コロナでずっと家にいて、時間もあるからお稽古しまくり!という方もいれば、時間はあるけど、なんとなく毎日やる気が起きない・・・という方もいらっしゃると思います。

 

そこで、今回は、モチベーションの保ち方と上達法について、書いてみたいと思います。

 

経験談ですので、全員に当てはまるわけではないと思いますが、三日坊主、自分に甘く、怠け癖のある私はこうして、三味線を仕事にするまでになりました。

 

1.最初からかっ飛ばさない!ウサギと亀の「亀」を目指す。

 

私が三味線が好きで、ちゃんと弾きたいと思い始めたのは、三味線を習って3年ぐらい経ったときです。それまでは、正直、弾いても楽しいと思えませんでした。なぜなら下手だから・・・。

もちろん、先生の教え方や相性などもあると思いますが、「石の上にも3年」とはよく言ったもので、最初からバリバリ弾けるなんて、あり得ないのです。お稽古を初めて1、2年程度で、「弾けて当たり前」だと思わない方がいいでしょう。あまり理想が高いと挫折します。

 

重要となるのは、基礎練習をコツコツとし、一つ一つの曲を丁寧に仕上げられるか。

そして、小さな目標を設定して、それをクリアすることに喜びを見いだせるか、です。

スポーツでもなんでもそうですが、いきなりプロ級にはなりません。努力の積み重ねこそが、力を養います。

 

2.好きな曲をやみくもに弾いてみる!

 

1)で述べたことと逆ですが、これも大事なことです。

 

私が三味線を上手になりたいと思えたのは、「好きな曲」や「弾きたい曲」があったからです。

基礎練習ばかりだと正直、飽きます!プロになるわけではなく、趣味で三味線を弾くのであれば、「好きな曲を弾きたい」のは当然です。

なので、好きな曲を見つけて、その曲を弾きましょう。別に上手に弾けなくてもかまいません。「弾きたいから弾く」のです。

 

師匠についての「お稽古」は、「おさらい会」などでの発表を目指し、研鑽を積みます。

しかし、コロナの影響で、発表の場は延期もしくは中止になってしまいました。現状、お稽古場を閉じているところも多いでしょう。

 

そんなときこそ、「やる気」を維持するのは、直感的に「好き!」と思える曲に取り組むことです。

そして、自主稽古で、変な癖をつけないために、基礎練習と曲を弾くことを併行して実施することです。

 

3.曲をフレーズに分解して、解析してみる!

 

1曲数分程度の民謡や端唄、ポップスアレンジでさえ、曲の中には、たくさんの技術が詰まっています。
よって、やみくもに1曲を何度も通して弾いても、絶対に上達しません。
 
曲を細かく、フレーズ単位に分けて、そして、バチの上げ下げ、弾き唄いなら唄と三味線がどのように噛み合ってるか、それを解析する力が大事です。
私のお稽古では、いつもそのことを生徒さんにお伝えしています。
 
一曲を何度も通して弾いても、力をつけることはできないからです。上手に弾けないのは、上手に弾けない理論的な理由があります。
それを自分の力で見つけるのは至難の業なので、先生がいるわけですが、それでも、自分でも「上手に弾けない理由」を見つけようとする思考が、上達につながります。
 
そして、そういう思考を持っていると、自然とモチベーションアップにつながります。
なぜなら、「上手に弾けないから、もう嫌!」ではなく、「上手に弾けない理由を解析する過程を楽しむ」思考になるからです。

 

4.やる気が出なくても、しんどくても習慣化する!

 

やる気があろうがなかろうが、とにかく無理矢理にでも三日に一回は三味線を手に持つ!
これが大事です。
 
コロナ禍以前のモチベーションは、「おさらい会」などの発表会だったり、「先生からお叱りを受けたくない」という気持ちだったりしたかもしれませんが、このような時代となり、そういったことはしばらくないかもしれません。
 
目標もないから、お稽古を怠ける・・・。
 
それは、そもそも「実は、それほど三味線を好きじゃなかった」かも知れないのですが、三味線を好きになるのに3年ほどかかった自分の経験からも、「やってるうちに(上手になれば)好きになる」ということもあります。
 
なので、ただ「三味線を手に持つ」だけでいいのです。
 
それと、精神的に落ち込んでしまって、三味線を弾く気持ちになれない、ということもあります。
 
私も、何度もそういう時期を経験しました。家族の病気や仕事のトラブル、ずっと順風満帆にきたわけではありません。
金銭的なゆとりがなくなって、お稽古代をお納めするのもかなり大変だったときもあります。
 
それでも、「何年も続けてきたことを、ここで諦めたくない」という意地のようなものが根底にあり、今に至ります。
プロとしてやっていくことを決めたのは、そういう時期を経過した後です。
 
私の場合は、「プロを目指して継続した」のではなく、「継続したからプロになれた」です。
 
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以上は、三味線以外の全ての趣味や習い事にも共通することかもしれません。
 
コロナ禍で、多くの方々が生活も大変になり、心のゆとりもなくなってきています。
「三味線なんか弾いてる場合じゃない」という方もいらっしゃるでしょう。
 
しかし、文化的なことに少しの時間と心を裂くことで、大きな精神的な安定を得ることができます
 
それは、自身の経験からも、声を大にして訴えたいことです。
 
どうか、目先の大変なことに振り回されず、毎日を少しでも前向きに過ごすため、三味線を頑張ってみてください。
私も、頑張ります!