帰りにドアを開けたら雨がドシャブリだった

 

傘もない

 

車まで遠い

 

タバコでも吸って携帯をひらく

 

友達が誕生日パーティーの動画をあげてる

 

元々々彼と今の彼女

 

そして沢山の人の楽しそうな笑顔

 

私は雨で車にもいけない

 

 

 

画面の中はすごく楽しそうで

 

久しぶりに見る彼はピンクのシャツなんて着ちゃってて

 

ハリウッドのホテルではしゃいでる

 

よりにもよって元々彼までいるじゃん

 

私と別れた彼達はそんなに楽しそうな時間を過ごしてるんだ

 

私は雨で家にも帰れない

 

 

 

孤独な自分にとても惨めで悲しい

 

雨でよかったかも

 

晴天の中だったらもっと落ち込んだ

 

気持ちいいくらい雨

 

 

 

傘ないの? はいる?

 

自分を落とし込んでたら知らない人が声をかけてくれた

 

背の高いオバマに似たおじさん

 

あまりに突然で思わず良いの?って聞いた

 

おじさんは赤い大きな傘を広げた

 

 

 

雨の中

 

真っ赤な傘でおじさんと相合傘

 

ドシャブリなのに全く濡れない

 

おじさんを見たら右肩がはみでてた

 

私大丈夫だから

 

でもおじさんは、そっちから風が吹いてるからこれで良いんだよって

 

 

おじさんのおかげで車までつけた

 

優しさに触れて嬉しいのに

 

私はうまく笑ってお礼が言えなかった

 

 

 

パーキングのエレベーターでも無言

 

最後にありがとう。バイバイ。って振り返ったら

 

おじさんはすごく嬉しそうにバイバイって手を振ってくれた

 

どうしてこんな無償の優しさに怯えていたんだろう

 

どうして落ち込んでいたんだろう

 

 

動画が頭から離れられなくて

 

言い訳だ。過去にすがりついて目の前の幸せが見えていない

 

 

今日は雨で良い日だった