このごろテレビで映画を観てる。
昨夜は「アイランド」。

ユアン・マクレガーと
スカーレット・ヨハンソンが演じる主人公たちは
自分たちが臓器や皮膚を提供するために作られた
クローンだと知らぬまま隔離された世界で生きている。
彼らはいつか抽選で選ばれて
“アイランド”と呼ばれる楽園に行けることを生き甲斐ににしている。
ある日その秘密に気づいたユアンは
スカーレットとともに世界からの脱出を試みる。

主人公ふたりは豪華である。
そこに絡むスティーヴ・ブシェミがヒジョーによい。
でもでもでも。
なんでかね。薄っぺらい。ぺらんぺらん。
もっと葛藤するだろ。
そういう立場に置かれたら普通。
途中でやんなっちゃった。

同じモチーフで書かれたカズオ・イシグロの
「わたしを離さないで」を引っ張り出してきて読む。
「Never let me go」という歌が入ったカセットテープの
エピソードだけでもう泣ける。
無邪気な子ども時代の思い出のなかに見え隠れする
恐ろしい運命の予兆。
あまりにも豊穣な感情の渦。
どうにもならない運命を知ってもなお
枯れることのない瑞々しい感性。

いやね。
比べること自体がおかしいってわかってるさ。
同じ土俵で話をするのはカズオ・イシグロに申しわけないさ。
それでもさ。
ここまで深淵に豊かにやれとは言わないけど
もうちょっとなんかあるでしょ。「アイランド」よ。

「わたしを離さないで」をSFとして読み
クローンについてまったく描かれていない
くだらない介護日記だと
文句を言っているレビューを見たことがあるけど
そういう人は「アイランド」みたいな映画が好きなのかもと
ふと思ったりもして。
好き嫌いはあって当然だし
好きなジャンルだと思って読み始めたら勘違いだった
ってことはあるだろうけど
「これはもはやSFではない」って…
もはやもなにもSFじゃないんだよ「わたしを離さないで」は(笑)。
「汲み取れない人」っているんだよね。かわいそうだけど。

映画は最悪だったけど
いい本を思い出させてもらって再読できたので
よしとしよう。