N95といわれるタイプのマスク。細かい汚染物質を吸わないようにするには効果的ですが、しっかり装着するとかなり息苦しい。しかも高価です。



前回とは別の患者さんについてです。

大気汚染によってどんな症状が出るか気になるかたも多いでしょうから別の方の例をご紹介します。今回も個人情報は変更してあります。


<Bさん、会社員28歳男性>


 ◆小さいころに咳がでやすく、気管支が弱いといわれていた。咳のため、夜に母親に連れられて病院によく行った記憶がある。高校生になってから咳は意識しないくらい出なくなった。

 ◆上海に今年6月から家族で赴任。赴任のはじめに下痢が続いた以外にはおおきな病気もしないで生活していた。

 ◆今年の12月になり、昼は少ないが、夜間に咳こみが続くようになった。はじめは週に2回程度であったが、最近は毎日ひどくせき込み、寝入りばなや早朝3時ころの咳がつらい。咳で目が覚めることもよくあり、なかなか寝付けない。横になると苦しいので、ソファに座って朝までうとうとすることもある。熱はない。白い痰がすこし出る。寝不足で毎日イライラするため、クリニックを受診。家族には同じ症状のひとはいない。

 ◆問診では明らかな咳の原因は不明。胸部の聴診ではゼイゼイする音が深呼吸できこえる。アレルギー検査を含め、採血検査で異常なし。レントゲンも異常なし。マイコプラズマ感染も否定的。診断は気管支喘息。おそらく大気汚染により、気管支が影響を受けたと思われた。

 ◆吸入薬など喘息の薬を処方。これにより症状は軽快。



これは気管支喘息患者さんの例です。はっきりいわれていなかったものの、小さい時から体質的に喘息になりやすかったのかもしれません。「かぜ」と似ていますが治療がまったく異なります。もちろん抗生物質も効果ありません。

大気汚染は鼻や気管支にまず影響をおよぼします。ただし、影響の受けやすさは人によって異なり、以前から鼻や気管支に病気のある人ほど悪化しやすいです。


(続く)


にほんブログ村