大人も子供もせきをしているひとが目立ちますね。

砂糖橘。ちっちゃくてむきやすい。
本文とは関係ありません。


「北京咳」ということばがあります。北京の大気汚染でおこる咳です。大気汚染がひどく、人口の多い首都にちなんでついたようです。


北京咳は正式な医学用語ではありません。いわゆる俗語です。これを報告した論文(英国人医師の体験レポート的ですが)もあります。中国で診療するドクターならよく知っていますが、日本のドクターにはあまりなじみがない言葉でしょう。

では上海咳」は存在するのでしょうか。いいかえると上海で起こる北京咳はあるのでしょうか。

私見ですが、頻度は少ないがあるようだ、と考えています。症状が軽くてクリニックを受診していないひともいるでしょう。基礎疾患がなく、空気の悪いときに悪化する咳やのどの違和感で受診する患者さんの中に、風邪などの感染症でなく上海咳だと考えたほうがいいひとがいます。患者さん自身でも、「風邪でないような気がする」とおっしゃるかたがいます。

だからといって、そういう患者さんに簡単に上海咳という診断名はつけられません。わたしも自信がない場合にはこの言葉は使いません。咳の原因はさまざまで、治療が難しいことがめずらしくありません。原因を追求して、それに合わせた治療をできるかどうかが内科医の腕の見せどころです。上海咳の場合は、原因がなくせないので治りにくく、通常の咳止め薬以外の治療薬を使うこともあります。もちろん抗生物質は第一選択薬にもなりません。咳の治療には経験が必要です。

咳は何でも風邪が原因ではありませんよね。クリニックで咳の診断に疑問があるときはよくドクターと相談しましょう(なんでも風邪や気管支炎にするところには要注意)。
汚染された空気をさけることはもちろん基本ですね。
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