インフルエンザの検査につかう綿棒。うちのクリニックの綿棒はこんなに細くて柔らかい!
インフルエンザの季節になりました。
大きな流行は上海ではまだおきていませんが、インフルエンザにかかった患者さんが毎日受診されています。検査するとほとんどA型インフルエンザです。
◆インフルエンンザワクチンはしてもしなくてもいいの?
ときどき患者さんに聞かれますが、した方がいいでしょう。
理由は2つあって、1つは注射をすると感染を受けにくくなったり、発熱などの症状が軽くすんだりすることが多いことです(個人免疫personal immunityといいます)。注射をすると病気にならないわけではないのでご注意を。もう1つはできるだけ多くの人が集団で接種することで流行規模が小さくなるからです(集団免疫herd immunityといいます)。
◆卵アレルギーのひとは?
インフルエンザワクチンの製造過程では、ウイルスを増殖させるために鶏卵の尿膜腔という部位を使います。その後ウイルスは不活化されて、さらに卵の成分はほとんど取り除かれますので、通常はあまり卵アレルギーのことは心配しなくてもいいです。ただし卵の摂取で全身の症状がでたり、アナフィラキシーショックがでたりするひとは接種を避けましょう。
◆ワクチンの中身について
インフルエンザワクチンの内容は、今季流行すると思われるウイルス株を検討して決められています。流行するウイルスの種類が毎年違うので、ワクチンは毎年中身が変わりますし、毎年打ったほうがいいのです。
今年は下記3つの株について対応できるワクチン(三価不活化ワクチン)が世界保健機構(WHO)により推奨されています。
・ A/カリフォルニア/7/2009 (H1N1)pdm09-like virus;
・ A/スイス/9715293/2013 (H3N2)-like virus;
・ B/プーケット/3073/2013-like virus
今勤めているクリニックで接種しているワクチンは、中国国内でサノフィ・パスツール社(フランス)が作っていて、内容に問題はありません。
ところでWHOは今シーズンについては可能であれば、B/Brisbane/60/2008-likevirus株を加えた四価ワクチンを使った方がいいともいっています。よりB型インフルエンザに強く対応できることを意識してのようですが、流行の主体がA型ですので、三価と四価では効果に大きな違いはないでしょう。日本では今年から四価ワクチンが使われています。日本からのワクチン輸入は(公式には)できないことになっていますので、上海では三価を使用します。ワクチンはできれば12月中に接種しましょう。
◆ワクチン接種方法について
日本と中国では接種の方法が違うのですよ。
日本の標準的接種法(世界で見るとやや複雑な方法)
・6ヶ月以上3歳未満の場合、0.25mLを皮下におよそ2~4週間の間隔をおいて2回注射。
・3歳以上13歳未満の場合、0.5mLを皮下におよそ2~4週間の間隔をおいて2回注射。
・13歳以上の場合、0.5mLを皮下に、1回又はおよそ1~4週間の間隔をおいて2回注射(基本大人は1回です)。
中国の方法(ほぼ世界標準)
・6か月以上3歳未満の場合、0.25mLを筋肉内に1回注射。ただし、いままで接種歴がない場合に4週間の間隔をおいて2回注射。
・3歳以上の場合、0.5mLを筋肉内に1回注射。
◆副作用
インフルエンザワクチンの主な副作用は発熱、倦怠感、注射部位の熱感、はれ、赤み、かゆみ、下痢、鼻水などがありますが、多くは一時的なものです。ごくごくまれにショックや蕁麻疹、呼吸困難、浮腫、脳脊髄膜炎などがおきます。判断に迷うときは医療機関を受診してください。
◆インフルエンザの検査
ご存知の方も多いと思いますが、インフルエンザにかかっていることを調べるには鼻の奥から綿棒で検体を採取します。鼻の奥にある鼻汁を取るのです。
取るときにはすこし違和感があり、人によっては多少痛いのですが、今は綿棒が細くて柔らかいので心配はありません。
発熱(=発病)してすぐでは鼻の中で増殖しているウイルスの量が少ないので検出できないことがあります。一般的には発熱から12時間以上経過が望ましいといわれていましたが、最近の検査薬は感度がよく、それ以前にわかることもしばしばあります。検査のタイミングは医師と相談してください。また、インフルエンザの診断治療にこの検査が必須というわけではありません。
そうそう、自分でもワクチンはしました。
例年より痛いといううわさがありましたが、平気でした(笑)。
インフルエンザ治療薬のタミフルなどについては次回以降でアップします。
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