浜崎
浜崎あゆみ ayumi hamasaki COU 五便宝 NTDOWN LIVE 2007-2008 Anniversary 昔で言うところの“アイドル”に近しい存在なのだろうが、「かなり歌がうまくて曲もいい」という女性シンガーが90年代末からJポップ・シーンを席捲している――浜崎あゆみはその筆頭である。 97年にヴォーカル・レッスンのため渡米し、N.Y.でヴォーカリストとしての技術的なことはもちろん、精神的にも大きく成長。帰国と同時にリアルな自分を見つめた詞を書きはじめ、98年Spanish sex drops 4月、シングル「ポーカー・フェィス」でデビューを果たす。以来、すべての作詞を自ら手掛けるこだわりは、彼女の音楽に対する真摯な姿勢のあらわれであり、一度聴いただけで耳に残るメロディとキーの高い歌声は、チャートの上位に居座るだけの実力を感じさせる。それに偉哥三鞭 加え、リミックスのようなフロア向けの音作りや、ジャケットのアート・ワークにおけるクールなアクセントは、プロデューサー・Max Matsuuraの功績といえるだろう。音楽面のみならず、ファッション/メイクからその生き方にいたるまで、同世代の女の子たちに与える影響は絶大。(リッスンジャパン)
私は夢を売ったことは
私は夢を売ったことは翔也が東大受験が終わるまでは家族には秘密にしておくことにした。
すでに7億の選挙資金があるなどと言ったら、おかしな動揺をきたして、合格確実の判定を続けている東大入試に落ちてしまっては本末転倒だと考えたのだ。
しかし、そのことは隠せても、私の不自然ににやけた顔は家族に気付かれてしまう。
その日曜の夜は、私がリビングのソフアで新聞を読んでる横で翔也も優菜もそれぞれの雑誌を読んでいた。
「やだ、お父さん、何ニヤニヤしてんの」
新聞から目をあげてボーっとしているところを優菜に指摘された。
「えっ、そうか」
「そうだよ、キモイよ」
「ごめんこめん、ちょっと頭の中で将来のこと考えてたんだ」
「あ、もしかして、私のウェディングドレG.樂激情震動避妊袋 ス姿?
早すぎだって、あたし、まだ高校一年だよ。早すぎ」
「そういえば、優菜は幼稚園の頃、お父さんのお嫁さんなるって言ってたなあ」
私がからかうと、優菜はムッとしてキッチンに駆け込み、奥で「お母さん、お父さんがイジめるう」と言ってる。
「ばっかみたい」
翔也がつまらなさそうに言う。
テーブルの週刊誌をぱらぱらとめくる翔也に、私は言ってみる。
「気分転換なら、丁度、今、人気のドラマやってるみたいだぞ」
「いいよ、そういうの、つまらないんだよね」
「どうだ、受験の方は?」
「別に、予定通りだよ。もういくつやっても、本番も模試も変わりない。
僕の受験道は完成した」
「お前はたいしたやつだよ」
「父さんさ」
急に言われて、翔也を見つめた。
翔也がいつになく笑顔なのは、私の顔がにやけていたせいだろう。
「うん?」
「やっぱ、いいや」
翔也がテーブルに置いてあったクッキーをつかんで、自分の部屋に戻る後ろ姿に、私は、そっとつぶやく。
(総理大臣になれよ)
ついに翔也の入試が今日終わる。
私は夕食に間に合わせるため、いつもより早めに仕事を切り上げて家に帰った。
今日は受験をねぎらう夕食の席で、政治 G蛋白偉哥片 団体の口座残高を見せるつもりで用意してある。
私が一番最後にテーブルにつくと、宏美が言う。
「今日は翔也のご苦労さま会だから、翔也の好きなヒレカツなの」
「うん、うまそうだな。NEWFATBURNERS(超級脂
翔也の受験が終わったということは合格したみたいなもんだ、まずは乾杯」
私と宏美はビール、優菜がオレンジ色の炭酸、翔也がミネラルウォーターを手に乾杯を交わした。パチパチと拍手で区切り、食事に移る。
「いただきます」
「いただきまあす」
ヒレカツを口に運びながら私が言う。
「今日は、父さん、ちょっと発表があるんだ」
すると翔也も
「僕も発表がある」
「そうか、じゃあ、翔也からしろよ」
翔也は箸を置くと、何枚もの紙をまとめてテーブルの上に広げた。
「東大入試だけど、予備校の模範解答と合わせてみたら、正解率98.7パーセントだった」
「すっごーい」
宏美と優菜の声 ペニス増大 が揃い、拍手が起きる。
「えらいな、どれどれ見せてみろ」
私は赤ペンで採点されてる用紙を手に取って眺めた。
「ほおー、丸ばかり……」
私の目が釘付けになった。
そこには受験番号の欄と名前の欄が鉛筆で埋められてる。
数瞬、何がおかしいのか理解できなかった。
「これは、これは、どういうことだ?
お前の名前が書いてある、この入試問題は?」
「あ、気付いた?
へへ、これ、本物だよ」
急にめまいがした。
「お兄ちゃん、本物って、どういうこと?」
「つまり、ささーと答えを書いて、そのまま持って出たんだよね、全教科」
震えがきた。
それはつまり答案を提出してないということだ。
それはつまり不合格ということだ。
それはつまり……、
私は思わずテーブルを拳で叩いた。
「全てぶちこわしじゃないか?」
「まあ、冷静に、冷静に」
翔也は悪びれもせずに言う。
「お前あ、何を考えてるはあっさりしています NEW SUPER 「これは受験道に対する、僕なりの美しい到達点なんだよね」
「ふざけるな!」
「イチローって野球選手じゃないんだよね。
剣術家が剣の道を究めるように、彼は野球の道を究めてるわけ。
じゃなきゃ、あんな弱いチームでやってられないでしょ。
あらゆる投球から体の反応だけで美しいヒットを打つことが彼の剣の道なんだよ。
僕も受験を究めるということで、全ての教科を規定の半分以下の時間で書き上げ、この正解率に到達したんだよ」
「くだらん、お前、自分のしたことがわかってるのか?」
「普通、わかるでしょ」
「お前はみんなに将来、総理大臣になるって言ったじゃないか」
「それは言ったことあるけど、昔だよ。
優菜に、お父さんのお嫁になるって言ったぞって、いいがかりつけるのと同じだ」
「昔じゃない、高校3年になってからも言ったぞ」
「だから高校がもう昔なMaxMan(MMCII代) の。
進路に変更はつきものでしょ」
そこで私は政治団体の口座残高をテーブルに叩きつけてやる。
「これを見てみろ」
「何?」
「みんながお前に期待してるんだ、その証しだ」
「口座残高?
げっ、7億?」
「7億ーッ」
宏美が「ちょっちょっと、どうしたの?」と聞くが、ここは無視だ。
「お前が総理大臣になるっていうから、山陰の本津賀って大物がポンと出してくれたんだ。
わかってるのか、その期待を?高校3年のお前に選挙費用7億だぞ」
「バッカじゃないの」
鈍い打撃音、私は反射的に翔也を殴っていた。
翔也は頬を押さえて、私を睨んだ。
いや、哀れむような色も混EW SUPER FAT BURNINGじっていたかもしれない。
大きな音を立てて、翔也はドアから出て行った。
「あなた、どういうことなの?」
私は真っ白な頭に思考を無理やり流し込んでやる。
「うむ、説明する。
私立受験はもうできないのか?」
私は翔也に滑り止めなどいらないだろうと言ってた。
「今からじゃ、いいところはないわよ、だから私が言ったでしょ」
「あいつは確信犯なんだ、受けてても意味ないさ」
しかし、頭の中は再び真っ白になってゆく。
私の壮大な夢を、能力は十分足りているはずの翔也が踏みににじってゆくというのか?
FAT BURNING んだ?」
宏美は自殺まで心配して、警察に届けた方がいいと言ったが、私は不要だと答えた。
殴られて萎むようなしおらしい人間なら、受験の答案を出さずに帰るなどという大胆な犯罪を起こす筈がない。そう、これは犯罪なのだ。
それにやつの頭の回転はこちらよりずっと上なのだ、殴られることも想定内で、訳のわからないことをする大馬鹿者だ。
そう言ったものの、私は暗い町を駆け巡って翔也の姿を探し続けた。
Fのことが脳裏をかすめたからだ。
やつも頭の回転は抜群N NEWFATBURNERS 、私の意表を突いて事を起こした。まさか翔也に限って、そんなこと。
まもなく翔也の居所がわかった。
同級生に電話してあたるうちに、(ああ、来てますよ)と返事があったのだ。
私はホッとして帰宅した。
§5
その電話が入ったのは、出社して2時間ほどした時だった。
「市岡様、お久しぶりでございます」
「ああ、伴野さん、その節はお世話になりました。
本津賀会長はお元気ですか?」
「はい、おかげさまで、元気になさってます。
これも市岡様の夢を聞いて、生きる張り合いが出たのかと」
私は青くなった。
その会長が、もし翔也が東大受験をボイコットしたと知ったらどうなるだろう。
「いや、それは」
私が言いよどんでいると、伴野秘書が用件を伝える。
「実は、今日、お電話いたしましたのは他でもありません。
会長が急に会いたいと申されまして、お忙しいとは思いますが」
「そうですか、しかし、今日はちょっと仕事が詰まってまして」
「では明日いらしてください、チケットは都内からバイク便で今夜届くように手配いたします」
「わかりました」(超級脂肪燃焼弾)
私は受話器を置きながら覚悟した。
行けば必ず翔也がどうしているか必ず尋ねられるだろう、そうなったら正直に話すしかない。
夢の実現性に重大な障害が生じた以上、あの金は返すしかない。
それが筋だろう。
それを聞いて会長がふさぎこむかもしれないが、なんでもないふりをして騙すのは正義に反する。
いや、その辺はまず伴野秘書に話してみよう。
金は返してもらうが、会長には嘘をついてほしいと頼まれるかもしれない。
私は暗澹たる思いに浸った。
せっかく手に入れた大金だが、仕方ない。
こうなると、翔也のことでなく、別な夢で、たとえばインカの遺跡を撮影旅行したいという夢で応募しておけばよかったか。
そんなことを考えて、私は自分の発想を笑った。
息子を総理大臣にしたい妖JI催情粉 という話だからこそ、本津賀会長は買う気になったのだ。
私は大きく溜め息を吐いた。
飛行機を降りると雪が降り出した。
リムジンの中で、私は伴野秘書には全てを話した。
「そんなに思いつめないで下さい。
会長は度量の大きい方ですから、返せとは仰らないです」
しかし、伴野秘書の言葉に納得できるわけがない。
「それでは私の気持ちが収まらないんです。
それに会長に息子のことを聞かれたらどう答えたらいいんです?」
「心配なさらないでください」
「お願いします、私は嘘をつくのも、会長に心労をかけるのも避けたいんです。
伴野さんからうまく伝えてい超級肪燃焼弾ただけませんか」
私にできることは伴野秘書にすがるだけだ。
本津賀の大きな屋敷にも雪が降り積もっている。
旧首相官邸そっくりの階段を上がり、廊下を抜けて部屋に入ると、本津賀会長が嬉しそうに手を差し出した。
「久しぶりですな」
「またお目にかかれて光栄です」
「少し顔色が冴えないようですな」
「あ、ええ、ちょっと飛行機が揺れまして」
会長はちらっと窓に目をやり、
「市岡さんの田舎とこっちでは雪はどうです?」
「雪の量は、やはり私Motivat
田舎が上のようです」
私はようやく少し微笑を浮かべた。
「市岡さんの息子さんですが」
私はハッとして、ちらりと伴野秘書を見やった。
すると伴野秘書が言う。
「会長、市岡様様は、息子さんが東大受験に答案を提出しないでボイコットしたことで、ずいぶん心を痛めておられます」
私は焦った、そんな言い方では会長にショックを与えてしまうじゃないか。
木津賀会長はただ目を閉じて聞いている。
「それで、息子を総理大臣にする夢の実現性がなくなったから、お金を返そうと仰られて、まったく正直な方です」
すると木津賀会長は目を開いて笑った。
「ハハハッ、本当に気持ちのよい方ですな。
あれは夢を聞いた代価ですv、夢が実現するかまでは条件にしてません。
どうしても邪魔なら、どこかに寄付されれば済むことじゃ」
私はどう答えてよいか言葉が浮かばなかった。
しかし、木津賀会長Motivator 女性の激情 は微笑すら浮かべていた。
「市岡さん、息子を総理大臣にするというあんたの夢、そして私の夢は壊れたのかもしれまませんな。
夢がすべて叶うわけではない、そんなことはあなただってよくご存知でしょうが」
「会長にあれほどの援助をいただいたのに、申し訳ないのです」
「しかし、あなたと私の夢は、まだ終わってないようじゃ」
木津賀会長が目配せをすると、次の間のドアが開いた。
私が振り向くと、翔也が照れくさそうに入ってきた。
「翔也、なぜここに?」
木津賀会長が答える。
「昨日の朝、一番の便で、東京から飛んで来ての」
私は翔也に問いかける。
「どうしてここがわかったんだ」
「本津賀さんて言えば保守党で有名だよ、すぐ調べがつくさ」
本津賀会長が笑う。
「翔也さんは私に受験をボイコットしたことを詫びてくれましてな。
そして、総理大臣にはなりたくないから金は返すと」
「そうですか、会長、愚かな息子を許してください」
私は頭を下げた。MaxWomanSex 「いやいや、それがまだ続きがあるんだで、さ、翔也君」
翔也は、私のすぐ前に歩み寄って言った。
「俺ね、冬休みに、子供の時のノート探して、物置をひっかきまわしてたんだよね。
そしたら、父さんの書いた小説がさ、出てきたんだ」
私は「あ」と息を洩らした。
「なんか、最初はSFだったり、おとぎ話風だったりなのね。
だけどしまいに大上段に振りかぶって、ああだこうだって説教が入って、なんかもうダサダサなんだな、これが」
私は赤面する。
「けど、少し我慢して何篇も読んでるとね、なんか心が落ち着いてきて、楽しいの。
あれえ、親父ってけっこうジャブだけのボクサーのふりして、実は空手の七年殺しぃみたいな、ちょっとした文章の魔術師じゃないのって、すげー感心したんだ。
父さんは親友が死んで小説やめちゃったみたいだけど、それっておかしくない?
医者がたまたま患者が一人死ん 夜巴黎 だからって、医者やめないでしょ、普通」
「あ、あのな」
私が反論しようとして言葉を捜すうちに、翔也が続ける。
「こんなに面白いのにもったいないでしょ。
だからさ、俺、そん時に、政治家はもうやめて、親父の夢継いで小説家目指したるって、決心しちゃったんだよね」
急に何かがこみ上げて声が出なくなった。
「いいじゃん、小説。たかが小説、されど小説。
小説だって奇跡のひとつぐらい、誰かの心に起こすかもしれないよ」
本津賀会長が笑う。
「どうじゃ、あんたとわしの夢はまだまだ続いてゆくんだで」
私は不覚にも息子の前で涙をこぼしていた。
雪がやみ、窓一面から目眩い光がこぼれてくる
すでに7億の選挙資金があるなどと言ったら、おかしな動揺をきたして、合格確実の判定を続けている東大入試に落ちてしまっては本末転倒だと考えたのだ。
しかし、そのことは隠せても、私の不自然ににやけた顔は家族に気付かれてしまう。
その日曜の夜は、私がリビングのソフアで新聞を読んでる横で翔也も優菜もそれぞれの雑誌を読んでいた。
「やだ、お父さん、何ニヤニヤしてんの」
新聞から目をあげてボーっとしているところを優菜に指摘された。
「えっ、そうか」
「そうだよ、キモイよ」
「ごめんこめん、ちょっと頭の中で将来のこと考えてたんだ」
「あ、もしかして、私のウェディングドレG.樂激情震動避妊袋 ス姿?
早すぎだって、あたし、まだ高校一年だよ。早すぎ」
「そういえば、優菜は幼稚園の頃、お父さんのお嫁さんなるって言ってたなあ」
私がからかうと、優菜はムッとしてキッチンに駆け込み、奥で「お母さん、お父さんがイジめるう」と言ってる。
「ばっかみたい」
翔也がつまらなさそうに言う。
テーブルの週刊誌をぱらぱらとめくる翔也に、私は言ってみる。
「気分転換なら、丁度、今、人気のドラマやってるみたいだぞ」
「いいよ、そういうの、つまらないんだよね」
「どうだ、受験の方は?」
「別に、予定通りだよ。もういくつやっても、本番も模試も変わりない。
僕の受験道は完成した」
「お前はたいしたやつだよ」
「父さんさ」
急に言われて、翔也を見つめた。
翔也がいつになく笑顔なのは、私の顔がにやけていたせいだろう。
「うん?」
「やっぱ、いいや」
翔也がテーブルに置いてあったクッキーをつかんで、自分の部屋に戻る後ろ姿に、私は、そっとつぶやく。
(総理大臣になれよ)
ついに翔也の入試が今日終わる。
私は夕食に間に合わせるため、いつもより早めに仕事を切り上げて家に帰った。
今日は受験をねぎらう夕食の席で、政治 G蛋白偉哥片 団体の口座残高を見せるつもりで用意してある。
私が一番最後にテーブルにつくと、宏美が言う。
「今日は翔也のご苦労さま会だから、翔也の好きなヒレカツなの」
「うん、うまそうだな。NEWFATBURNERS(超級脂
翔也の受験が終わったということは合格したみたいなもんだ、まずは乾杯」
私と宏美はビール、優菜がオレンジ色の炭酸、翔也がミネラルウォーターを手に乾杯を交わした。パチパチと拍手で区切り、食事に移る。
「いただきます」
「いただきまあす」
ヒレカツを口に運びながら私が言う。
「今日は、父さん、ちょっと発表があるんだ」
すると翔也も
「僕も発表がある」
「そうか、じゃあ、翔也からしろよ」
翔也は箸を置くと、何枚もの紙をまとめてテーブルの上に広げた。
「東大入試だけど、予備校の模範解答と合わせてみたら、正解率98.7パーセントだった」
「すっごーい」
宏美と優菜の声 ペニス増大 が揃い、拍手が起きる。
「えらいな、どれどれ見せてみろ」
私は赤ペンで採点されてる用紙を手に取って眺めた。
「ほおー、丸ばかり……」
私の目が釘付けになった。
そこには受験番号の欄と名前の欄が鉛筆で埋められてる。
数瞬、何がおかしいのか理解できなかった。
「これは、これは、どういうことだ?
お前の名前が書いてある、この入試問題は?」
「あ、気付いた?
へへ、これ、本物だよ」
急にめまいがした。
「お兄ちゃん、本物って、どういうこと?」
「つまり、ささーと答えを書いて、そのまま持って出たんだよね、全教科」
震えがきた。
それはつまり答案を提出してないということだ。
それはつまり不合格ということだ。
それはつまり……、
私は思わずテーブルを拳で叩いた。
「全てぶちこわしじゃないか?」
「まあ、冷静に、冷静に」
翔也は悪びれもせずに言う。
「お前あ、何を考えてるはあっさりしています NEW SUPER 「これは受験道に対する、僕なりの美しい到達点なんだよね」
「ふざけるな!」
「イチローって野球選手じゃないんだよね。
剣術家が剣の道を究めるように、彼は野球の道を究めてるわけ。
じゃなきゃ、あんな弱いチームでやってられないでしょ。
あらゆる投球から体の反応だけで美しいヒットを打つことが彼の剣の道なんだよ。
僕も受験を究めるということで、全ての教科を規定の半分以下の時間で書き上げ、この正解率に到達したんだよ」
「くだらん、お前、自分のしたことがわかってるのか?」
「普通、わかるでしょ」
「お前はみんなに将来、総理大臣になるって言ったじゃないか」
「それは言ったことあるけど、昔だよ。
優菜に、お父さんのお嫁になるって言ったぞって、いいがかりつけるのと同じだ」
「昔じゃない、高校3年になってからも言ったぞ」
「だから高校がもう昔なMaxMan(MMCII代) の。
進路に変更はつきものでしょ」
そこで私は政治団体の口座残高をテーブルに叩きつけてやる。
「これを見てみろ」
「何?」
「みんながお前に期待してるんだ、その証しだ」
「口座残高?
げっ、7億?」
「7億ーッ」
宏美が「ちょっちょっと、どうしたの?」と聞くが、ここは無視だ。
「お前が総理大臣になるっていうから、山陰の本津賀って大物がポンと出してくれたんだ。
わかってるのか、その期待を?高校3年のお前に選挙費用7億だぞ」
「バッカじゃないの」
鈍い打撃音、私は反射的に翔也を殴っていた。
翔也は頬を押さえて、私を睨んだ。
いや、哀れむような色も混EW SUPER FAT BURNINGじっていたかもしれない。
大きな音を立てて、翔也はドアから出て行った。
「あなた、どういうことなの?」
私は真っ白な頭に思考を無理やり流し込んでやる。
「うむ、説明する。
私立受験はもうできないのか?」
私は翔也に滑り止めなどいらないだろうと言ってた。
「今からじゃ、いいところはないわよ、だから私が言ったでしょ」
「あいつは確信犯なんだ、受けてても意味ないさ」
しかし、頭の中は再び真っ白になってゆく。
私の壮大な夢を、能力は十分足りているはずの翔也が踏みににじってゆくというのか?
FAT BURNING んだ?」
宏美は自殺まで心配して、警察に届けた方がいいと言ったが、私は不要だと答えた。
殴られて萎むようなしおらしい人間なら、受験の答案を出さずに帰るなどという大胆な犯罪を起こす筈がない。そう、これは犯罪なのだ。
それにやつの頭の回転はこちらよりずっと上なのだ、殴られることも想定内で、訳のわからないことをする大馬鹿者だ。
そう言ったものの、私は暗い町を駆け巡って翔也の姿を探し続けた。
Fのことが脳裏をかすめたからだ。
やつも頭の回転は抜群N NEWFATBURNERS 、私の意表を突いて事を起こした。まさか翔也に限って、そんなこと。
まもなく翔也の居所がわかった。
同級生に電話してあたるうちに、(ああ、来てますよ)と返事があったのだ。
私はホッとして帰宅した。
§5
その電話が入ったのは、出社して2時間ほどした時だった。
「市岡様、お久しぶりでございます」
「ああ、伴野さん、その節はお世話になりました。
本津賀会長はお元気ですか?」
「はい、おかげさまで、元気になさってます。
これも市岡様の夢を聞いて、生きる張り合いが出たのかと」
私は青くなった。
その会長が、もし翔也が東大受験をボイコットしたと知ったらどうなるだろう。
「いや、それは」
私が言いよどんでいると、伴野秘書が用件を伝える。
「実は、今日、お電話いたしましたのは他でもありません。
会長が急に会いたいと申されまして、お忙しいとは思いますが」
「そうですか、しかし、今日はちょっと仕事が詰まってまして」
「では明日いらしてください、チケットは都内からバイク便で今夜届くように手配いたします」
「わかりました」(超級脂肪燃焼弾)
私は受話器を置きながら覚悟した。
行けば必ず翔也がどうしているか必ず尋ねられるだろう、そうなったら正直に話すしかない。
夢の実現性に重大な障害が生じた以上、あの金は返すしかない。
それが筋だろう。
それを聞いて会長がふさぎこむかもしれないが、なんでもないふりをして騙すのは正義に反する。
いや、その辺はまず伴野秘書に話してみよう。
金は返してもらうが、会長には嘘をついてほしいと頼まれるかもしれない。
私は暗澹たる思いに浸った。
せっかく手に入れた大金だが、仕方ない。
こうなると、翔也のことでなく、別な夢で、たとえばインカの遺跡を撮影旅行したいという夢で応募しておけばよかったか。
そんなことを考えて、私は自分の発想を笑った。
息子を総理大臣にしたい妖JI催情粉 という話だからこそ、本津賀会長は買う気になったのだ。
私は大きく溜め息を吐いた。
飛行機を降りると雪が降り出した。
リムジンの中で、私は伴野秘書には全てを話した。
「そんなに思いつめないで下さい。
会長は度量の大きい方ですから、返せとは仰らないです」
しかし、伴野秘書の言葉に納得できるわけがない。
「それでは私の気持ちが収まらないんです。
それに会長に息子のことを聞かれたらどう答えたらいいんです?」
「心配なさらないでください」
「お願いします、私は嘘をつくのも、会長に心労をかけるのも避けたいんです。
伴野さんからうまく伝えてい超級肪燃焼弾ただけませんか」
私にできることは伴野秘書にすがるだけだ。
本津賀の大きな屋敷にも雪が降り積もっている。
旧首相官邸そっくりの階段を上がり、廊下を抜けて部屋に入ると、本津賀会長が嬉しそうに手を差し出した。
「久しぶりですな」
「またお目にかかれて光栄です」
「少し顔色が冴えないようですな」
「あ、ええ、ちょっと飛行機が揺れまして」
会長はちらっと窓に目をやり、
「市岡さんの田舎とこっちでは雪はどうです?」
「雪の量は、やはり私Motivat
田舎が上のようです」
私はようやく少し微笑を浮かべた。
「市岡さんの息子さんですが」
私はハッとして、ちらりと伴野秘書を見やった。
すると伴野秘書が言う。
「会長、市岡様様は、息子さんが東大受験に答案を提出しないでボイコットしたことで、ずいぶん心を痛めておられます」
私は焦った、そんな言い方では会長にショックを与えてしまうじゃないか。
木津賀会長はただ目を閉じて聞いている。
「それで、息子を総理大臣にする夢の実現性がなくなったから、お金を返そうと仰られて、まったく正直な方です」
すると木津賀会長は目を開いて笑った。
「ハハハッ、本当に気持ちのよい方ですな。
あれは夢を聞いた代価ですv、夢が実現するかまでは条件にしてません。
どうしても邪魔なら、どこかに寄付されれば済むことじゃ」
私はどう答えてよいか言葉が浮かばなかった。
しかし、木津賀会長Motivator 女性の激情 は微笑すら浮かべていた。
「市岡さん、息子を総理大臣にするというあんたの夢、そして私の夢は壊れたのかもしれまませんな。
夢がすべて叶うわけではない、そんなことはあなただってよくご存知でしょうが」
「会長にあれほどの援助をいただいたのに、申し訳ないのです」
「しかし、あなたと私の夢は、まだ終わってないようじゃ」
木津賀会長が目配せをすると、次の間のドアが開いた。
私が振り向くと、翔也が照れくさそうに入ってきた。
「翔也、なぜここに?」
木津賀会長が答える。
「昨日の朝、一番の便で、東京から飛んで来ての」
私は翔也に問いかける。
「どうしてここがわかったんだ」
「本津賀さんて言えば保守党で有名だよ、すぐ調べがつくさ」
本津賀会長が笑う。
「翔也さんは私に受験をボイコットしたことを詫びてくれましてな。
そして、総理大臣にはなりたくないから金は返すと」
「そうですか、会長、愚かな息子を許してください」
私は頭を下げた。MaxWomanSex 「いやいや、それがまだ続きがあるんだで、さ、翔也君」
翔也は、私のすぐ前に歩み寄って言った。
「俺ね、冬休みに、子供の時のノート探して、物置をひっかきまわしてたんだよね。
そしたら、父さんの書いた小説がさ、出てきたんだ」
私は「あ」と息を洩らした。
「なんか、最初はSFだったり、おとぎ話風だったりなのね。
だけどしまいに大上段に振りかぶって、ああだこうだって説教が入って、なんかもうダサダサなんだな、これが」
私は赤面する。
「けど、少し我慢して何篇も読んでるとね、なんか心が落ち着いてきて、楽しいの。
あれえ、親父ってけっこうジャブだけのボクサーのふりして、実は空手の七年殺しぃみたいな、ちょっとした文章の魔術師じゃないのって、すげー感心したんだ。
父さんは親友が死んで小説やめちゃったみたいだけど、それっておかしくない?
医者がたまたま患者が一人死ん 夜巴黎 だからって、医者やめないでしょ、普通」
「あ、あのな」
私が反論しようとして言葉を捜すうちに、翔也が続ける。
「こんなに面白いのにもったいないでしょ。
だからさ、俺、そん時に、政治家はもうやめて、親父の夢継いで小説家目指したるって、決心しちゃったんだよね」
急に何かがこみ上げて声が出なくなった。
「いいじゃん、小説。たかが小説、されど小説。
小説だって奇跡のひとつぐらい、誰かの心に起こすかもしれないよ」
本津賀会長が笑う。
「どうじゃ、あんたとわしの夢はまだまだ続いてゆくんだで」
私は不覚にも息子の前で涙をこぼしていた。
雪がやみ、窓一面から目眩い光がこぼれてくる
[短編小説] 自首
1
警察署の正面玄関。夜の八時をまわり、立哨する警官もなくひっそりとしている。
鷹木はドアを開けると、カウンターで隔てられた中を見回した。
数人の警官が何やら机に向かっている。野生虫草丸 そのうちのニ十代後半の一人がこちらを見てゆっくりと立ち上がった。
「どうしました?」
「その、自首をしたくて」
自首という言葉で、他の席の警官も一気に立ち上がった。ここで気が変わりでもしたら追いかけようということなのか。
鷹木は笑みを噛み殺しながら言う。
「三課の牛場刑事を指名できますか?」
そう言ってしまって、指名じゃキャバクラみたいかとまた笑みが浮かびそうになる。
牛場刑事は以前逮捕された時にいろいろ話を聞いてくれた刑事で、その後も葉書をくれ、出所時にも世話になった。
「とにかく、そっちへまわってくれますか。」
警官はやはり鷹木の気が変わらないか警戒してるような目つきで言った。
すぐに三十歳そこそこの刑事が降りてくると、取調べ室に入れられ、椅子に座らせられた。
「牛場刑事はまもなく来る」
「ありがとうございます、前に牛場さん 野茶果 にお世話になった鷹木です。
失礼ですが、お名前は?」
「湯木沢だ。
三課でいいんだな?」
つまり自白したい事件は盗犯だなという確認だろう。
「はい」
まもなくドアが開いて、鷹木より四つ年上の四十ニ歳の牛場刑事が入ってきた。しかし、髪に白髪が混じり見た目は五十近い。中肉中背の鷹木よりも腹が出ているが、肥満というほどではない。
「なんだよ、呼び止められて来たら、お前、鷹木か。
もうこういうところで会わない約束じゃなかったか?」
牛場刑事が言うと鷹木は頭を下げた。
「すみません」 蟻力神 牛場がスチール机の向かいに座ると同時に、湯木沢刑事も脇の長机に向かって着席した。
「まったくだ。
ま、やっちまったものは仕方ない、自分から出頭した分進歩したととるか。」
「すみません」
牛場刑事は、そこからゆっくりとした調子になって聞く。
「その後、どうだ、手かがりは掴めたか?」
「ああ、ないですね」
「俺もお前の母親のこと、気にはかけてるんだがな」
牛場刑事は残念そうに呟いた。
「ありがとうございます。
実は、シバさん」
そこで、鷹木は牛場刑事を通称で呼んだ。
「俺にも、血を分夜來香 けた家族みたいなものがいるんですよ」
牛場刑事は目を斜めに動かした。
「うん?他に兄弟でもいたか?」
「いえ、そうじゃないんですが。
こんな俺が家族みたいなものじゃ、あっちも迷惑するだろうから、ここでびしっと足を洗う決心をしたんです」
「ほおー」
牛場刑事の頬に微笑が浮かぶと、鷹木はその「血を分けた家族みたいなもの」との出会いを告白を始めたのだった。
2
侵入して十数分、獲物は主寝室の黒いタンスの中から唐突に現れた。
引き出しを下から順に開けてゆくと、上から二段目の中に、小さなジュエリーボックスがいくつも入ってる。
試しにひとつを取り出し、小さな引き出しをスライドさせると、大粒のルビーやエメラルドのヘッドをつけたネックレスがぞろぞろと出てきた。
アタッシュケースの容量を考えたら、全部は無理だな。
鷹木は黒いベルベットの大きな布を広げると、上物だけをチョイスして並べる。
次のジュエリーケースは指輪だ。ネックレスを並べた部分の上に布を折り、その上に今度は上物の指輪を少し間をあけて置いてゆく。
次のジュエリーケースは腕時計だ。
欲張ってはいけないぞ。
自分に言い聞かせながらも、高級時計を並べる顔はほころんでいる。
と、その時だ。
何かのスイッチの音がした。いや、少し離れたところで車のドアをそっと開ける音だ。
この稼業をしてる者は音には敏感だ。
警察か?v永春強精丸
違うかもしれないが、躊躇なく撤退にかかる。
鷹木は素早く布をたたむと、アタッシュの底板の裏にしまった。
それから足音を立てぬように階段をおりると、死角の多い側のサッシに腰をつけると、素早く短靴の踵を覆っていた胴だけのソックスをふくらはぎにしまい、覆面を内ポケットにしまい、予定通り、塀に飛びつき隣家の敷地にいったん降り、さらに奥の家へつながるフェンスに登り、向こう側に降りる。
そこは安っぽいアパートの通路だ。
鷹木は手袋をここで取り、スーツの左右のポケットにしまいながら、弱い近視のメガネを押さえて、道への出口で両脇に注意を配った。
いかん、道の右側四十メーター先に刑事らしき背広姿だ。
これ以上間隔を詰められたらまずい。ここで潜むのは危険だ。
鷹木は覚悟を決めて、道に出て左へ折れる。
刑事が急に道に現れた自分をどの時点で見つけるか。
1秒、2秒、3、4、
「あ、君、ちょっと。」
かなり後ろで声がする。
こっちはダッシュして、一旦、右折。
や、ヤバッ。v易貼清毒足貼?5感浸透療 印
前方五十メーターにも刑事らしき背広姿。
鷹木はすぐに左側のマンションに入り、そこは塀を飛びついて、隣の敷地へ。
こうなると塀を使ってハードル競走をしているようなものだ。
いくつかハードルをまたいだ鷹木はワンルームマンションの庭に入ると、手袋をつけて一番奥の部屋の手すりを越えた。但し、まだつま先立ちだ、そのまま踵にソックスのカバーをおろす。
中は暗く、気配がない。誰もいないようだ。
ようし、夕方までここで時間をつぶそう。
鷹木はガラスを切る特殊カッターを取り出そうとして苦笑した。
無用心だな、おかげでこっちは楽だが。
サッシがロックされてないのだ。
鷹木はそっとサッシを開き、靴先の砂を落として室内に入りカーテンを閉じた。
3
鷹木は小さなテーブルにひじをついて蟻力神カブセル(鉄缶装) 、室内の壁に貼られた写真や、角に吊るされた千羽鶴や、ベッドに並ぶぬいぐるみを眺め、住人は女子大生だなと考えた。
次の瞬間、ベッドの熊のぬいぐるみがぴょこんと動いて、鷹木は焦った。
続く瞬間、若い娘の声が響く。
「おじさん、私の足長おじさんでしょ?」
ベッドからパジャマ姿の女が降りてきた。
鷹木は唖然とした。
明らかな侵入者である自分に対して、おじさんと親しげに笑顔で語りかけてくる女。
鷹木は暴力は使わない主義だし、脅すための凶器も持ってない。
だからこそ、そういう場面に出くわさないように細心の注意を払い、侵入時には覆面をしている。しかし、今は絶対無人だと決めつけて、覆面をしてなかった。
うかつだった。
だが、もしかしたら、頭の 憂立淨 当、弱い女かもしれない。
鷹木は手で鼻と口を覆い、二十歳すぎに見える女の出方を観察した。
「ちょうど、足長おじさんの夢を見てたの。だから、すぐにそうだってわかったわ。」
鷹木としては答えようもない。
「おじさんのおかげで私、こんなに元気になれたんですよ。
ありがとうございました。」
女はペコリと頭を下げた。
顔を上げると、鷹木を見る目が潤んでいる。
鷹木は、こいつは本物のバカかもしれないと思いつつ、ここはヘタに否定しない方が騒がれないと踏んだ。
「いや、たいしたことしてない。」
「ううん、おじさんは私の命の恩人だから、本当にありがとうございました。」
女はもう一度お辞儀して、思い出したように、
「お名前は、高田さんですか?」
「いや、鷹木……、」
鷹木はうっかり言いかけた。タカという音だけでも合っていたのはすごいと思ってしまったのだ。
「夢の中ではそんな感じだったので、そうか、タカギさんかあ。
私は鞍川詩織です。」
鷹木は千羽鶴にちらりと視線を投げかけた。
「鞍川さん、病気は大変だったみたいだね?」
詩織は「ええ、ほん度偉姐 欲火情
とに」と微笑んで言った。
「何度もくじけそうでした。死んだ方が楽かと何度も思いました。
だけど、タカギさんの骨髄のおかげで命を拾いました。
こうして、一人で下宿もして、少しずつ普通の生活になれて、毎日たいした痛みもなく呼吸できるだけでも嬉しくて嬉しくて。
ぽかぽかのお陽さまを浴びて、そよ風を感じて、お散歩するだけでも幸せで幸せで。
みんな、タカギさんのおかげですよ。」
鷹木は詩織の言葉に、気になることがあった。
「そんなことないよ、君が頑張ったんだよ。
手術はいつ頃?」
「一年半前の五月です」
その答えは鷹木を驚かせた。
「ほんとに?」
「ええ、あ、今、何か淹れますね、コーヒー、お茶、紅茶、ココア、何がいいですか?」
「じゃあ、コーヒーを。」
「砂糖とクリームは?」
「うん、両方抜きで。」
詩織は立ち上がって、小さなキッチンでお湯を沸かし始めた。
鷹木はそっと靴を脱いでアタッシュの上に置き、立ち上がって、壁に貼られている応援の手紙らしいものをざっと眺めた。
「この壁の手紙は?」
詩織はドアの向こうから首v旗人減肥套盒 だけ出して、
「うん、高校の時のクラスメートとかから貰った手紙、私の宝物ですね。」
すぐ、またキッチンに引っ込んだ。
鷹木は悪いと思ったが机の引き出しをそっと引いて、中から手帳を見つけて、プロフィールページを覗いた。
名前鞍川詩織 年齢19歳 誕生日10月15日 天秤座 血液型O型 身長159cm 体重 kg
鷹木はホッとした。
実は鷹木は骨髄ドナーに登録していたのだ。
鷹木は幼い頃に父親と弟を交通事故で亡くし、それから2年後、母親に捨てられ、施設に預けられて育った。だから鷹木は自分の中に流れている血こそが母親につながる唯一の手ががりのように感じて、それでドナー登録を早い時期にに行っていたのだ。もちろん、それで本当の母親に会える確率など、大海から自分の吐いた唾を探すようなものだということは、十分わかってはいたのだが。
そして1年半前の五月、適合者がいるのでと連絡を受けた時は、ほぼあり得ないと思いつつも、一瞬、心がときめいた。Yohimbinum ) シ
担当した医師からは、基本的に移植希望者の情報は教えられないが、年齢からしてあなたの母親ではないのは確かだと告げられて採取を受けたのだった。
その後、移植を受けた者からの手紙が骨髄バンク経由で二度、届いた。しかし、規則で相手方も名前や病院名等の個人情報に関わる内容は書かないと決められているので、それはただ感謝の言葉が何度も繰り返されているだけの文面であった。ただ手紙の字はどうみても少女の手によるものだった。
鷹木には、そういう過去があったので、もしかしたら、その時、骨髄を提供した相手の部屋に、偶然、今、忍び込んでしまったのかと思いついたのだが、詩織の血液型はO型で、鷹木のB型と違っていた。
そうわかると、鷹木は少しだけ落胆している自分に気付いて苦笑した。
それにしても、突然、上がりこんでる自分に対して、詩織は少しもおかしいと思わないのだろうか。おかしいと思わないとしたら、おそらく夢の中でやりとりがあって、現実と連続しているのかもしれない。
しかし、夢と現実が連続していると思うこと自体がおかしい。それはどういうことが惹き起こしているのだろう?
例えば、高熱などで意識が朦朧として、混濁している……、
4
その時、キッチンでドスッと音がした。
鷹木はドアを開けると、シアリス Cia コーヒーのドリッパーを手にしたまま倒れている詩織を見つけた。床には豆が散乱している。
やっかいなことになったぞ。
鷹木はそのまま詩織をひきずるように室内に入れて、額に手をやり、かなりの熱があるのを確かめると、ベッドの枕を頭にあてがい毛布をかけてやった。
「おい、大丈夫か?」
声をかけても返事はない。今度は名前を呼んでみる。
「詩織ちゃん、大丈夫か?」
しかし、返事はない。
できれば放り出したいところだが、どうやら重い持病のある娘となれば、盗人にも五分の魂がある。
鷹木は詩織のかかりつけの病院を知ろうと、薬の袋か診察券を探した。
すぐに冷蔵庫の上のかごに薬袋がまとまってるのを見つけた。
それから、バッグの中から学生証を見つけ出した。
どうやら、今は21歳らしい。住所がはっきりした。
鷹木はベッドの脇にある電話蟻王 で、薬袋の病院に電話をかけた。
《もしもし、今ですね、お宅の患者の鞍川詩織が急に倒れまして、担当医の方にアドバイスをいただきたいんだが》
《お名前をもう一度いただけますか?》
《名前が、鞍川、詩織です》
まもなく担当医が電話に出た。
《恐れ入ります、そこは学校ですか?》
《自分の部屋です、コーヒーを淹れてて、急に倒れたんです。》
《意識はありますか?》
《呼んでも答えvないんです》
《熱はどうです アロエ排毒養顔カプセル ?》
《かなりあるみたいです》
《呼吸は苦しそうですか?》
《ええと》
鷹木は詩織の胸がゆっくりと上下しているのを見た。
《呼吸は落ち着いてますね》
《顔色はどうでアロエ排毒養顔カプセル す?》
《うーん、少し赤いですかね》
《わかりました、彼女には特殊な持病がありますので、他の病院に行くよりも、当病院に来ていただいた方がいいと思います、申し訳ないですが、お願いします》
《わかりました、あのタクシーでもいいですか?》
鷹木がそう聞いたのは、救急車だと記録が残りそうで嫌だったからだ。
《ええ、タクシーでもかまいません、よろしくお願いします》
《わかりました》
待てよ、結局、タクシーも呼んだら記録が残るか。
鷹木は呟いて苦笑しながら、携帯で近くのタクシー会社の電話番号を調べた。
まもなくタクシーが到着したらしく、クラクションが鳴った。
鷹木はサスペンダーでアタッシュを背中にぶらさげ、パジャマの上にジャンパーを羽織らせた詩織を抱き上げると、廊下に出た。
すると、あろうことか、廊下で制服警官二人が部屋の住人と話をしてる。
ち、ついてない。
まあ、制服ならまず俺の顔は知らないだろう。
鷹木は覚悟を決めて詩織を抱いたまま、歩き出した。
警官はちらりとこちらを見た。
胸の鼓動が急激に高まる。
警官を通り越して、鷹木は出入り口のガラス扉に向かって早足で進んだ。
すると、警官らしい足音が鷹木を追いかけて来る。
気付かれたのか?
胸の鼓動は異常ALOEVERA (ALOEVERA に高まった。
次の瞬間、警官は鷹木を追い越すと、出入り口の扉を開いて鷹木にうなづいた。
そうか、自動ドアでなかったので、気を利かしてくれたのだ。
おかげで寿命が十五分ぐらい縮まったぞ。
鷹木は「どうも」と警官に言って、外で待っているタクシーに乗り込んだ。
5
鷹木はタクシーが来たところまで話すと、喉が渇いてしまった。
「すみません、水をもらえますか」
そう言うと、湯木沢刑事が立ってドアを開けて声をかけ、まもなく制服の警官がみっつの湯飲みを持ってきた。
「すまんな」と牛場刑事は礼を言ったが、口はつけない。
「ありがとうございます」
鷹木は番茶をすすると話を再開した。
「私はタクシーの中で眠るように自分に寄りかかっている詩織を眺めながら、愛しい感情が湧いて来ることに驚きました。
赤の他人である。何の関JELIMELスリミング カプセル わりもない、ニ十近くも歳が違う娘です。
しかし、普通に生きるという、一般人からしたらなんでもない低い目標のために、精一杯戦ってきたであろう勇敢な娘なんです。
そして、苦しみの果てに勝ち取った、息をする幸せ、散歩する幸せをかみしめる娘です。
私は、今まで自分など死んでもいいと思ったことは幾度もありました」
鷹木は牛場刑事を見つめた。
「しかし、生きたいという気持ちに正面から取り組んだことなど一度もありませんでした。
だから、素直に感動したんですよ。
偉い娘だなという尊敬と、この娘のために何かしてやりたい、という気持ちが湧いてきました。
もちろん、よこしまな下心などありませんよ。
私は医者に会ったら自分にできることを聞いてみようと考えました」
牛場刑事はこめかみを指で掻いて平坦な口調で言った。
「そこで、お前は、偶然に出会ったその娘を自分の家族と思うことにしたわけだ」
牛場刑事が勝手に納得すると、鷹木は「いや」と言い返した。
「偶然じゃないんですよ」
「では、どういうことだ?」
「きっと私と詩織は磁石のように引き合ったんですよ」
「しかし、お前と血液型は違ったんだろう?」
牛場刑事は腕組みをした。
そこで鷹木は大きくうなづいて続けた。
「ええ、病院で詩織はいろいろ検査されたようですが、そこで意識を回復して私をおじさんはどこ?と探したようです。そのためか私は、主治医からも叔父と思われて診察室に通されたのです。
医師は私に言いました。
『危惧するようなGVHD由来の炎症ではありませんでした。』
『はあ、それじゃあ大丈夫ですね?』
『今は落ち着いてきました。念のため、このまましばらく経過を見ますが』
そこで私は何気なく聞きました。
『詩織の骨髄提供者はどこの誰なんです?』
『いやあ、ドナーの個人情報は骨髄パンクが管理していて、私どもは医学的なデータ以外は関知しないんです。』
『そうですか、たしか一年半前の五月で、相手はO型ですよね?』
私は詩織の話と手帳を思い出しながら言いました。
『ええと、相手はたしか、ABO型は、』
医師はカルテをひっv アジスロマイシン くり返して言いました。
『B型の36歳の男性ですね』
『エッ!』
私はびっくりしました。
B型の36歳なら、まるで私です。
医師は笑って言いました。
『ああ、一般の方は誤解されてるんですよ、骨髄移植の場合は赤血球のABO型ではなくて、白血球のHLA型で適合を判定するんです。』
『それではまずいんじゃ?』
『もちろん、B型血をO型の人に輸血してはまずいんですが、移植の場合、自分の血液が病気でだめだから全部殺して、ドナーの血液に入れ替えるのだと思ってください。正確に言うと頭の中等は自分の血液型がずっと残りますが、骨髄で作られ循環する血液はすっかりドナーのABO型に入れ替わります。詩織さんの場合なら、もう少しすると、この36歳の男性のB型にすっかり変化してゆきます』
医師の言葉に、私は不思議な感動に震えました。
『では、一年半前、ドナーになったB型の36歳男性は何人ぐらいいますかね?』
医師は面白いクイズでも解D8II (媚薬)? くように言った。
『B型の確率が0.22ぐらいかな、提供者の年齢が18歳~55歳とすれば、36歳である可能性は37分の一の0.027、男性だから単純に半分0.0135、それでもって一年半前の5月にどれぐらいの骨髄移植があるか、おそらく日本全国で10件もないでしょうし、そもそもHLA型の適合する確率をかけなきゃならない、これが大きくて500分の一から数万分の一です。
ということは、面倒な計算をするまでもなく一人ですよ』
『つまり一年半前、ドナーになったB型の36歳男性は一人だけだろうと?』
『ええ、そう思います』
私はいよいよ感動に胸を熱くしてしまいました。
『実は私、一年半前に骨髄を提供したんですよ、それは詩織の命を助けたんですね?』
『本当ですか?
すごいな、兄弟なら確率は四分の一ですが、親子でも他人並みにガクッと適合の確率が落ちてしまうんです。ですから、奇蹟的な確率です』
『そうなんですか』
『ええ、たしかに詩織ちゃんはあなたの骨髄のおかげで助かったんですよ。その後もとても順調にきてます。私からも、ありがとうと言わせて下さい』
医師は嬉しそうに言った。
『私でも、私の血でも、役に立ったんですね』
私はそこで涙をぼろぼろと、こぼし……」
鷹木は言いながら思い出したらしく、頬を伝う涙を手で拭いた。
牛場刑事も目頭を押さえた。
「母親に捨てられ、それ以外にこの世との繋がりなどないと思っていた私の血が、見知らぬ娘を救い、その娘の体の中を満たし元気にしていAzithromycinるんですよ。
それがどんなに嬉しいことか、他人には決して想像もできないでしょう。
そればかりか、私と同じ血液型になると言うんですよ。
詩織は、私にとって、同じ血が流れている、家族のようなものなんです。
そうとわかったら、詩織のためにも盗人稼業なんかしてられません。
だから自首しに来たんです」
牛場刑事は大きく何度かうなづくと、笑って言った。
「じゃあ、鷹木よ、お前の人生最後の取調べを始めようじゃねえか。」
1
警察署の正面玄関。夜の八時をまわり、立哨する警官もなくひっそりとしている。
鷹木はドアを開けると、カウンターで隔てられた中を見回した。
数人の警官が何やら机に向かっている。野生虫草丸 そのうちのニ十代後半の一人がこちらを見てゆっくりと立ち上がった。
「どうしました?」
「その、自首をしたくて」
自首という言葉で、他の席の警官も一気に立ち上がった。ここで気が変わりでもしたら追いかけようということなのか。
鷹木は笑みを噛み殺しながら言う。
「三課の牛場刑事を指名できますか?」
そう言ってしまって、指名じゃキャバクラみたいかとまた笑みが浮かびそうになる。
牛場刑事は以前逮捕された時にいろいろ話を聞いてくれた刑事で、その後も葉書をくれ、出所時にも世話になった。
「とにかく、そっちへまわってくれますか。」
警官はやはり鷹木の気が変わらないか警戒してるような目つきで言った。
すぐに三十歳そこそこの刑事が降りてくると、取調べ室に入れられ、椅子に座らせられた。
「牛場刑事はまもなく来る」
「ありがとうございます、前に牛場さん 野茶果 にお世話になった鷹木です。
失礼ですが、お名前は?」
「湯木沢だ。
三課でいいんだな?」
つまり自白したい事件は盗犯だなという確認だろう。
「はい」
まもなくドアが開いて、鷹木より四つ年上の四十ニ歳の牛場刑事が入ってきた。しかし、髪に白髪が混じり見た目は五十近い。中肉中背の鷹木よりも腹が出ているが、肥満というほどではない。
「なんだよ、呼び止められて来たら、お前、鷹木か。
もうこういうところで会わない約束じゃなかったか?」
牛場刑事が言うと鷹木は頭を下げた。
「すみません」 蟻力神 牛場がスチール机の向かいに座ると同時に、湯木沢刑事も脇の長机に向かって着席した。
「まったくだ。
ま、やっちまったものは仕方ない、自分から出頭した分進歩したととるか。」
「すみません」
牛場刑事は、そこからゆっくりとした調子になって聞く。
「その後、どうだ、手かがりは掴めたか?」
「ああ、ないですね」
「俺もお前の母親のこと、気にはかけてるんだがな」
牛場刑事は残念そうに呟いた。
「ありがとうございます。
実は、シバさん」
そこで、鷹木は牛場刑事を通称で呼んだ。
「俺にも、血を分夜來香 けた家族みたいなものがいるんですよ」
牛場刑事は目を斜めに動かした。
「うん?他に兄弟でもいたか?」
「いえ、そうじゃないんですが。
こんな俺が家族みたいなものじゃ、あっちも迷惑するだろうから、ここでびしっと足を洗う決心をしたんです」
「ほおー」
牛場刑事の頬に微笑が浮かぶと、鷹木はその「血を分けた家族みたいなもの」との出会いを告白を始めたのだった。
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侵入して十数分、獲物は主寝室の黒いタンスの中から唐突に現れた。
引き出しを下から順に開けてゆくと、上から二段目の中に、小さなジュエリーボックスがいくつも入ってる。
試しにひとつを取り出し、小さな引き出しをスライドさせると、大粒のルビーやエメラルドのヘッドをつけたネックレスがぞろぞろと出てきた。
アタッシュケースの容量を考えたら、全部は無理だな。
鷹木は黒いベルベットの大きな布を広げると、上物だけをチョイスして並べる。
次のジュエリーケースは指輪だ。ネックレスを並べた部分の上に布を折り、その上に今度は上物の指輪を少し間をあけて置いてゆく。
次のジュエリーケースは腕時計だ。
欲張ってはいけないぞ。
自分に言い聞かせながらも、高級時計を並べる顔はほころんでいる。
と、その時だ。
何かのスイッチの音がした。いや、少し離れたところで車のドアをそっと開ける音だ。
この稼業をしてる者は音には敏感だ。
警察か?v永春強精丸
違うかもしれないが、躊躇なく撤退にかかる。
鷹木は素早く布をたたむと、アタッシュの底板の裏にしまった。
それから足音を立てぬように階段をおりると、死角の多い側のサッシに腰をつけると、素早く短靴の踵を覆っていた胴だけのソックスをふくらはぎにしまい、覆面を内ポケットにしまい、予定通り、塀に飛びつき隣家の敷地にいったん降り、さらに奥の家へつながるフェンスに登り、向こう側に降りる。
そこは安っぽいアパートの通路だ。
鷹木は手袋をここで取り、スーツの左右のポケットにしまいながら、弱い近視のメガネを押さえて、道への出口で両脇に注意を配った。
いかん、道の右側四十メーター先に刑事らしき背広姿だ。
これ以上間隔を詰められたらまずい。ここで潜むのは危険だ。
鷹木は覚悟を決めて、道に出て左へ折れる。
刑事が急に道に現れた自分をどの時点で見つけるか。
1秒、2秒、3、4、
「あ、君、ちょっと。」
かなり後ろで声がする。
こっちはダッシュして、一旦、右折。
や、ヤバッ。v易貼清毒足貼?5感浸透療 印
前方五十メーターにも刑事らしき背広姿。
鷹木はすぐに左側のマンションに入り、そこは塀を飛びついて、隣の敷地へ。
こうなると塀を使ってハードル競走をしているようなものだ。
いくつかハードルをまたいだ鷹木はワンルームマンションの庭に入ると、手袋をつけて一番奥の部屋の手すりを越えた。但し、まだつま先立ちだ、そのまま踵にソックスのカバーをおろす。
中は暗く、気配がない。誰もいないようだ。
ようし、夕方までここで時間をつぶそう。
鷹木はガラスを切る特殊カッターを取り出そうとして苦笑した。
無用心だな、おかげでこっちは楽だが。
サッシがロックされてないのだ。
鷹木はそっとサッシを開き、靴先の砂を落として室内に入りカーテンを閉じた。
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鷹木は小さなテーブルにひじをついて蟻力神カブセル(鉄缶装) 、室内の壁に貼られた写真や、角に吊るされた千羽鶴や、ベッドに並ぶぬいぐるみを眺め、住人は女子大生だなと考えた。
次の瞬間、ベッドの熊のぬいぐるみがぴょこんと動いて、鷹木は焦った。
続く瞬間、若い娘の声が響く。
「おじさん、私の足長おじさんでしょ?」
ベッドからパジャマ姿の女が降りてきた。
鷹木は唖然とした。
明らかな侵入者である自分に対して、おじさんと親しげに笑顔で語りかけてくる女。
鷹木は暴力は使わない主義だし、脅すための凶器も持ってない。
だからこそ、そういう場面に出くわさないように細心の注意を払い、侵入時には覆面をしている。しかし、今は絶対無人だと決めつけて、覆面をしてなかった。
うかつだった。
だが、もしかしたら、頭の 憂立淨 当、弱い女かもしれない。
鷹木は手で鼻と口を覆い、二十歳すぎに見える女の出方を観察した。
「ちょうど、足長おじさんの夢を見てたの。だから、すぐにそうだってわかったわ。」
鷹木としては答えようもない。
「おじさんのおかげで私、こんなに元気になれたんですよ。
ありがとうございました。」
女はペコリと頭を下げた。
顔を上げると、鷹木を見る目が潤んでいる。
鷹木は、こいつは本物のバカかもしれないと思いつつ、ここはヘタに否定しない方が騒がれないと踏んだ。
「いや、たいしたことしてない。」
「ううん、おじさんは私の命の恩人だから、本当にありがとうございました。」
女はもう一度お辞儀して、思い出したように、
「お名前は、高田さんですか?」
「いや、鷹木……、」
鷹木はうっかり言いかけた。タカという音だけでも合っていたのはすごいと思ってしまったのだ。
「夢の中ではそんな感じだったので、そうか、タカギさんかあ。
私は鞍川詩織です。」
鷹木は千羽鶴にちらりと視線を投げかけた。
「鞍川さん、病気は大変だったみたいだね?」
詩織は「ええ、ほん度偉姐 欲火情
とに」と微笑んで言った。
「何度もくじけそうでした。死んだ方が楽かと何度も思いました。
だけど、タカギさんの骨髄のおかげで命を拾いました。
こうして、一人で下宿もして、少しずつ普通の生活になれて、毎日たいした痛みもなく呼吸できるだけでも嬉しくて嬉しくて。
ぽかぽかのお陽さまを浴びて、そよ風を感じて、お散歩するだけでも幸せで幸せで。
みんな、タカギさんのおかげですよ。」
鷹木は詩織の言葉に、気になることがあった。
「そんなことないよ、君が頑張ったんだよ。
手術はいつ頃?」
「一年半前の五月です」
その答えは鷹木を驚かせた。
「ほんとに?」
「ええ、あ、今、何か淹れますね、コーヒー、お茶、紅茶、ココア、何がいいですか?」
「じゃあ、コーヒーを。」
「砂糖とクリームは?」
「うん、両方抜きで。」
詩織は立ち上がって、小さなキッチンでお湯を沸かし始めた。
鷹木はそっと靴を脱いでアタッシュの上に置き、立ち上がって、壁に貼られている応援の手紙らしいものをざっと眺めた。
「この壁の手紙は?」
詩織はドアの向こうから首v旗人減肥套盒 だけ出して、
「うん、高校の時のクラスメートとかから貰った手紙、私の宝物ですね。」
すぐ、またキッチンに引っ込んだ。
鷹木は悪いと思ったが机の引き出しをそっと引いて、中から手帳を見つけて、プロフィールページを覗いた。
名前鞍川詩織 年齢19歳 誕生日10月15日 天秤座 血液型O型 身長159cm 体重 kg
鷹木はホッとした。
実は鷹木は骨髄ドナーに登録していたのだ。
鷹木は幼い頃に父親と弟を交通事故で亡くし、それから2年後、母親に捨てられ、施設に預けられて育った。だから鷹木は自分の中に流れている血こそが母親につながる唯一の手ががりのように感じて、それでドナー登録を早い時期にに行っていたのだ。もちろん、それで本当の母親に会える確率など、大海から自分の吐いた唾を探すようなものだということは、十分わかってはいたのだが。
そして1年半前の五月、適合者がいるのでと連絡を受けた時は、ほぼあり得ないと思いつつも、一瞬、心がときめいた。Yohimbinum ) シ
担当した医師からは、基本的に移植希望者の情報は教えられないが、年齢からしてあなたの母親ではないのは確かだと告げられて採取を受けたのだった。
その後、移植を受けた者からの手紙が骨髄バンク経由で二度、届いた。しかし、規則で相手方も名前や病院名等の個人情報に関わる内容は書かないと決められているので、それはただ感謝の言葉が何度も繰り返されているだけの文面であった。ただ手紙の字はどうみても少女の手によるものだった。
鷹木には、そういう過去があったので、もしかしたら、その時、骨髄を提供した相手の部屋に、偶然、今、忍び込んでしまったのかと思いついたのだが、詩織の血液型はO型で、鷹木のB型と違っていた。
そうわかると、鷹木は少しだけ落胆している自分に気付いて苦笑した。
それにしても、突然、上がりこんでる自分に対して、詩織は少しもおかしいと思わないのだろうか。おかしいと思わないとしたら、おそらく夢の中でやりとりがあって、現実と連続しているのかもしれない。
しかし、夢と現実が連続していると思うこと自体がおかしい。それはどういうことが惹き起こしているのだろう?
例えば、高熱などで意識が朦朧として、混濁している……、
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その時、キッチンでドスッと音がした。
鷹木はドアを開けると、シアリス Cia コーヒーのドリッパーを手にしたまま倒れている詩織を見つけた。床には豆が散乱している。
やっかいなことになったぞ。
鷹木はそのまま詩織をひきずるように室内に入れて、額に手をやり、かなりの熱があるのを確かめると、ベッドの枕を頭にあてがい毛布をかけてやった。
「おい、大丈夫か?」
声をかけても返事はない。今度は名前を呼んでみる。
「詩織ちゃん、大丈夫か?」
しかし、返事はない。
できれば放り出したいところだが、どうやら重い持病のある娘となれば、盗人にも五分の魂がある。
鷹木は詩織のかかりつけの病院を知ろうと、薬の袋か診察券を探した。
すぐに冷蔵庫の上のかごに薬袋がまとまってるのを見つけた。
それから、バッグの中から学生証を見つけ出した。
どうやら、今は21歳らしい。住所がはっきりした。
鷹木はベッドの脇にある電話蟻王 で、薬袋の病院に電話をかけた。
《もしもし、今ですね、お宅の患者の鞍川詩織が急に倒れまして、担当医の方にアドバイスをいただきたいんだが》
《お名前をもう一度いただけますか?》
《名前が、鞍川、詩織です》
まもなく担当医が電話に出た。
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《呼んでも答えvないんです》
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《ええと》
鷹木は詩織の胸がゆっくりと上下しているのを見た。
《呼吸は落ち着いてますね》
《顔色はどうでアロエ排毒養顔カプセル す?》
《うーん、少し赤いですかね》
《わかりました、彼女には特殊な持病がありますので、他の病院に行くよりも、当病院に来ていただいた方がいいと思います、申し訳ないですが、お願いします》
《わかりました、あのタクシーでもいいですか?》
鷹木がそう聞いたのは、救急車だと記録が残りそうで嫌だったからだ。
《ええ、タクシーでもかまいません、よろしくお願いします》
《わかりました》
待てよ、結局、タクシーも呼んだら記録が残るか。
鷹木は呟いて苦笑しながら、携帯で近くのタクシー会社の電話番号を調べた。
まもなくタクシーが到着したらしく、クラクションが鳴った。
鷹木はサスペンダーでアタッシュを背中にぶらさげ、パジャマの上にジャンパーを羽織らせた詩織を抱き上げると、廊下に出た。
すると、あろうことか、廊下で制服警官二人が部屋の住人と話をしてる。
ち、ついてない。
まあ、制服ならまず俺の顔は知らないだろう。
鷹木は覚悟を決めて詩織を抱いたまま、歩き出した。
警官はちらりとこちらを見た。
胸の鼓動が急激に高まる。
警官を通り越して、鷹木は出入り口のガラス扉に向かって早足で進んだ。
すると、警官らしい足音が鷹木を追いかけて来る。
気付かれたのか?
胸の鼓動は異常ALOEVERA (ALOEVERA に高まった。
次の瞬間、警官は鷹木を追い越すと、出入り口の扉を開いて鷹木にうなづいた。
そうか、自動ドアでなかったので、気を利かしてくれたのだ。
おかげで寿命が十五分ぐらい縮まったぞ。
鷹木は「どうも」と警官に言って、外で待っているタクシーに乗り込んだ。
5
鷹木はタクシーが来たところまで話すと、喉が渇いてしまった。
「すみません、水をもらえますか」
そう言うと、湯木沢刑事が立ってドアを開けて声をかけ、まもなく制服の警官がみっつの湯飲みを持ってきた。
「すまんな」と牛場刑事は礼を言ったが、口はつけない。
「ありがとうございます」
鷹木は番茶をすすると話を再開した。
「私はタクシーの中で眠るように自分に寄りかかっている詩織を眺めながら、愛しい感情が湧いて来ることに驚きました。
赤の他人である。何の関JELIMELスリミング カプセル わりもない、ニ十近くも歳が違う娘です。
しかし、普通に生きるという、一般人からしたらなんでもない低い目標のために、精一杯戦ってきたであろう勇敢な娘なんです。
そして、苦しみの果てに勝ち取った、息をする幸せ、散歩する幸せをかみしめる娘です。
私は、今まで自分など死んでもいいと思ったことは幾度もありました」
鷹木は牛場刑事を見つめた。
「しかし、生きたいという気持ちに正面から取り組んだことなど一度もありませんでした。
だから、素直に感動したんですよ。
偉い娘だなという尊敬と、この娘のために何かしてやりたい、という気持ちが湧いてきました。
もちろん、よこしまな下心などありませんよ。
私は医者に会ったら自分にできることを聞いてみようと考えました」
牛場刑事はこめかみを指で掻いて平坦な口調で言った。
「そこで、お前は、偶然に出会ったその娘を自分の家族と思うことにしたわけだ」
牛場刑事が勝手に納得すると、鷹木は「いや」と言い返した。
「偶然じゃないんですよ」
「では、どういうことだ?」
「きっと私と詩織は磁石のように引き合ったんですよ」
「しかし、お前と血液型は違ったんだろう?」
牛場刑事は腕組みをした。
そこで鷹木は大きくうなづいて続けた。
「ええ、病院で詩織はいろいろ検査されたようですが、そこで意識を回復して私をおじさんはどこ?と探したようです。そのためか私は、主治医からも叔父と思われて診察室に通されたのです。
医師は私に言いました。
『危惧するようなGVHD由来の炎症ではありませんでした。』
『はあ、それじゃあ大丈夫ですね?』
『今は落ち着いてきました。念のため、このまましばらく経過を見ますが』
そこで私は何気なく聞きました。
『詩織の骨髄提供者はどこの誰なんです?』
『いやあ、ドナーの個人情報は骨髄パンクが管理していて、私どもは医学的なデータ以外は関知しないんです。』
『そうですか、たしか一年半前の五月で、相手はO型ですよね?』
私は詩織の話と手帳を思い出しながら言いました。
『ええと、相手はたしか、ABO型は、』
医師はカルテをひっv アジスロマイシン くり返して言いました。
『B型の36歳の男性ですね』
『エッ!』
私はびっくりしました。
B型の36歳なら、まるで私です。
医師は笑って言いました。
『ああ、一般の方は誤解されてるんですよ、骨髄移植の場合は赤血球のABO型ではなくて、白血球のHLA型で適合を判定するんです。』
『それではまずいんじゃ?』
『もちろん、B型血をO型の人に輸血してはまずいんですが、移植の場合、自分の血液が病気でだめだから全部殺して、ドナーの血液に入れ替えるのだと思ってください。正確に言うと頭の中等は自分の血液型がずっと残りますが、骨髄で作られ循環する血液はすっかりドナーのABO型に入れ替わります。詩織さんの場合なら、もう少しすると、この36歳の男性のB型にすっかり変化してゆきます』
医師の言葉に、私は不思議な感動に震えました。
『では、一年半前、ドナーになったB型の36歳男性は何人ぐらいいますかね?』
医師は面白いクイズでも解D8II (媚薬)? くように言った。
『B型の確率が0.22ぐらいかな、提供者の年齢が18歳~55歳とすれば、36歳である可能性は37分の一の0.027、男性だから単純に半分0.0135、それでもって一年半前の5月にどれぐらいの骨髄移植があるか、おそらく日本全国で10件もないでしょうし、そもそもHLA型の適合する確率をかけなきゃならない、これが大きくて500分の一から数万分の一です。
ということは、面倒な計算をするまでもなく一人ですよ』
『つまり一年半前、ドナーになったB型の36歳男性は一人だけだろうと?』
『ええ、そう思います』
私はいよいよ感動に胸を熱くしてしまいました。
『実は私、一年半前に骨髄を提供したんですよ、それは詩織の命を助けたんですね?』
『本当ですか?
すごいな、兄弟なら確率は四分の一ですが、親子でも他人並みにガクッと適合の確率が落ちてしまうんです。ですから、奇蹟的な確率です』
『そうなんですか』
『ええ、たしかに詩織ちゃんはあなたの骨髄のおかげで助かったんですよ。その後もとても順調にきてます。私からも、ありがとうと言わせて下さい』
医師は嬉しそうに言った。
『私でも、私の血でも、役に立ったんですね』
私はそこで涙をぼろぼろと、こぼし……」
鷹木は言いながら思い出したらしく、頬を伝う涙を手で拭いた。
牛場刑事も目頭を押さえた。
「母親に捨てられ、それ以外にこの世との繋がりなどないと思っていた私の血が、見知らぬ娘を救い、その娘の体の中を満たし元気にしていAzithromycinるんですよ。
それがどんなに嬉しいことか、他人には決して想像もできないでしょう。
そればかりか、私と同じ血液型になると言うんですよ。
詩織は、私にとって、同じ血が流れている、家族のようなものなんです。
そうとわかったら、詩織のためにも盗人稼業なんかしてられません。
だから自首しに来たんです」
牛場刑事は大きく何度かうなづくと、笑って言った。
「じゃあ、鷹木よ、お前の人生最後の取調べを始めようじゃねえか。」
います 後編
います 後編
§3
夕焼け空が映り、カメラが下を向くと郊外の駅にズームインしてゆく。
通勤電車が着いて、ホームに人々の忙しい歩みが捉えられる。
ホームを歩いてゆくサラリーマン風の男に焦点が合う。
顔は顎までしか映っていない。黑豹 黒 まずまずの演出だ。この映像を作るだけでもかなり金がかかったろう。
感心している暇もなく、伴野秘書の「お願いします」という小声がかかった。
私は覚えている冒頭を話し出す。
「私は市岡政雄、生まれは新潟の豪雪地帯です。
高校までは田舎で過ごし、青稲田大学文学部を出て、現在45歳。
中堅の広告会社で企画部門に勤めています。
知り合った当時、取り引きBlack Leopard 先のデザイン会社で事務をしていた妻の宏美D8 はひとつ下の44歳です。
今は家にいて、ちょっとしたイラストの副業をしています。
長男の翔也は18歳。
大学受験が控えていますが、こういうと親バカですが、私に似ず成績が抜群なので、東大合格も間違いないです。
長女の優菜は16歳。
こちらはおっとりしてマイペース、ディズニーランドが大好きで年に何度もせがまれたのですが、最D10 近は友達と行くのでこD5 っちは楽になりました。
まあ、ごくありふれた家族と言えるかと思います。
振り返ると、なぜ文学部に進学したのか、今では自分でもわからないのですが、私は文学というものの力を異常に過信していました。
もっとも中学の頃は医者になろうと思っていたのです」
ここで映像は、病院でてきぱきと指示を出して手術を執刀している医師の姿に切り替わった。
「医者という職業のいいとこCoquettis hwidow は、人を助けるという行為が明解にわかることです。
自分が治療し、病人が治る。
この単純明解さ、しかも感謝される。
しかし、ふと思ったのです。
世の中で苦しんでいる人は、病気の者とは限らないのです。
いや、むしろ、病気より他の理由で苦しんでる数の方が多いに違いない。
そういう多種多様な苦しみを癒すには何が必要かと考えた時、私は心の持ちように働きかける文学という力に希望の光を見出したのです。
その辺が今思うと非常に短絡的なのですが、
とにかく、私は高校の頃には文学部に志望を変えていました」
映像は青稲田大学のキャンパス風景に切り替わる。
パソコンの画面に小説を打ち込む男の後ろ姿。
学生たちが教室、階段、ゼミの部屋、いろんな場所で議論をしている。
「文学部に入った私は自分の創作活動に打ち込んだり、仲間と議論をしました。
しかし、世間を唸らせる発想や、寡婦媚薬 強烈な体験があるわけでもない私の創作は、むしろ古臭いものだったように思います。それでいて、神話の力やおとぎ噺の力を取り戻そうとするアジテーションみたいでもありました。
仲間たちとの議論は、どういったハナシが受けるかとか、簡単な新人賞の取り方みたいな手前勝手なものが多かったのですが、ある時は『飢えて死ぬ子供の前で文学は無力か?』というサルトルの命題についても熱く論じ合ったのです。
結局、大学で私が得たのは、創作を通じて親交を暖めたFという友人と、四季の数と同じくらいの新人賞に落ちた回数と、実を結ばない議論の記憶の断片ぐらいだったように思います
広告会社に就職すると、就職しても書くぞという決意はあったものの、次第に執筆に向かう時間は減ってしまいました。」
映像は、夜、残業している男の姿を映し出す。表計算の数字がスクロールしてゆき、評価を打ち込む男の手元がアップになる。 D10
「就職して間もない頃、私にとって一番ショックな出来事が起きました。
大学時代一緒に議論し、互いに創作を励まし、互いの一番の読者だったFが、何の前触れもなく、自殺してしまったことでした。
Fは私にとって最高の読者だったのに、病んだ現代人を救うのだと嘯いていた私の小説は彼の心を少しも救えなかったのです。
仮に私の小説が賞を取ってベストセラーになっていたとしても、ひとの生き死ににとって文学も医学と同じぐらい無力なのだ、これが現実でした。
やはり、もっと強い力が、権力さえも掌握する力がなければ、ひとを救うことはできないのだ、そういうあきらめにも似た感情が強まり、私は書くことをやめたのです。
しばらくした頃、取引先で事務をしていた宏美と次第に深い仲催情剤になり、結婚しました」
映像は、若い夫婦が赤ん坊をあやしている場面になった。
赤ん坊ははやされて笑い、はいはいをして笑い、少し大きくなって、つかまり立ちして尻餅をつき、よちよちと歩いて鳩を追いかけ、はばたきに驚いて泣き出す。
「まもなく、長男の翔也が生まれました。
それまで想像もつかなかった喜びでした。自分の生命を引き継いでいる、この小さい生命が次第に成長してゆく楽しみ。
その後、妹の優菜も生まれましたが、私は長男の翔也がものごころ付きはじめると、少しずつ自分の描く夢をこの子に託したいと思い始めたのです。
それは、翔也を人格者として育て、政治家として出世させ、権力の座につかせ、世の中を救うような大人物にする。
そうです、これが私の最大の夢なのです」
映像は田舎の豪雪の様子に切り替わった。
雪が屋根を覆いつくし、一階部分はFoot sie 催情水 雪の階段を降りないと辿り着けない。その階段の段差すら埋めようとする雪を、背中の曲がった老女がスコップで掘り起こしている。
「私は正月に里帰りした折、幼稚園児の翔也に(どうしてあのおばあちゃんの背中は丸いの?)と尋ねられて、(雪おろしが大変だから曲がったのんだよ、可哀相だね)と言ってやります。
すると翔也は(そうか、可哀相だね)と言います。
(この雪おろしの作業で毎年何人かの人が死んでいるんだよ。
お前はいっぱい勉強して、こういう人を助けてあげる大人にならなければならないよ)と教えてやります。
すると翔也は(うん、僕が助けてあげるよ)とうなづきます」
映像が夏の田園地帯の風景になる。
「盆休みで帰省した時、私は小学生の翔也に山脈を指差しながら、おらが土地の総理について話してやります。
(昔、この山脈を削って豪雪をなくそうと演説した政治家がいたんだ。その人は総理大臣になって日本全国に道をいっぱい作った。そういう政治家にFce Culminate 6008 なってみんなを幸せにするって素晴らしい仕事だろ。お前もたくさん勉強すれば、そういう偉い政治家になれるよ)と導いてやります。
すると翔也は(僕、偉い政治家にるよ)と宣言して、私を感動させます」
映像が詰襟の学生服を着た男子中学生になる。
「私は中学生の翔也に教えます。
(官僚を最も完璧に操縦したのがおらが土地の総理なんだよ。彼は全ての数字を暗記して手順を示して官僚を従わせた。ただ、彼にも誤りはあった。賄賂は絶対にいけない。そのせいでそれまでの功績にまでケチがついてしまった。
それから、利益誘導型の政治も間違いだった)
(利益誘導型って何?)
翔也が尋ねると、私は答えてやります。
(自分とつながりのあFoot sie 催情水 る人に優先して仕事をまわすことだ。それは不公平だし、仕事をもらった人もいろんな面でできない人間になってしまう)
私が答えると翔也はうなづきます」
映像がアイビー風のワッペンのついたカーディガンを着た男子高校生になる。
「私は高校生の翔也の意見を聞いてます。
(調べてみると、今、外国為替市場には実際に貿易で必要な額の二十倍以上の想像を絶する資金が動いてるんだよ。
それは一国の政府の力では歪んだレートを維持できないことを表わしている。実際イギリスの中央銀行はジョージ・ソロスの売り浴びせに屈服して変動相場制に移行したんだから。
ところが、日本は今も何も考えてないんだよね、ただ円高の時だけ米国債だけを買って売りもしないんだから。
経済だけじゃない、環境問題だって相当に深刻だよ。温暖化が進めば大変な事態になるのに、手ぬるい対策しかないんだからさ。
これからは、持続可能な再生産型の経済と環境に、政治が導いてゆかなければならないと思うんだよね)
(お前ならきっとできるよ)と私は励ましてやります。
すると翔也は(うん、僕が総理大臣になれば楽勝だね)と言います」
映像は銀杏並木を映し出す。
かつては学生運動の砦だった安田講堂の下を息子と父親が歩いている。
「私は誇らしい気持ちで東大生となったGlamous Woman 翔也を眺めて聞きます。
(進路はどうするつもりなんだ?)
(うん、ステップとして官僚になって政務次官になるか、政治家の秘書になるのが一般的だけど、この間のニューヨークの弁論大会で1位になったから、アメリカのCNNを受けないかって誘われてるんだ、アンダーソン・クーパーとかカッコイイよね。
あっちで修行して、日本でキャスターになって、選挙に出るってのもありかなって。
結局、どのステップも時間をかけなきゃいけないけど。
父さん、どう思う?)
(父さんはアメリカのことはわからないな、お前の判断力を信頼してるから、好きな道を行けばいいじゃないか)
(ありがとう、父さん)
(優秀な息子で鼻が高いよ)」
映像は30歳ぐらいの翔也がキャスターとして大臣に質問をしているところだ。
「大臣は翔也の質問に真正Foot sie 催情水 から答えず、言います。
(これからは、そういうことも含めて、改革案を検討していこうと、)
(ちょっと、あなた)
翔也がキレた、私はまずいと思って缶ビールを握り締めて心の中で言ってやります。キャスターが感情的になってはいけないぞ。
しかし、続く翔也の言葉は落ち着いていました。
(私は、あなたのコメントいただくために命かけてます。あなたも政治生命かけて答えてください。
質問は簡単な二択です。その時点で、大臣は事実を知っていたのか、知っていなかったか、どちらなんですか?)」
(それはですね……)
大臣は汗を拭って答えた
映像は新聞の紙面に切り替わる。翔也に知らなかったと答えた哀れな政治家が解任された記事だ。
映像はフラッシュが煌めく記者会見の模様だ。
「翔也は、深々とお辞儀をして挨拶します。
(これまで番組を応援してくださった皆様には大変心苦しいんですが、この政治状況は外から批判しているだけでは改善されないと思い、今週をもちましてキャスターを降板させていただき、選挙に立候補いたします)
映像は同じようにフラッシュが煌めくが、今度は当選風景だ。
それも今までの日本の選挙では見たことがないような広いホールを貸しきった当選報告会だ。
「翔也は、深々とお辞儀して、会場をゆっくりと見渡して、口を開きます。
(当選した今、はっきりとここで言わせていただきます、私は無力です)
意表をついた第一声に、会場が水を打ったように静まり返る。
(応援してくださった皆様の後押しがなければ、私は何もできないんです。
当選したからそれで終わりじゃない、Slimming x これは皆様の最初の一歩です。
どうか、最後までご支援をお願いします。
日本を皆様の力で、私を使って、皆様の力で、よくしてください、これが民主主義なのです。)
詰めかけた支持者から歓声と拍手がドッと沸きます。」
映像は総理官邸の階段の記念撮影だ。
一番下の段の中央の位置に立つのは、今の私と同じぐらいの歳の翔也だ。
「総理大臣となった翔也は国会の演壇で話しかけます。
(国民の皆様には、現在直面している状況が今までの報道以上に危機的であることを認識していただきたいのです。
私は、環境破壊、劇的な環境崩壊からわが国と世界を守ること、グローバルな流れの中で経済や福祉を失速させずに持続再生型に転換させること、よりクリアーで効率的な行政システムに移行させること、同時にみっつの舵をとらなければなりません。
これらの課題を解決するため、全ての国民の皆様の率直なご意見とご協力をお願いいたします)
議場の議員から一斉に拍手が沸き起こり、GOD OF SEXUAL LOVE 翔也は顔をひきしめてうなづきます。
私はテレビ中継を見ていて、涙ぐんでしまいます。
まさか、翔也が、本当に総理大臣となり、天下、国家のために奮励邁進するとは。
それは夢であったのに、翔也は私の期待に見事と応えてくれたのです。」
映像は拍手の鳴り止まない議場をゆっくりと映し出した末に、フェードアウトしてゆく。
私の脇でパンパンという小さな拍手が起きた。
本津賀文麻呂の拍手だ。
自分の息子を総理大臣にしたいなどという親バカの夢に、この大富豪が本当に喜んでくれるとは思ってもみなかった。
私はさっきの握手で、会長が拍手することがどんなに大変かを推察できたから、会長が本当に私の夢を喜んでくれたのだと納得した。
「だんだん、だんだん、えがったわ」
本津賀文麻呂がうなづいて言うと、隅に控えていた伴野秘書が近づいてそっと会長の頬を拭った。
メイドがカーテンを開けて、室内が明るくなってくる。
「市岡さん、あなたの息子さんが総理大臣になって、この国のために働いてくれたら素晴らしいですな。
私も政治家の端くれでした。ですからK-Y Jelly潤滑剤 、選挙にいかに金がかかるかはよう知っとります、 あなたの夢の実現のために値段は多めにしておきますから、翔也君を必ず総理に育ててくださいよ」
本津賀文麻呂は再び手を差し出し、私は両手でしっかりと握った。
「はい、きっと」
本津賀文麻呂は力強い目で私を見ると、もう一度うなづいた。
私は伴野秘書に一階の部屋に招かれ、書類を手渡された。
「電話でお話したように、個人で受け取ると、贈与税で半分取られてしまいますので、この書類に従って、まず受け渡しのための法人をお作りください」
私は時々メモしながら、受け取り口座の作り方を学んだ。
そして、最後に、私は尋ねずにおられなかった。
「それで、下世話な質問ですみません、一体、いくら、いただけるんでしょうか?」
「ええ、おめでとうございます、7本です」
私は7という数字だけで舞い上がった。
「7軒分ですか?」
私の言葉に伴野秘書は微笑んだ。
「いえ、7本、7億です」
私はめまいがしそうだった。
息子を総理にしたいという夢の話Health Care が7億になったのだ。
「そんなに?」
「会長にも優秀な息子さんがいたのですが、十九年前、これから党の中堅になろうという時に交通事故で亡くされまして。
おそらく、ご自分の夢を、市岡様の夢に重ね合わせたのではないかと」
「なるほど、それで」
「いや、私としたことが余計なことを申しあげてしまいました。今の失言、秘匿してください」
「はい、もちろんです」
「私も市岡様の夢、楽しみにしております」
「ありがとうございます」
§4
夕焼け空が映り、カメラが下を向くと郊外の駅にズームインしてゆく。
通勤電車が着いて、ホームに人々の忙しい歩みが捉えられる。
ホームを歩いてゆくサラリーマン風の男に焦点が合う。
顔は顎までしか映っていない。黑豹 黒 まずまずの演出だ。この映像を作るだけでもかなり金がかかったろう。
感心している暇もなく、伴野秘書の「お願いします」という小声がかかった。
私は覚えている冒頭を話し出す。
「私は市岡政雄、生まれは新潟の豪雪地帯です。
高校までは田舎で過ごし、青稲田大学文学部を出て、現在45歳。
中堅の広告会社で企画部門に勤めています。
知り合った当時、取り引きBlack Leopard 先のデザイン会社で事務をしていた妻の宏美D8 はひとつ下の44歳です。
今は家にいて、ちょっとしたイラストの副業をしています。
長男の翔也は18歳。
大学受験が控えていますが、こういうと親バカですが、私に似ず成績が抜群なので、東大合格も間違いないです。
長女の優菜は16歳。
こちらはおっとりしてマイペース、ディズニーランドが大好きで年に何度もせがまれたのですが、最D10 近は友達と行くのでこD5 っちは楽になりました。
まあ、ごくありふれた家族と言えるかと思います。
振り返ると、なぜ文学部に進学したのか、今では自分でもわからないのですが、私は文学というものの力を異常に過信していました。
もっとも中学の頃は医者になろうと思っていたのです」
ここで映像は、病院でてきぱきと指示を出して手術を執刀している医師の姿に切り替わった。
「医者という職業のいいとこCoquettis hwidow は、人を助けるという行為が明解にわかることです。
自分が治療し、病人が治る。
この単純明解さ、しかも感謝される。
しかし、ふと思ったのです。
世の中で苦しんでいる人は、病気の者とは限らないのです。
いや、むしろ、病気より他の理由で苦しんでる数の方が多いに違いない。
そういう多種多様な苦しみを癒すには何が必要かと考えた時、私は心の持ちように働きかける文学という力に希望の光を見出したのです。
その辺が今思うと非常に短絡的なのですが、
とにかく、私は高校の頃には文学部に志望を変えていました」
映像は青稲田大学のキャンパス風景に切り替わる。
パソコンの画面に小説を打ち込む男の後ろ姿。
学生たちが教室、階段、ゼミの部屋、いろんな場所で議論をしている。
「文学部に入った私は自分の創作活動に打ち込んだり、仲間と議論をしました。
しかし、世間を唸らせる発想や、寡婦媚薬 強烈な体験があるわけでもない私の創作は、むしろ古臭いものだったように思います。それでいて、神話の力やおとぎ噺の力を取り戻そうとするアジテーションみたいでもありました。
仲間たちとの議論は、どういったハナシが受けるかとか、簡単な新人賞の取り方みたいな手前勝手なものが多かったのですが、ある時は『飢えて死ぬ子供の前で文学は無力か?』というサルトルの命題についても熱く論じ合ったのです。
結局、大学で私が得たのは、創作を通じて親交を暖めたFという友人と、四季の数と同じくらいの新人賞に落ちた回数と、実を結ばない議論の記憶の断片ぐらいだったように思います
広告会社に就職すると、就職しても書くぞという決意はあったものの、次第に執筆に向かう時間は減ってしまいました。」
映像は、夜、残業している男の姿を映し出す。表計算の数字がスクロールしてゆき、評価を打ち込む男の手元がアップになる。 D10
「就職して間もない頃、私にとって一番ショックな出来事が起きました。
大学時代一緒に議論し、互いに創作を励まし、互いの一番の読者だったFが、何の前触れもなく、自殺してしまったことでした。
Fは私にとって最高の読者だったのに、病んだ現代人を救うのだと嘯いていた私の小説は彼の心を少しも救えなかったのです。
仮に私の小説が賞を取ってベストセラーになっていたとしても、ひとの生き死ににとって文学も医学と同じぐらい無力なのだ、これが現実でした。
やはり、もっと強い力が、権力さえも掌握する力がなければ、ひとを救うことはできないのだ、そういうあきらめにも似た感情が強まり、私は書くことをやめたのです。
しばらくした頃、取引先で事務をしていた宏美と次第に深い仲催情剤になり、結婚しました」
映像は、若い夫婦が赤ん坊をあやしている場面になった。
赤ん坊ははやされて笑い、はいはいをして笑い、少し大きくなって、つかまり立ちして尻餅をつき、よちよちと歩いて鳩を追いかけ、はばたきに驚いて泣き出す。
「まもなく、長男の翔也が生まれました。
それまで想像もつかなかった喜びでした。自分の生命を引き継いでいる、この小さい生命が次第に成長してゆく楽しみ。
その後、妹の優菜も生まれましたが、私は長男の翔也がものごころ付きはじめると、少しずつ自分の描く夢をこの子に託したいと思い始めたのです。
それは、翔也を人格者として育て、政治家として出世させ、権力の座につかせ、世の中を救うような大人物にする。
そうです、これが私の最大の夢なのです」
映像は田舎の豪雪の様子に切り替わった。
雪が屋根を覆いつくし、一階部分はFoot sie 催情水 雪の階段を降りないと辿り着けない。その階段の段差すら埋めようとする雪を、背中の曲がった老女がスコップで掘り起こしている。
「私は正月に里帰りした折、幼稚園児の翔也に(どうしてあのおばあちゃんの背中は丸いの?)と尋ねられて、(雪おろしが大変だから曲がったのんだよ、可哀相だね)と言ってやります。
すると翔也は(そうか、可哀相だね)と言います。
(この雪おろしの作業で毎年何人かの人が死んでいるんだよ。
お前はいっぱい勉強して、こういう人を助けてあげる大人にならなければならないよ)と教えてやります。
すると翔也は(うん、僕が助けてあげるよ)とうなづきます」
映像が夏の田園地帯の風景になる。
「盆休みで帰省した時、私は小学生の翔也に山脈を指差しながら、おらが土地の総理について話してやります。
(昔、この山脈を削って豪雪をなくそうと演説した政治家がいたんだ。その人は総理大臣になって日本全国に道をいっぱい作った。そういう政治家にFce Culminate 6008 なってみんなを幸せにするって素晴らしい仕事だろ。お前もたくさん勉強すれば、そういう偉い政治家になれるよ)と導いてやります。
すると翔也は(僕、偉い政治家にるよ)と宣言して、私を感動させます」
映像が詰襟の学生服を着た男子中学生になる。
「私は中学生の翔也に教えます。
(官僚を最も完璧に操縦したのがおらが土地の総理なんだよ。彼は全ての数字を暗記して手順を示して官僚を従わせた。ただ、彼にも誤りはあった。賄賂は絶対にいけない。そのせいでそれまでの功績にまでケチがついてしまった。
それから、利益誘導型の政治も間違いだった)
(利益誘導型って何?)
翔也が尋ねると、私は答えてやります。
(自分とつながりのあFoot sie 催情水 る人に優先して仕事をまわすことだ。それは不公平だし、仕事をもらった人もいろんな面でできない人間になってしまう)
私が答えると翔也はうなづきます」
映像がアイビー風のワッペンのついたカーディガンを着た男子高校生になる。
「私は高校生の翔也の意見を聞いてます。
(調べてみると、今、外国為替市場には実際に貿易で必要な額の二十倍以上の想像を絶する資金が動いてるんだよ。
それは一国の政府の力では歪んだレートを維持できないことを表わしている。実際イギリスの中央銀行はジョージ・ソロスの売り浴びせに屈服して変動相場制に移行したんだから。
ところが、日本は今も何も考えてないんだよね、ただ円高の時だけ米国債だけを買って売りもしないんだから。
経済だけじゃない、環境問題だって相当に深刻だよ。温暖化が進めば大変な事態になるのに、手ぬるい対策しかないんだからさ。
これからは、持続可能な再生産型の経済と環境に、政治が導いてゆかなければならないと思うんだよね)
(お前ならきっとできるよ)と私は励ましてやります。
すると翔也は(うん、僕が総理大臣になれば楽勝だね)と言います」
映像は銀杏並木を映し出す。
かつては学生運動の砦だった安田講堂の下を息子と父親が歩いている。
「私は誇らしい気持ちで東大生となったGlamous Woman 翔也を眺めて聞きます。
(進路はどうするつもりなんだ?)
(うん、ステップとして官僚になって政務次官になるか、政治家の秘書になるのが一般的だけど、この間のニューヨークの弁論大会で1位になったから、アメリカのCNNを受けないかって誘われてるんだ、アンダーソン・クーパーとかカッコイイよね。
あっちで修行して、日本でキャスターになって、選挙に出るってのもありかなって。
結局、どのステップも時間をかけなきゃいけないけど。
父さん、どう思う?)
(父さんはアメリカのことはわからないな、お前の判断力を信頼してるから、好きな道を行けばいいじゃないか)
(ありがとう、父さん)
(優秀な息子で鼻が高いよ)」
映像は30歳ぐらいの翔也がキャスターとして大臣に質問をしているところだ。
「大臣は翔也の質問に真正Foot sie 催情水 から答えず、言います。
(これからは、そういうことも含めて、改革案を検討していこうと、)
(ちょっと、あなた)
翔也がキレた、私はまずいと思って缶ビールを握り締めて心の中で言ってやります。キャスターが感情的になってはいけないぞ。
しかし、続く翔也の言葉は落ち着いていました。
(私は、あなたのコメントいただくために命かけてます。あなたも政治生命かけて答えてください。
質問は簡単な二択です。その時点で、大臣は事実を知っていたのか、知っていなかったか、どちらなんですか?)」
(それはですね……)
大臣は汗を拭って答えた
映像は新聞の紙面に切り替わる。翔也に知らなかったと答えた哀れな政治家が解任された記事だ。
映像はフラッシュが煌めく記者会見の模様だ。
「翔也は、深々とお辞儀をして挨拶します。
(これまで番組を応援してくださった皆様には大変心苦しいんですが、この政治状況は外から批判しているだけでは改善されないと思い、今週をもちましてキャスターを降板させていただき、選挙に立候補いたします)
映像は同じようにフラッシュが煌めくが、今度は当選風景だ。
それも今までの日本の選挙では見たことがないような広いホールを貸しきった当選報告会だ。
「翔也は、深々とお辞儀して、会場をゆっくりと見渡して、口を開きます。
(当選した今、はっきりとここで言わせていただきます、私は無力です)
意表をついた第一声に、会場が水を打ったように静まり返る。
(応援してくださった皆様の後押しがなければ、私は何もできないんです。
当選したからそれで終わりじゃない、Slimming x これは皆様の最初の一歩です。
どうか、最後までご支援をお願いします。
日本を皆様の力で、私を使って、皆様の力で、よくしてください、これが民主主義なのです。)
詰めかけた支持者から歓声と拍手がドッと沸きます。」
映像は総理官邸の階段の記念撮影だ。
一番下の段の中央の位置に立つのは、今の私と同じぐらいの歳の翔也だ。
「総理大臣となった翔也は国会の演壇で話しかけます。
(国民の皆様には、現在直面している状況が今までの報道以上に危機的であることを認識していただきたいのです。
私は、環境破壊、劇的な環境崩壊からわが国と世界を守ること、グローバルな流れの中で経済や福祉を失速させずに持続再生型に転換させること、よりクリアーで効率的な行政システムに移行させること、同時にみっつの舵をとらなければなりません。
これらの課題を解決するため、全ての国民の皆様の率直なご意見とご協力をお願いいたします)
議場の議員から一斉に拍手が沸き起こり、GOD OF SEXUAL LOVE 翔也は顔をひきしめてうなづきます。
私はテレビ中継を見ていて、涙ぐんでしまいます。
まさか、翔也が、本当に総理大臣となり、天下、国家のために奮励邁進するとは。
それは夢であったのに、翔也は私の期待に見事と応えてくれたのです。」
映像は拍手の鳴り止まない議場をゆっくりと映し出した末に、フェードアウトしてゆく。
私の脇でパンパンという小さな拍手が起きた。
本津賀文麻呂の拍手だ。
自分の息子を総理大臣にしたいなどという親バカの夢に、この大富豪が本当に喜んでくれるとは思ってもみなかった。
私はさっきの握手で、会長が拍手することがどんなに大変かを推察できたから、会長が本当に私の夢を喜んでくれたのだと納得した。
「だんだん、だんだん、えがったわ」
本津賀文麻呂がうなづいて言うと、隅に控えていた伴野秘書が近づいてそっと会長の頬を拭った。
メイドがカーテンを開けて、室内が明るくなってくる。
「市岡さん、あなたの息子さんが総理大臣になって、この国のために働いてくれたら素晴らしいですな。
私も政治家の端くれでした。ですからK-Y Jelly潤滑剤 、選挙にいかに金がかかるかはよう知っとります、 あなたの夢の実現のために値段は多めにしておきますから、翔也君を必ず総理に育ててくださいよ」
本津賀文麻呂は再び手を差し出し、私は両手でしっかりと握った。
「はい、きっと」
本津賀文麻呂は力強い目で私を見ると、もう一度うなづいた。
私は伴野秘書に一階の部屋に招かれ、書類を手渡された。
「電話でお話したように、個人で受け取ると、贈与税で半分取られてしまいますので、この書類に従って、まず受け渡しのための法人をお作りください」
私は時々メモしながら、受け取り口座の作り方を学んだ。
そして、最後に、私は尋ねずにおられなかった。
「それで、下世話な質問ですみません、一体、いくら、いただけるんでしょうか?」
「ええ、おめでとうございます、7本です」
私は7という数字だけで舞い上がった。
「7軒分ですか?」
私の言葉に伴野秘書は微笑んだ。
「いえ、7本、7億です」
私はめまいがしそうだった。
息子を総理にしたいという夢の話Health Care が7億になったのだ。
「そんなに?」
「会長にも優秀な息子さんがいたのですが、十九年前、これから党の中堅になろうという時に交通事故で亡くされまして。
おそらく、ご自分の夢を、市岡様の夢に重ね合わせたのではないかと」
「なるほど、それで」
「いや、私としたことが余計なことを申しあげてしまいました。今の失言、秘匿してください」
「はい、もちろんです」
「私も市岡様の夢、楽しみにしております」
「ありがとうございます」
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