はなのすきなうし
1954年、スペインの絵本です。
牛のフェルジナンドは、お花の匂いが大好き。
いつもお気に入りのコルクの樹の下で、お花の匂いをかいですごしてます。
みんなとも遊ばないでいつもひとりきり。
心配したお母さん牛ですが、
「ぼくはこれが好き」
って言うフェルジナンドを受け入れます。
あるとき、町から闘牛の牛を探しに男達がやってきます。
我こそは!と奮い立って勇猛さをアピールする若い牛たちを尻目に、フェルジナンドはいつもどおりコルクの樹の下へ・・・・・・
でも、うっかり!
草の上には、大きなクマバチがとまっていたのです。
気づかず座ってしまい、チクッとさされたフェルジナンド。
あまりの痛さに、暴れ回ります。
それをみた男達は、逸材発見とばかり、フェルジナンドを町に連れて帰ってしまいます。
そして闘牛の当日。(以下、ネタバレ)
満員の観衆が見守る中、闘牛場に入ってきたフェルジナンド。
みんなの期待をよそに、闘牛場の真ん中で座り込んでしまいます。
そして、なんと!お花の匂いをかぎ始めた。
観客の貴婦人たちの胸には、いろとりどりの花が挿してあったからです。
どうけしかけても動こうとしないフェルジナンドに、闘牛士たちもお手上げ。仕方なく、もといた野原に連れて帰ったのでした。
フェルジナンドはまた、いつもと同じように暮らしはじめます。
コルクの樹の下で、お花の匂いをかぎながら。
フェルジナンドは、とても幸せでした。
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絵が意外とリアルで、かわいらしいというよりもユーモラス。
風刺画みたいなタッチで、特に人間の絵なんかは、傲慢さがにじみ出てます。陰影のはっきりした線画は、スペインの乾燥した暑さが伝わってくるようでした。
期待を裏切ったフェルジナンドが殺されちゃうんじゃないかとハラハラしましたが、ハチに刺された以外は誰も傷つかず、まったりとした終わり方でほっとしました。お母さんの接し方、フェルジナンドのゆったりとした生き方、とても大切なことだと思いました。
*余談ですが、アメリカのバンド Fall Out Boy のアルバム、フロム・アンダー・ザ・コークツリー(From Under the Cork Tree)のタイトル は、この絵本からつけたといいます。なるほど、シカゴの片隅からメジャーデビューして、あれよあれよと表舞台に立たされた彼らの境遇は、ひょんなことから闘牛場に立たされたフェルジナンドのそれと似ていなくもない。あのアルバムは、これからどんなに有名になって、誰に何と言われても、「おれたちは自分の好きなことをやるだけだ」っていう決意表明だったんだと思います。
活動を永久停止してしまった彼らですが、それぞれが自分のコルクの木の下で、自分の生き方をしていって欲しいものです。
