海外での医療費が非常に高額になることはご存じですよね。

上海も例外ではありません。医療費を安く済ませるには上海ローカルの医療機関に行くといいのですが、言葉の問題や制度の違いなどがあり、なかなか受診しにくいです。


◆海外医療費は高い
わたしのいるクリニックも、医療費は決して安くありません。高いです。

ただ、うちのクリニックはそれほど強烈に利益を追及していないので、法外な値段ではないと考えています(注)。上海市内の外資系クリニックのなかにはうちよりもずいぶん高額な料金設定のところもあるようです。

当たり前ですが、日本の医療機関と同じクオリティを目指して診療をしようとすると、運営やメンテナンスにかなりコストがかかります。上海で日本製品を買うと高いのと同じことですね。



あと、日本では保険診療で3割あるいは1割しか負担しないことが多いですから(自治体によって子供は無料!)、外国に来るまで医療費についてあまり注意してこなかったかたも多いと思います。海外で高額な医療費をみて驚くのも無理ありません。



時々、「高いお金を払っているのによくならないとはどういうことだ!」と不満をぶつけてくる患者さんもいらっしゃいます。こちらとしては、機械の故障を直すのと病気の治療はわけがちがうので困るな~と思いながら診療しています。


◆海外での医療保険
さて、多くの患者さんは海外旅行保険を使われます。

ほとんどの場合、キャッシュレスで医療を受けられますからその場で自分の財布が痛むことはありません。また多くのクリニックではタクシー代も保険から支出できます。タクシーで受診するとき、受診にくるときの片道領収書があれば、帰りの分を含めた金額をお渡しできます。



私のいるクリニックの場合、医療費支払いがキャッシュレスなら、会計のときにサインをいただきます。このとき、その日の医療費の額がご本人にわかるのです。

市内のクリニックでは、サインをいただいていないところがあり、そこでは患者さんが尋ねない限りその日かかった金額がわからない不明瞭(?)会計の医療機関もありますので、十分ご注意ください。



多くの海外旅行保険は同一の疾患での治療日数が180日を超えると保険のカバーがされません。つまりその時点で自費診療にかわりますので、要注意です。薬も180日分の量しか原則的にカバーできません。



また、日本ですでに治療を開始している高血圧などの慢性疾患は原則として海外旅行保険の適応外です。ただし例外もありますので、受け付けで確認しましょう。適応外で自費支払いした場合でも、領収書があれば、海外医療費のうち日本で治療した場合相当の保険カバー分の金額が帰国後に戻ることがあります。日本で加入するご自分の保険システムを知っておくことも大事です。大企業などでは自費の分を会社が金額を補てんしてくれるところもあります。



あと、初診料(その病気での1回目の受診)と再診料は違いますので、一見おなじ医療行為でも日によって発生する金額が異なることがあります。



ごくごくまれに、全然保険に入っていないひとがみえます。クレジットカード保険も持っていないひと。これは大変にまずいです。海外で暮らす、または海外旅行をする際には、絶対に保険に加入しましょう。私は保険会社のまわしものではありませんが強く言いたい(笑)。



さいごに、待合室に置いてある日本語の雑誌を無断でもちかえることはしないでね。これも強く言いたい。お願いね(笑)。



(注)私は経営者でないので内情はわかりませんが、うちのクリニックは、赤字ではないものの、すごく儲かる状況でもないようです。最近、在留日本人数が以前より減っていて、余裕の経営はできません。給料も他のクリニックより決してよくはないのですが(だから某クリニックから転籍の勧誘あり)、働きやすく、同僚ドクターや職員にいい人が揃っていて、診療売上のノルマみたいのがないので勤務を続けていられます。
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