今年は未曾有の感染症に見舞われて、
日常や生活様式が急にガラリと変わって、
もちろん満足のいく今までなんて無くなって、
そんな1年。
およそ10ヶ月ぶりに足を運んだKENさんのライヴは、
あんまりにかっこよくて、全曲ずぅっと泣いてしまった。

ライヴ前に出した新曲「Long Night feat.おかもとえみ」。
おかもとえみさんの楽曲は元々聞いていたこともあったので、共演の報せは個人的にとても嬉しかった。

どんな曲になるのだろうとソワソワしていたけれど…

 

いや尊みがすごいな!?!??!!?!(瞬時に消える語彙)

 

先日、KENさんご夫妻にお子さんが産まれて(改めておめでとうございます)、ファン有志でお祝いを送ったりしたのですが(改めてその節は本当にありがとうございました)、

産まれたばかりのお子さんを見守る長い夜を綴ったスローで温かな一曲。出たのが11月初めなので秋の夜長にもピッタリなチルでメロウなトラックが印象的。おかもとえみさんの美しい歌声のフックとKENさんの柔かなリリックがより心地よく温もりのある雰囲気を誘ってくるような…

聞いているだけで幸福感がすごくて、家族愛を唄うヒップホップの曲はいくつもあるけれど、この曲はKENさんにしか歌えない家族の曲だな、と思いました。

歌詞の中のお子さんを表す言葉にとても深い慈しみと愛情を感じるんだよなぁ…綺麗で柔和で、シルクみたいな言葉遣いするのが本当にすき。トラックとの相乗効果なのか自然と笑顔になってしまう、これで布団の中入って寝るじゃん、幸せがそこにあるんだよ…(?)

ゆったりとしたこれからの季節の長い夜にピッタリなこの曲はぜひ聞いてほしい、各位には。

特に親御さんの立場だったりする人はまた違って聞こえたりするのかなぁ。

 

ここからは自分の話なんだけれど。

俺は小ちゃい時に親が離婚してて、ついこの間(といっても数年前)まで片親で父が居なかった立場だったんですけれど、

離婚の原因がまぁなかなかに壮絶で、軽々しい気持ちでとか、笑い話にしてとかで人には言えないくらいに重たい話で、実は小ちゃい時の記憶はごっそり抜け落ちてるくらいで、「血の繋がった父親」っていうのが経験していないものだから、その「父親」という人からの愛情をきっと受けたこともあるだろうがそれにしては少なすぎるし、最後に会ったのは確か15年くらい前じゃないかなぁ、顔も覚えてない。

あちらサイドといえば、俺の誕生日も名前も忘れてるし、養育費だって払わないで借金を残した。

俺の田舎には片親の子が割と多くて、似てる境遇にいる子は普通にいたし、だからどう、というわけでもなかったんだけど、そんな環境でも片親が原因でそれなりに虐められてきたこともあったし、母曰く「寂しい思いはいっぱいさせた」と言う。

今は再婚をして現在の父上がいるわけだけれど、ここまで育ててくれた(むしろ逆に過保護で困っている位なのだが)とはいえ、やはり「他人である」という何かなんとも言えない感情は常に付きまとっている。特に自分にとって大事な話を相談する時は殊更に。たとえば俺のことを理解してくれないような一瞬があったとして、歩み寄るより先に「他人だから仕方ないか」が来てしまう。

「眩しくて見れない」なんて言い回しがあるけれど、そんな自分にとってこの曲は、幸せすぎて少し胸が苦しくなる。眩しい。

とても素敵な曲だし温かな気持ちになる反面、なんとなく羨望に似た痛みが微かに残る。

俺もこんなお父さんに出会えていたら少し人生は変わっていたんだろうか。どんな人間になっていたんだろうか。もう少し出来た人間になれてたのかな。想像は空恐ろしいけれども尽きることはなくて、現実をまざまざと見せつけてくる。普通の、世間一般の、ごくありふれた幸せを幼い自分は手にすることがたまたま出来なかったが故に、推しの曲で複雑な心境になるとは。人生とか社会というのは、狭い亜空間における関連するコンテンツとの相互関係だったりするのだろうか。いや、知らんけど。

臨床心理学を勉強していると、大概の事柄が心に突き刺さってくるのだけど、それに似てる。養育において愛着とか親子関係とか、やっぱり大切なんだよ…(これは大学で習った)

そんな風にして聴く度に相反する気持ちが浮かんでは消える。

おそらくここで唄われているように向けられた思いは、俺には一生知り得ない気持ちであり、一生触れることは無い愛情で、それを向けられているのに、たぶん嫉妬しているんだろうな。

自分自身のしがらみに思わぬ所で気付かされることがたくさんある。し、それについては未だに雁字搦めにされているとは。

 

愛されて当たり前の存在にモヤモヤする大人…22歳にもなってこんなことを言うのは些かどうかと思うんだけれど、ちょっと、吐き出したかった。よく考えたら誰目線なんだ…

 

とにかく俺は推しには一生幸せに生きていて欲しいです。

ライヴで話す機会があるとき、必ず「ステキな曲ですね」って伝えよう。