのと、診断治療の説明が十分されないから、という事情です。また、残念ながら病状がよくならないからという方もいらっしゃいます。以前のブログでも似たことを書きました。
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ローカルの医療機関を経由してから受診される患者さんの多くは、下の写真のような受診記録(マイカルテみたいなもの)を持参して当院にこられます。様式はいろいろありますが、中国の病院を受診すると患者さんごとに交付され、その人の症状や治療内容が記載されている記録です。
この記録によって、以前にどのような治療がなされているのがわかるので、仕組みとしては素晴らしい。中国では様々な理由により転院して治療をすることがしばしばあるので、いままでの医療情報がまとまっているのは大変助かる、はずですが…
でも、字が汚くてぜんぜん読めないぞ!(怒)
写真で字の見本を出したいけど、個人情報もあるので控えます。ちなみに既往歴やアレルギー情報もろくに記載されていないことが多いぞ(怒)。
電子化されて、プリンターで印字された記録を持参される場合もあり、そのようなときは大変ありがたいのです。しかし、8:2くらいの割合で、読めない手書きの記録がきます。わたしが日本人だから読めないというのでなく、中国人スタッフにお願いしても解読できない代物です。
ちゃんとわかるように書けよ!(怒)。
ちゃんとわかるように書けよ!(怒)。
中国の医療機関はとても患者さんが多いので、丁寧に手書きをする余裕がないのはわかります。でもあまりにも走り書き過ぎる。患者さんのことを第一に考えると、ここまで汚く記載はできないはずです。第三者から治療内容について文句が出ないように、わざと読めなくしているという、笑えない説もあります(これは都市伝説?)。
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さらに、中国は(全部ではないですが)、転院の際の紹介状を作成する習慣がありません。
当院から中国のクリニックに患者さんを紹介する時は、必ず紹介状を作成します。
逆に中国の病院から紹介状をもらうことはほぼない。紹介しても、あちらでの治療経過について連絡をもらったこともない。こちらからの紹介後に、患者さんがいつ受診されたという単純な返事もまずない。
当院から中国のクリニックに患者さんを紹介する時は、必ず紹介状を作成します。
逆に中国の病院から紹介状をもらうことはほぼない。紹介しても、あちらでの治療経過について連絡をもらったこともない。こちらからの紹介後に、患者さんがいつ受診されたという単純な返事もまずない。
わたしは日本にいたとき後輩には、他院からの紹介状には返事を簡単でもいいから必ず書くように、口を酸っぱくして言っていましたが、その考えは中国では通用しないようです。
患者さんの情報を共有することは、患者さんのためになりますし、相互の医療機関のレベルアップや信頼醸成に有用なのですが…
返事くらいくれよ!(怒)。
患者さんの情報を共有することは、患者さんのためになりますし、相互の医療機関のレベルアップや信頼醸成に有用なのですが…
返事くらいくれよ!(怒)。
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携帯電話や電子商取引が、これだけ盛んな国なので、もっと医療もIT化してほしい。通常の個人医療情報は、20年分くらいであっても、容量は多くないのでICカードに入れることは可能なはずです(CTなどの画像データは別として)。
日本でも、同様にカルテやカルテに準じたものを渡すことを実施している医療機関や地域はすでにあるのですが、いろいろな理由でまだ広く普及はしていません。わたしのいる日系クリニックを含め、日本の医療機関では普通、個人に詳細なデータを渡してはいません(注)。情報を個人に開示することに関して、コンセプトとしては中国の方が偉い。
いい悪いは別として、個人番号がしっかり付いているこの国では(無戸籍のひとは別として)、電子的な医療情報統一化は日本よりも実施させやすいはずです。
中国の偉い人、頑張ってね。よろしく。

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(注)日本では、データやカルテは医療機関での保管義務があり、データはコピーしないと渡せないので、一昔前はデータを簡単に渡せなかったという経緯があります。現在はカルテや検査データコピーも容易で、大きな病院では画像データもCD-Rなどのメディアにおとせる時代になっています。