親不知子不知への道中はこちらから↓


艱難辛苦を乗り越え、念願の景勝地に辿り着きました。

親不知コミュニティロード。旧国道8号線を歩く。


ここから親不知を一望できる展望台が設けられております。分かりやすくウォルター・ウェストン像が置かれているのが特徴的。

ウォルター・ウェストン像。イギリス人宣教師で、日本各地の山を登った、日本の登山の第一人者的な人物。


彼の著書「日本アルプスの登山と探検」には“親不知が日本アルプスの起点である”とあります。なるほど確かにこの険しさは日本アルプスの起点に相応しいですね。

糸魚川・長岡方。


北陸道が山側に、北陸自動車道が海側に迫り出しているのがよく見えます。あまりにも特徴的すぎる車道。ここが古より天下の嶮である事を物語っておりますね。

如砥如矢。国道8号(旧道)が開通したのは明治16年の事。この道を竣工させた者の1人の富岳磯平はこれを見て大層喜び彫ったと云う。


国道関連の話が多い事等、どれだけの難所であったかが強調されている風に感じます。ただ、あくまでも強調なだけであって決して誇張ではないのが恐ろしい点です。

大懐。天然が作り出した荒波の退避場所。


この日の波は凪いでおり、打ち付ける烈しさは一切ありませんでした。碧色の海が素敵です。

北陸本線を行くET122形。断崖を抜けると間もなく市振。


一頻り眺望を楽しんだ後、景勝地を引き返し、親不知海岸に訪れました。

最初に目にしたのは海亀のスタチュー。観光客やトラック等の車両の奥から海亀が出てくるのは少し面白いですね。

道の駅に設置されている海亀の像。右から「マリン」「ミリオン」「オリオン」


道の駅「親不知ピアパーク」は鉄道の駅(親不知駅)からも近い施設。夏場は海水浴場に。この日は特筆すべき事柄はありませんでした。

この道の駅には糸魚川市ゆかりの物質が、それも世界最大級の大きさでもって展示されております。糸魚川市ゆかりの物質とは、翡翠。日本では縄文時代から糸魚川産の翡翠が用いられてきました。

翡翠ふるさと館に展示されている巨大な翡翠の原石。総重量102t。


この102tは世界でも類を見ないほどのスケール。翡翠と云えば美しい翠色ですが、原石だと白く燻んで見えるものなのは意外です。こう云うモノに私は唆られますね。

さて、4.9kmを往復したものですからいよいよお腹も空きます。看板を見ればカニ天丼なぞと魅力的な文言も掲げられているわけですから、ここらでお昼ご飯にと、レストラン漁火へ。カニ天丼は売り切れておりましたが、海鮮丼を堪能しました。無難過ぎましたかね?次訪れた際にはめぎす天丼を注文しようかと思います…

レストラン漁火。めぎす天丼とかなり迷ったが、無難に海鮮丼を注文。この日は鮪・鰤・炙り鰤・炙り鮭・甘海老(南蛮海老?)が盛られていた。


海を見ながら海の幸を有難く戴く。一見すると贅沢な体験だが、少し前までは強く逞しく生きていた彼等を、彼等の世界を傍観しながら喰べるというのはある種の無常感が…

と云う訳のわからないボヤキはさておき、味は非常に良く、特に鰤は脂が乗り絶品の一言。日本海の魚はとても美味しいです。

海の生命の有り難みを噛み締めた後は海岸をぶらりと。

親不知海岸。海岸は砂利で形成され、翡翠も混ざっている。


波の寄せる音と砂利が擦れる音が聴いていてとても心地が良い。海猫達の会話、子供のはしゃぐ声、翡翠を探し海岸を掘る音、磯の生命の薫、紺碧の海、そして潮風…

乾燥した都会の喧騒を忘れられる様な気分になりました。取り分け親不知は人を攫う波として強く恐ろしい波音を立てると云われますが、海岸はそうではありませんね。

昼食時も過ぎ、早くも帰りの列車が入る時間となってしまいました。

往路と同じK5編成。


名残惜しくも親不知を後にします。架線下DCに再び乗車し、糸魚川駅に戻りました。

駅前の梅。小さく可憐な花が春の喜びを分かち合う。

糸魚川駅の待合室には、文字通り面白いモノが。

以前、天空の鉄道物語という企画展が六本木で行われておりました。その時の展示品です。まさか再び見られるとは…

その隣にはキハ52形気動車が保存されておりました。鉄道の町でもあるのですね。

寝台特急トワイライトエクスプレス再現車両。森アートギャラリーで展示されていたブースをそのまま移設。隣にはキハ52 156が。


糸魚川市を楽しんだ所で、復路の新幹線(はくたか566号)で終着駅まで。旅行の帰りはいつも早いとは感じませんか…

東京駅にはこの春デビューした山形新幹線の最新型車輌E8系が折り返し運用の準備をしておりました。

最新車輌E8系。山形新幹線の電車はこれで3代目。


営業運転開始後間もないというわけでギャラリーも多く集まっておりました。西は敦賀延伸、東はE8系と、今年は新幹線イヤーと称しても過言ではなさそうです。



歩行者用に整備されていない車道・トンネルを歩くのは大変危険な行為です。簡単に死亡事故に繋がりかねませんので、この様な場所には自家用車(或いはレンタカー)で訪れる事を強く推奨します。

また、雨上がりや積雪などで足場が悪い状態の日や天候不順時には更に危険性が増します。訪れる際には前日・当日の天気予報に注意し、安全を確保した上で向かう様にしてください。



<了>